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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
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令和3年7月最終週

7月25日(月曜)

 昨日は全国で17万6554人の感染と25人の死亡。そして本日は12万6575人の感染と48人の死亡、249人の重症者が確認されるも、週末から週初めの報告で在る点を()()いて考えるべきか。東京都で2万2387人、神奈川県で1万2495人。埼玉県9264人、福岡県8665人、大阪府7785人、千葉県7320人、兵庫県6262人、愛知県5018人、そして北海道3361人と沖縄県2562人等の新規感染者が認められ、月曜としては過去最多の地域も多かった模様。

 感染急拡大に伴って医療機関で抗原(こうげん)検査(けんさ)キットが不足した事から、東京都は「在庫分を緊急配布する」事を決め、先週23日に都内の200医療機関に約1万7000個を送り、更に本日午前中(まで)に765か所に()てて7万3000個を追加した由。発注増加に対し、静岡県伊豆の国市の抗原検査キット生産会社メーカーは今月上旬頃から「平日の日中に加えて、夜8時から早朝4時半迄と土曜日も工場を操業する」事で本格的な増産体制に入り、製造量を昨年比2倍以上に増加させたとの事。各地の医療機関では医師や看護師に感染が広がり、救急患者の受入うけいれ制限せいげんや手術延期等が始まった模様。

 政府が公表した最新状況に()ると、国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を受けた者は7926万1474人で全人口の62.6%に相当。3回目の接種率を年代別で見ると12歳から19歳は33.2%、20代は47.4%と未だ半数に届かぬ。5歳から11歳を対象にした接種で1回目を受けた者は143万2719人で全体の19.3%、2回目完了者は132万8093人で全体の17.9%止まり。4回目接種を受けた者は全国で774万3763人で、60歳以上は754万9505人、即ち対象者の39.3%となった由。3回目接種完了者の割合が最も高い地域は秋田県の73.2%、次いで山形県の71.29%、新潟県の70.95%、岩手県の70.44%等。逆に最も低い地域が沖縄県の46.51%で、大阪府56.05%、京都府59.19%、福岡県59.33%、愛知県59.4%、兵庫県59.74%が続く。

 4回目接種完了の比率が特に高いのは茨城県の8.21%で、後を追うのが東京都7.86%、岐阜県7.71%、富山県7.48%、栃木県7.22%となる。4回目接種率に於いて秋田県が最低の2.84%なのは、3回目と正反対。後は島根4.01%、三重4.25%、福井4.48%、沖縄4.52%、新潟4.61%、徳島4.76%、山形4.86%、青森4.93%。今回も沖縄県が3回目、4回目とも低いのが目立つ結果となった。

 本日に厚生労働省が開催した専門家で構成される分科会に於いて「COVID用ワクチン接種後に女性は急性心筋梗塞等を起こして死亡した91歳の女性」に関して「接種との因果関係が否定出来ず、予防(よぼう)接種(せっしゅ)(ほう)上の救済対象とする」旨を決定。接種後のアナフィラキシー等に関して850人が救済認定済なれども、死亡(しぼう)一時(いちじ)(きん)が支払われるのは初。遺族には死亡一時金として最大で4420万円、葬祭料として21万2000円が支給されるとの事だが、接種したワクチンの種類や接種回数等の詳細は不明。


7月26日(火曜)

 本日は19万6494人の感染、115人の死亡、271人の重症者。そして東京都で3万1593人、大阪府で過去最多の2万5762人。愛知県でも過去最多の1万5315人、福岡県で1万1956人、神奈川県で1万1108人、兵庫県で8764人、千葉県で8452人、埼玉県で7010人、静岡県で6052人、沖縄県も過去最多の5622人の新規感染が確認された由。

 欧米等を中心に報告が相次ぐ(さる)(とう)の感染者が国内で初めて確認された件に関して、岸田総理大臣は自民党の役員会で発言。「物理的接触に()って感染が起こる」事や「天然痘のワクチンが有効で在る」事を「(しっか)りと国民に説明して行きたい」と語ると共に、COVIDに関しても「感染者数は増えているが今の所、重症者数や死亡者数は低水準」。「検査キットの活用による発熱外来への負担軽減」「4回目のワクチン接種の拡大」等の「(めり)(はり)の利いた対策を行いながら社会経済活動を維持する様、努めて行く」等と語ったとの事。

 COVID患者の情報管理に対し、国は一昨年5月から“HER-SYS”を導入。医療機関や保健所に依って患者毎に年齢や症状が入力され、情報が一元的に集約される機構(システム)なれども、本日10時半頃から不具合(トラブル)が発生。東京都や沖縄県など感染が拡大している地域を中心に機構に接続(ログ)開始(イン)出来ない状態が報告され、厚生労働省は急遽、自治体に対して「医療機関からの患者の発生届はFAXや電子郵便(メール)で受け取る様に通知。患者自身がsmartophone等の端末から健康状態を入力する“My HER-SYS”も接続困難となっていたが、16時半頃には両者共に(おおむ)ね復旧。「患者急増に伴って入力が大幅に増え、機構に負荷が掛かった」事が原因と見られ、接続出来る利用者の数を引き上げる様に機構の改修を行う方向で検討が始まった模様。

 今から十四年前、平成20年6月8日の白昼。休日の東京、秋葉(あきは)(ばら)貨物自動車(トラック)が歩行者天国の通行人5名を次々と()ね、更に運転席から降りて来た男が附近に居た12名を短剣(ダガー)で刺して男女7名の命を奪い、10人に重軽傷を負わせる事件が発生。直前に(インター)(ネット)の掲示板に生活や職場に対する不満や犯行予告を書き込んでいた犯人、後の加藤(かとう)智大(ともひろ)死刑囚は殺人等の罪に問われ、1審と2審で死刑を言い渡されたのに対して「死刑は重すぎる」等と上告するも平成27年2月、最高裁判所の判決で死刑が確定。此の間に『解』、『解+ 秋葉原無差別殺傷事件の意味とそこから見えてくる真の事件対策』、『東拘永夜抄』、『殺人予防』と4冊の手記が出版されるも真の動機は判然とせぬ(まま)に本日午前、収容されていた東京拘置所で加藤死刑囚の処刑が行われた由。

 ()の「秋葉(あきは)(ばら)(とお)()事件」、()しくは「秋葉原無差別殺傷事件」を経て、我が国に於いても「不特定多数の人が集まる場所の安全確保に関する議論が進む契機となった」との意見も有る様だが、類似の事件は以降も続発。コロナ()が始まった後も、昨年8月に「東京の小田急線の車内で、乗客が切り付けられた」事件、同年10月に「京王線で乗客が切り付けられ、車内が放火された」事件、同年12月に「大阪の心療内科診療所(クリニック)が放火され、26人が死亡した」事件が発生。元総理が路上で射殺されるに至っては、安全確保の議論が不足していたのか。(ある)いは(いたずら)に空論を戦わせていただけだったのか、と疑いたくもなる。全ての事件に対し、犠牲者達の冥福を祈るばかりだ。


7月27日(水曜)

 厚生労働省の調査に()れば、今月24日(まで)の六日間に全国で確認された集団(クラスター)感染等の総計は992件に上り、施設別で最も多かったのが、「高齢者福祉施設」で前週より41件増えて337件。次いで「学校・教育施設など」で248件、「医療機関」が151件、保育所を含む「児童福祉施設」が101件で、「企業など」が75件、「障害者福祉施設」が35件、「運動施設など」が21件、「飲食店」が11件等の結果だった由。

 内閣官房の発表では、今月26日時点で重症(じゅうしょう)確保(かくほ)病床(びょうしょう)使用(しよう)(りつ)は東京都で53%。確保(かくほ)病床(びょうしょう)使用(しよう)(りつ)は沖縄県で85%、静岡県で74%、神奈川県で71%、和歌山県で67%、熊本県で66%、福岡県で65%、鹿児島県で61%、兵庫県で59%、青森県と石川県で58%、広島県で55%、千葉県と滋賀県と長崎県で54%、茨城県で53%、福島県と大阪府で52%、埼玉県で50%で、19都府県が五割超。新規(しんき)陽性(ようせい)(しゃ)(すう)の先週比も全都道府県で1.0倍を超え、倍増する自治体も見られる等と全国的な感染拡大が続く情勢。

 そして本日は20万9694人の感染と129人の死亡、311人の重症者が発生。東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県、福岡県、兵庫県で万単位の新規感染者が確認され、東京から「一週間に感染者の救急搬送725件で第6波頂点(ピーク)時を超える」、大阪から「医療非常事態宣言の宣言」「大阪雛形(モデル)に基づき、太陽の塔が赤色に照らし出される」等が報じられた。政府が「患者向けの病床を速やかに5万床にまで増やす」「国が抗原検査キットを買い上げて自治体を通じて発熱外来や薬局などで無料で配る」計画を伝えて協力を求めたのに対し、日本医師会会長の松本(まつもと)吉郎(きちろう)氏は記者会見で「診療業務に影響が出る事も考えられる」「現場に混乱を生じさせず効率良く行う必要がある」と指摘し、抗原検査キットは「自治体の窓口等で配る事も検討すべきだ」と発言。政府に対して「不足しているPCR検査の試薬等を医療現場に早急に供給する」事や「“HER-SYS”の入力項目を簡素化する」事も求めたそうだが、概ね妥当な要請と言えるか。

 本日に第92回の新型コロナウイルス感染症対策諮問(アドバイザリー)委員会(ボード)所謂(いわゆる)、厚生労働省の専門家会合が開かれ、「全国的に過去最高の感染水準(レベル)が更新され続けている」「医療体制に大きな負荷が起きている地域もあり、社会活動全体への影響も生じている」との指摘有り。本日の時点で従業員のCOVID感染や濃厚接触に()り、全国154箇所の郵便局が窓口業務を休止。WHOの報告に拠ると、今月24日迄の一週間当たりの新規感染者数は世界全体で660万7653人と前の週より3%減少。世界全体では微減を示すも、東亜細亜(アジア)では増加傾向が見られ、前週に比して蒙古(モンゴル)は約7倍、韓国は80%の増加。日本も73%増えて96万9068人となり、当該期間に於ける新規感染者数は世界一だった模様。他国に比して精密に確認と報告を行っている為との背景も在ろうが、世界一位の栄冠を得ても(あま)(うれ)しくは無い。


7月28日(木曜)

 昨日の時点で東京都の重症確保病床の使用率は53%となり、確保病床の使用率は沖縄県で88%、神奈川県と静岡県で74%、和歌山県で70%、福岡県で68%、熊本県で65%、広島県で64%、兵庫県と鹿児島県で63%、青森県で58%、石川県と長崎県で57%、千葉県と茨城県で56%、大阪府で54%、埼玉県と滋賀県で53%、奈良県で51%、佐賀県で50%。20都府県が政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準(レベル)」を上回り、新規陽性者数の先週比は島根県が0.93と1倍を下回った以外はすべての都道府県で1.0倍を超え、2倍を超える自治体も認めた。

 そして本日は全国で23万3094人と、遂に史上最多の新規感染が発表された。大阪府で21人、愛知県で10人、神奈川県で9人、福岡県で9人、兵庫県で7人、東京都で7人、熊本県で5人、千葉県で4人、静岡県で4人、和歌山県で3人、宮城県で3人、岐阜県で3人、茨城県で3人、鹿児島県で3人、三重県で2人、佐賀県で2人、北海道で2人、埼玉県で2人、大分県で2人、宮崎県で2人、山梨県で2人、広島県で2人、香川県で2人、奈良県で1人、山口県で1人、栃木県で1人、群馬県で1人、青森県で1人で総計114人の死亡と346人の重症者も確認。

 東京都の新規感染者も4万406人で過去最多。「感染経路不明の新規陽性者」も六週連続で増加し、昨日時点の七日間平均で2万2212人と過去最多を記録。都のモニタリング会議は都内の感染状況と医療提供体制の警戒水準を最も深刻な域で維持すると共に「今の増加速度が続けば、来月3日の時点で5万3762人」「第6波頂点(ピーク)時の(およ)そ三倍に達する」との予測を発表。今月18日に至る一週間のスクリーニング検査でBA.5疑いのウイルスが83.3%を占め、置換が進んだ事が判明。27日時点でPCR検査や抗原検査の陽性率が50.5%と過去最高の値になった事も報告された由。大阪府では2万4296人、神奈川県では1万5255人の新規感染者。愛知県1万5675人、埼玉県1万3058人、福岡県1万2714人、千葉県1万1778人、兵庫県1万1027人、(いず)れも過去最多。

 沖縄県でも新たに5442人の感染が確認され、県に依頼された民間会社が病院や入院待機一時受入施設(ステーション)への搬送を請け負うも、其の業者も依頼急増に対応困難となる事態。夏季休暇が始まって増加中の観光客に対し、沖縄県は「ワクチンを接種し、旅行前に検査を受け」た上で「解熱剤や服用中の薬を多めに持参する」様に呼び掛けているそうだが、常識的には訪問自体を控えるべきだろう。北海道では5676人、静岡県5370人、京都府5228人の新規感染者が発生。和歌山県から10歳未満の女子児童、静岡県から3歳女児の死亡に関する報告有り。どちらも基礎疾患が存在した様だが、改めて子供は死なない病気と断言は出来ぬ事が示された。

 感染急拡大で発熱外来の受診も困難となった情勢に対し、政府は「有症状者が自ら検査が出来る様に」と「発熱外来や薬局等で抗原検査キットを無料で配る」方針を検討。更に官房副長官の磯﨑(いそざき)仁彦(よしひこ)氏が午前の記者会見で「発熱外来以外」、「例えば郵送や薬局、公共施設で配る等の方法も示している」と発言。また内閣総理大臣の岸田(きしだ)文雄(ふみお)氏が、同じ自由民主党の党員にして全国(ぜんこく)都道府県(とどうふけん)議会(ぎかい)議長(ぎちょう)(かい)会長と秋田県議会議長を兼任する柴田(しばた)正敏(まさとし)氏と官邸で懇談。「感染が全国的に拡大しており、最大限の警戒が必要な状況」なれども「都道府県の皆様と力を合わせ、社会経済活動と感染拡大防止の両立を維持して行く」と語り、「病床を最大限稼働させることや検査体制の拡充」、「60歳以上の人などへの4回目のワクチン接種」「若い世代への3回目接種の促進」に協力を求めた由。

 本日から奈良市で、全国(ぜんこく)知事(ちじ)会議(かいぎ)三年(さんねん)()りの対面形式にて開催。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の扱いについて意見が相次ぎ、神奈川県知事の黒岩(くろいわ)祐治(ゆうじ)氏から「何時(いつ)(まで)も2類相当では実態と合わず、社会経済活動が止まってしまう」。北海道知事の鈴木(すずき)直道(なおみち)氏から「オミクロン株は99%が軽症で在る事を踏まえ、議論を進めて行く事が重要」。千葉県知事の熊谷(くまがい)俊人(としひと)氏から「感染者の全数把握は見直しの必要が有る」「負担を軽減する為、定点把握に移行すべきだ」。東京都知事の小池(こいけ)百合子(ゆりこ)氏から「入院者数が増加する中、4回目のワクチン接種の対象拡大や国産の飲み薬の後押しを御願いしたい」等の発言有り。また全国知事会と日本医師会とが回線(オン)接続(ライン)で意見交換。日本医師会の松本会長からは抗原検査キットの配布に就いて「都道府県の医師会と行政が協議し、地域の実情に合った仕組みを早急に築く」事の重要性が語られ、「発熱外来に限らず郵送や公共施設で配る」事が求められた模様。


7月29日(金曜)

 一昨日の時点で全国の自宅療養者総計は109万8671人となり、前週から48万6648人増えて二週連続で過去最多。都道府県別では東京都が最も多く15万7576人、次いで大阪府が11万5909人、愛知県が7万5160人等。「要入院と判断されるも受入先調整中」の患者は2069人で、前週から1104人増えた。第六波に於いて「自宅療養者への保健所による健康観察が遅れ、入院出来ずに療養中に自宅で死亡」した患者が存在した事から、厚生労働省は全国の自治体に医療提供体制の強化を求めている由。内閣(ないかく)官房(かんぼう)が発表した昨日時点の情報に()ると、重症確保病床の使用率は東京都で54%となり、確保病床の使用率は沖縄県で93%、神奈川県で77%、静岡県で75%、福岡県で72%、和歌山県で71%、鹿児島県と熊本県で65%、広島県と石川県で64%、兵庫県で62%、茨城県で59%、埼玉県で58%、千葉県と滋賀県で57%、長崎県と大阪府で56%、奈良県で55%、青森県で53%、佐賀県で50%となり、20都府県が政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準」を超過。

 そして本日の新規感染者数は全国で22万1442人。昨日よりは少ないが、各地で過去最多を更新し、死亡122人と重症376人も報告された。官房副長官の木原(きはら)誠二(せいじ)氏は、記者会見で「10代から30代等、若い世代を中心に新型コロナの感染者が急増している」一方、「若い世代の3回目のワクチンの接種率は3割から5割台に留まっている」と指摘。来月を「ワクチン推進(すいしん)強化(きょうか)月間(げっかん)」と定めて「岸田総理大臣が若者に接種を呼び掛ける動画を配信する」等と政府全体で広報を強化し、早期接種を促す意向を表明。齢66歳の厚生労働大臣、後藤(ごとう) 茂之(しげゆき)氏も本日午後に大手町の大規模接種会場を訪れて4回目接種を受けると共に「高齢者や危険性(リスク)が有る人には、なるべく早く4回目を打って欲しい」「病院や高齢者施設の従事者等も打てる様になったので是非、御願いしたい」と述べた由。

 一方、昨日の全国知事会議で「新型コロナの感染症法上の扱いを、季節性インフルエンザと同じ扱いに見直す」事も含めて「従前(じゅうぜん)の対策を転換すべき」との意見が相次いだ事に対し、後藤厚生労働大臣は「現時点で、新型コロナの致死率はインフルエンザより高く、特に高齢者はその差が顕著」で「感染力も極めて強い」為に「感染の規模が非常に大きくなる可能性が有る」。故に「医療が逼迫(ひっぱく)し、必要な人に医療が提供出来ない恐れが出てくる」と指摘。「感染力が強いBA.5の状況等」も考慮すると「伝家の宝刀とも言うべき特別措置法上の強力な措置の可能性」を残すべきだと断じ、知事達の要求を一蹴。しかし、「詳しい情報が客観的に積み上がって来れば、専門家の意見も伺いながら柔軟に議論を続けて行きたい」と述べて、今後の対応に関しては含みを持たせたとの事。

 昨日に岸田総理大臣が後藤厚生労働大臣や山際新型コロナ対策担当大臣と対応を協議。「発熱外来を中心に医療機関への負荷が急速に高まっている」「社会経済活動の維持と医療の逼迫の回避を両立出来る様、取り組む必要有り」との認識が共有された結果、本日に「都道府県が自主判断で発信出来るBA.5対策(たいさく)強化(きょうか)宣言(せんげん)を新設する」旨が発表された。具体的には「病床使用率が50%を超える等、医療機関への負荷の増大が認められる」場合に「高齢者や基礎疾患を持つ者に混雑した場所への外出を控える様に要請」「ワクチン早期接種や遠隔勤務の推進」等の内容だが、国は「宣言を行った都道府県に感染対策の指導や助言を行い、必要に応じて連絡調整に当たる職員を派遣する」等で「都道府県の対策が円滑に進む様、支援する」立場に留まり、現時点で行動制限や店舗への休業要請等を行う予定は無い模様。「新たな宣言発信で感染拡大の長期化を防ぐ狙い」との事だが「厳しい判断は一旦、先送り」にした挙句、「国民に反発されそうな話は地方に丸投げ」の構図にも見える。

 一般名Acetaminophen、国に依ってはParacetamolと呼ばれる解熱鎮痛剤のうち、日本国内で汎用されている製品が商品名Calonal。COVID患者にも処方される当該製品に関して、製造元のあゆみ製薬が「患者急増で想定を大幅に超える需要が発生」「生産が追い付かず、安定的供給に支障が出る」として出荷を制限する旨を発表。カロナールの200mg錠、300mg錠、500mg錠、細粒50%、原末、坐剤小児用50mg、坐剤100mg、坐剤200mg、坐剤400mgの9剤型が全て限定出荷、細粒20%とシロップ2%の2剤型は出荷停止となる由。あゆみ製薬から「想定を大幅に上回る需要が継続して、一時的に欠品となるおそれが出たため、限定出荷や出荷停止となりおわび申し上げます」「(すみ)やかに解除出来るよう安定供給体制の確保等に努力を尽くします」。日本薬剤師会から「ほとんどの患者の最初の選択肢となる解熱鎮痛薬」なれども、「これ以外にも同様の効果のある薬はあり心配はない」との声明も発表された。

 カロナール出荷量の調整決定を受けて、本日に厚生労働省は全国の医療機関や薬局等へ「買占めを控える様に」と通知。同効の解熱鎮痛薬たる Ibuprofen、或いはLoxoprofenの使用検討が推奨された模様。


7月30日(土曜)

 本日は全国で22万2305人の感染、101人の死亡、403人の重症者が確認された模様。各地の新規感染者数は東京都3万3466人、大阪府2万2833人。神奈川県1万5031人、愛知県1万4692人、福岡県1万3954人、埼玉県 1万2768人、千葉県1万644人、兵庫県1万452人。神戸市は中心部の(さんの)(みや)に、事前予約不要の接種会場を土日や祝日限定で設置した由。北海道6286人、静岡県5814人、沖縄県5762人で過去最多、京都府5193人。2948人の宮城県内では、COVID患者の病床使用率46.3%。第六波の頂点(ピーク)時を上回る水準に達し、県は本日の対策本部会議で、国が昨日に導入したばかりのBA.5対策強化宣言の発令を決定。

 プロ野球界の感染拡大は続き、「All-star gameで辞退が相次ぎ、阪神から2人追加選出」「巨人は試合再開に向けて調整を進めるも、療養終了後も選手の体調が整わず、31日のDeNA戦中止を決定」。更には「ヤクルトのmascot、つば九郎(くろう)も感染確認」等が報じられた。角界では今月24日に名古屋場所が終了するも、感染拡大の影響で力士や親方の休場が相次ぎ、負傷の2名も含めると「戦後最多となる23人の関取が休場」する異例の事態となった。(かど)(ばん)大関(おおぜき)の御嶽海、初土俵から18年余に渡って連続出場を伸ばしていた玉鷲(たまわし)も途中休場。日本(にほん)相撲(すもう)協会(きょうかい)が今週27日の番付編成会議で休場力士の扱いに就いて話し合うも個別の力士の扱いには言及されず、来月29日の番付発表を以て明らかにされる模様。

 J Leagueでは感染対策上、声を出して応援する事は原則禁止とされて来たが、浦和レッズ応援団(サポーター)のうち少なくとも60人が5月の埼玉スタジアム、鹿島アントラーズ戦の前に約10分間。更に今月2日、ガンバ大阪との遠征(アウェー)試合で少なくとも100人が約5分間、声を出して応援を行った事が判明。どちらも例外的に声援が認められた特別な試合では無く、Jリーグ側は「政府当局からも指摘を受ける等、社会的な影響も大きく、Jリーグの信用を毀損した」「声出し応援の段階的な再開を含む、Jリーグの試合の正常化に向けた取り組みを阻害しかねない」として、レッズに過去最高額の罰金2000万円と譴責(けんせき)処分を科す由。浦和レッズ側は「指針(ガイドライン)を順守する事が出来なかった事実」を認めて「関係される全ての皆様に心より()()び申し上げます」との声明を出すと共に、社長や副社長が役員報酬の一部を3ヶ月に渡って自主返納。今後は違反行為に対して「即時退場も含む対応を取る」との事。

 今週は感染拡大に伴って人員確保が困難となる職場も多く、乗務員を揃えられなくなったJR九州(きゅうしゅう)が、今週25日の時点で「7月27日から8月5日に掛けて、特急列車合わせて120本を運休する」と発表。博多と大分を結ぶ特急「ソニック」の上下線合わせて100本、博多と長崎を結ぶ特急「かもめ」の上下線合わせて20本等が運休となる由。宮崎(みやざき)交通(こうつう)小田(おだ)(きゅう)バス、関東バスも路線乗合自動車(バス)の運行の本数を減らさざるを得なくなる等、公共交通機関にも影響有り。今週27日時点で全国154箇所の郵便局が窓口業務を休止。()まり()けている日本国の生命活動は、来週以降に復活するのだろうか。


7月31日(日曜)

 本日は全国で19万7792人の新規感染、82人の死亡。東京都では新たに3万1541人の感染が確認され、日曜で過去最多となった由。「COVIDの感染症法上の扱いを季節性流行性感冒(インフルエンザ)と同列に引き下げるべし」との声に対し、今夜に岸田総理大臣が改めて発言。「従来から言っているが、感染が拡大している此の頃合(タイミング)で感染症法上の位置づけを変更する事は考えていない」。今後に「ウイルスの変異の可能性等も(しっか)り判断」した上で「専門家の意見も聞きながら丁寧に検討」するとの事。また安倍氏暗殺事件を契機に「政治、社会的に問題になっている」世界(せかい)平和(へいわ)統一(とういつ)家庭(かてい)連合(れんごう)、即ち旧名は世界(せかい)基督(キリスト)(きょう)統一(とういつ)神霊(しんれい)協会(きょうかい)。旧略称、統一教会と自民党議員との関係に就いては「国民の皆さんの関心も高い訳で、丁寧な説明を(おこな)って()く事は大事だ」と語ったそうだが、此方(こちら)に関しては(やや)、歯切れが悪い印象有り。

 先週21日にCOVID陽性と判定された米国大統領、Joe Biden氏の容態(ようだい)に関しては、24日の時点で主治医が「大統領の症状は著しく改善している」と報告。政権で新型コロナウイルス対策調整官を務めるAshish Jha氏も同日朝のテレビ出演で「大統領は昨日、とても良い日を過ごし」「体調も良かった」と述べ、大統領の濃厚接触者たる政府職員等の17人から感染が確認された者は居ないと説明。今週25日は鼻閉(びへい)と僅かな嗄声(させい)が残るも、咽頭痛は軽減。「症状は(ほとん)ど無くなった」旨が公表され、26日夜と27日朝の抗原検査で陰性が確認された事から一旦は隔離終了が発表された。しかし、昨日午前の抗原検査で再び陽性が確認され、隔離を再開した由。Paxlovid服用者の一部に見られる経過らしく、大統領は「今朝、陽性になった」「向後(こうご)数日間は在宅で働く事となるが、体調は良い」「大丈夫だ」との動画をTwitterへ投稿するも、本日と来月2日に予定されていた地方訪問は中止された模様。

 北朝鮮では、今年5月12日に国内へのSARS-Cov2流入が公表され、5月中旬に一日当たりの発熱者が39万人余に到達。6月以降は減少傾向とされて来たが、昨日になって朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が「新型コロナウイルスに()ると見られる新規の発熱者」が「29日は皆無だった」事を保健当局が発表した旨を報道。「無症状の患者が感染者に含まれていない」「他国に比して死亡率が低い」等と同国統計の信頼性は怪しく、一旦は感染が収束したとしてもワクチン接種率の低さから再拡大の危険性が高いとの指摘も有るが、同紙の記事は「非常防疫戦の勝利に向けて、我々特有の団結力が力強く示されている」と(うた)う。専門家からは「早期の封じ込めに成功したとして、近日中に北朝鮮指導部が新型コロナに対する勝利を宣言」「(キム・)正恩(ジョンウン)総書記の権威付けに利用するのではないか」との声有り。

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