令和2年7月第3週
7/13(月曜)
数ヶ月前から‘coronavirus party’、若しくは‘COVID party’という会合の噂が全米を席巻。最新の報道は、30歳男性が死の直前に参加を告白したとされるTexasでの事例。「『自分は若く無敵で感染しない』と信じていた男が“コロナパーティー”に出席した所、感染してしまった上に重症化を招き、看護師に『僕は間違っていた』『デマだと思っていたのに本当だった』と訴えつつ亡くなった」。同州のSan Antonio、Methodist Hospitalの医療主任Jane Applebyが地方紙に語った話が、数日経つと全国的に報道され、昨日にNew York TimesとABC newsも報道。これらの情報を引用する転電の形で、日本の各媒体も同じ内容を伝えているが。
この件に関して「死亡した男性が誰で、問題のパーティーは何時、何処で開催されたのかを教えてくれる者は誰も居ない」旨の指摘を発見。3月のKentucky州ではAndy Beshear知事が‘coronavirus party’に関する警告を発し、先月末から今月にAlabama州Tuscaloosa市でも消防署長のRandy Smith氏や市議会議員のSonya McKinstry氏が「新型コロナに観戦した場合に賞金を受け取るパーティーを開催した若者達」への憤りを語っているが、彼等の談話も具体的な情報を欠く。一犬、虚に吠ゆれば、万犬、実を伝う。大半が伝聞から構成されているのは拙文も御同様だが、無駄に世間を惑わさぬようにと改めて自戒。
7/14(火曜)
先月朔日及び16日の項にも記したが、厚生労働省が先月に3都府県にて行った調査で宮城3009人中1人、東京1971人中2人、大阪2970人中5人の抗体保有者を確認。合計8人分の検体を国立感染症研究所に送り、更に調べた所、全検体に於いてウイルス感染を防ぐ免疫機能を持つ「中和抗体」が確認された旨の発表有り。国内では初。或る程度まで予測された結果と言えども、積み重ねる事が科学の発展に通じるのであり、意義は大きい。
南米はブラジルの首都、ブラジリア。大統領公邸のアウボラーダ宮殿(Alvorada Palace)で隔離生活を送るボルソナロ氏が電話取材に対し、明日中に出る予定の検査結果が「待ち遠しい」、「毎日、家で同じ事を繰り返しているのはもう耐えられない」「実にひどいものだ」等と述べた旨の報道有り。重症化すれば同じ日々を繰り返す事すら困難となると知ってか知らずか、ボルソナロ大統領の体調は感染判明後も「すこぶる良く」、発熱や呼吸困難、味覚異常も無いとの事。宮殿の外でエミューに餌を与えつつ、自ら「遅くても1週間以内」と定めた通常復帰の日を待っている模様。
北米ではNew York Times紙が、一昨日の記事に「保健衛生の専門家は、その様なパーティーが実在するかどうかには懐疑的で、この事例の詳細は確認出来なかった」との訂正文を加えた。
7/15(水曜)
外出自粛や休業要請で疲弊した経済を再興させる目的で、政府が巨費を投じて実行しようとしている観光需要経済政策、「Go To トラベル」事業。当初は8月開始が想定されるも四連休前日から利用させる事が優先され、東京の新型コロナウイルス感染者が増加し続ける中、今月10日の時点で前倒しが決定。
感染拡大を懸念する声が上がる中、SOMPOホールディングス・グループCEO社長の櫻田謙悟氏が、経済同友会の代表幹事として昨日に記者会見。「片方に経済の活性化があり、片方に国民の安全があるという中で実施の是非は難しい問題」「旗幟鮮明に『こうすべき』と言い難い」と前置きしながらも「今の段階で『Go To キャンペーン』を延期すると夏休みの時期に間に合わなくなり、事業の中止と同じ話だ」、「実施を遅らせると不安を煽る事になるので、延期すべきではないと思う」と主張。国の舵取りも碌に出来ぬ政治家は大いに問題だが、船ごと押し流そうとする背後の動きも見据えなければなるまい。
7/16(木曜)
あわよくばスタチン系薬を使用する事無く、コレステロール値を昨年の域、150台まで下げたい。中性脂肪とは違って食事療法の効果が限られている事は、此でも医師の端くれ。百も承知だが、天命を云々言う前に循環器内科主治医の提案に従い、院内で妻と二人、栄養指導を受ける事になった。しかし、本日も他院精神科へ急ぎの入院依頼2件を出さねばならぬ様な状況で、当科外来に時間的余裕無し。某科と自分の外来を往復しては各所に連絡を取る合間に栄養指導室前で妻と合流、指導が終わるや否や速歩で外来へ戻った。
忙しい一日が終わって帰宅前、スマートフォンに入った速報を読んで一声唸る。本日に大阪の関西将棋会館で行われた第91棋聖戦の五番勝負・第4局で、藤井聡太七段が渡辺明棋聖に勝利。3勝1敗で棋聖を奪取した由。17歳11ヵ月の最年少タイトル獲得は30年ぶりの記録更新。今月1日に開幕した第61期王位戦七番勝負で、昨年史上最年長で初タイトルを獲得した木村一基王位に挑戦。人生色々で想う所も有るが、己は己だ。先ずは人事を尽くそう。
7/17(金曜)
東京都が新たに確認した新型コロナウイルス感染者が293人。昨日の286人を上回り、2日連続で過去最多を更新した旨を小池都知事が発表。「20代、30代が7割以上を占める一方、最近の傾向として世代間の広がりが有る」と述べた由。
また芸能事務所のケイダッシュステージが発表した所に依ると、同社所属のお笑い芸人でミュージシャンである「はなわ」氏の感染も判明。まず「担当マネージャーの新型コロナウイルスの感染が判明」して「直ちにはなわ本人に検査を受けさせた」所、16日の時点で陽性との診断結果が判明するも「本人の症状は全く出ておらず」、現在は「保健所と専門家の皆様の指示に従い、療養に努めて」いるとの経緯。誰が感染しても不思議は無い御時世だが、氏の『佐賀県』が約25万枚売上のヒットを飛ばし、NHK紅白歌合戦に出場してから既に17年が経つのか。月日は百代の過客なり。
7/18(土曜)
先日、新宿の東京女子医科大学病院に関して「感染症指定病院外のため当初は断っていた新型コロナウイルス感染者を、感染拡大後に都から再三要請されて受入決定」「志願してコロナ病棟に配属された看護師は過酷な勤務に耐え、元の病棟も皺寄せの人手不足」との状況が続く中、「一時帰休の形で実質的減給」、更に「例年6月に出る筈の上半期賞与は支給しないと決定」等が重なり、理由としてコロナ患者受入に伴う財政悪化が挙げられるも「都内のコロナ患者を受け入れている大学病院で賞与支給が無くなるのは東京女子医大のみ」で、遂に「同病院3施設に勤める約2000人の看護師のうちの400名以上が退職を希望した」と週刊誌が報道。
情報源である労働組合寄りに書かれた記事かと感じるものの、女子医側が明確な否定の声明も出せなかった所を見ると、相応の事実が含まれている可能性高し。「他所様の事ながら如何なる事やら」と推移を見守っていた所、本日に続報。資金調達の目処が立って「夏季賞与の支給を検討する」旨が、15日付の理事長・学長・病院長らの連名による文書で教職員に通知された由。「書面に支給時期や金額などの具体的記述が無い」との懸念も残る様だが、週刊誌に喰い付かれた儘で傷口を大きくするよりは、金策さえ成れば賞与を払う方を経営陣も選ぶだろう。
嘗て某運動部員として出場した東日本医科学生体育大会、通称・東医体。同じく参加していた女子医大チームの選手が競技を終える度に、全員女学生の同校応援席から飛ぶ「女子医、女子医、頑張った! フー!」という声援。「フー」という高音部に若き血を轟かせた日々を、御伽話の如くに回想する。
7/19(日曜)
迷惑系youtuberと呼ばれ、警察介入や裁判沙汰、アカウント停止を繰り返して来た「へずまりゅう」氏が、愛知県岡崎市のスーパーで撮影した「会計前の魚の切り身を食べる」動画を、今月11日に上載。愛知県警に窃盗容疑で逮捕されるも、二日後の13日に発熱。
15日に遺伝子検査で新型コロナウイルス陽性と確認されたが、潜伏期のうちに6月29日は都知事選の応援演説。今月に入って、1日に営業再開直後の東京ディズニーランドを訪れた後、10日に山口県へ移動(帰郷?)。錦帯橋・湯野温泉等の観光名所を巡り、事前告知で集めたfollower達と接触。何処でもマスクを着用して居なかったらしく、捜査を担当した岡崎署の警察官や同署に留置されていた男性、山口県内の男女に感染者が出た由。山口県の村岡知事が「何て事してくれるんだ」「マスクをすべきだ」と激怒したのも理解出来るが、迷惑系を名乗る人間には言うだけ無駄な気もする。
因みに、へずま氏は先月、総合格闘家兼youtuberとして著名な朝倉未来氏にスパーリングを要求して殴り倒されるも、打撃無しルールでは100kgとも言われる巨体とレスリング経験で圧倒。朝倉氏から「へずまの組技の強さにはビビったぜ」と評価されたのは豪気なものだが、この腕力も主として所謂凸撃の対象に恐怖を与える事に利用されていた模様。