令和4年7月第4週
7月18日(月曜)
本日は三連休の最終日だが、全国で7万6200人の新規感染。和歌山県で3人、青森県で3人、熊本県で2人、福岡県で2人、岩手県で1人、島根県で1人、愛知県で1人、東京都で1人、栃木県で1人、福井県で1人、群馬県で1人、長崎県で1人、静岡県で1人の総計19人の死亡が発生。人工呼吸器や集中治療室などで治療等の治療を要する重症COVID患者は144人。東京都では1万2696人、神奈川県9445人、埼玉県5639人。大阪府は4859人、福岡県4187人、千葉県4181人。兵庫県3302人に愛知県3258人の新規感染者が発生した由。
日本プロ野球に於いては、北海道日本ハムFightersの監督を務める新庄剛志氏、同軍の指導者4人に選手4人の総計11人が感染。明日のオリックス戦では監督代行が指揮を執る模様。東北楽天Golden Eaglesでも「今季序盤の好調を支えた西川遥輝選手が新型コロナウイルスに感染」「広島東洋(とうよう」Carpも二軍選手と職員、総計12人の新規感染を発表」と感染拡大に因り、球界も震撼。
7月19日(火曜)
本日は全国で6万6745人の感染、28人の死亡、155人の重症者が確認された。東京都の新規感染1万1018人は八日連続の一万人超となり、神奈川県は8576人、大阪府は5019人。福岡県3969人、愛知県3668人、埼玉県3380人、千葉県2901人、兵庫県2184人と続く。沖縄県は2055人で先週火曜より減少するも、石垣市では連日200人余の新規感染者が発生して、石垣島最大の県立八重山病院も「COVID専用病床が満床」となった上に「職員の1割相当が感染や濃厚接触で出勤出来ない」状況に陥り、県が沖縄本島から看護師3人を派遣する由。
官房長官の松野博一氏は閣議後会見で「引き続き感染者数の急速な増加の継続も懸念され、医療提供体制への影響も含めて注視して行く」必要有りと語る反面、「行動制限を行うのでは無く、社会経済活動を出来る限り維持」しながら「整備してきた病床等を確りと稼働させる事を基本に保健医療体制の確保に万全を期す」。「重症化危険性の有る高齢者を守る事に重点を置き、効果が高いと見込まれる感染対策に国と地方が連携して機動的、重点的に取り組んで行く」と発言。新型コロナ対策担当大臣の山際大志郎氏も「医療体制が逼迫しない状況で社会経済活動を両立させる」事に「全力を傾注」、「最大限警戒しながら対応に当たっている」。「激しい感染の爆発の様なものが起きれば、医療崩壊に近い様な医療提供体制の逼迫になるので諸有手立てを考えなければならない」と一応の理解を示しつつも「然う為らない様に努力を続けたい」と述べた所を見ると、政府は新たな手は打たずに様子を見る事を選んだ模様。余程の惨事が起きぬ限りは「経済面も鑑みて行動制限はしない」方策も悪手では無かろうが、既に今般の感染状況は其の域を疾に超えてしまった気もする。
本日に政府が公表した最新状況に拠ると、国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を受けた者は7891万1788人で、全人口の62.3%に相当。年代別で見ると12歳から19歳は32.4%で、20代も46.9%と半数を割って居り、30代が50.7%、40代が59.5%、50代で76.9%。60歳から64歳は83.3%、65歳から69歳は82.6%、70代は90.8%、80代と90代は94.5%で、100歳以上は91.4%。5歳から11歳のを対象にした接種に限定すると1回目を受けた者は19.1%、2回目は17.7%に留まり、4回目接種を受けた60歳以上は対象者の31.4%。
都道府県別で云えば、3回目接種を済ませた住民の比率が最も高いのは秋田県の72.92%、次点が山形県の71.04%で、新潟県の70.63%、岩手県の70.25%と続く。東北及び隣接区域で高い。3回目完了の比率が最低なのは沖縄県の46.27%。次に低いのが大阪府の55.71%。以下、京都府58.9%、福岡県59.01%、愛知県59.09%、兵庫県59.44%となり、東海より西の都市圏で低い傾向在り。4回目接種完了の県民が5%以上の県は茨城5.5%のみで、4%超は高い順に富山4.7%、岐阜4.47%、栃木4.43%、佐賀4.28%、宮城4.23%、千葉4.16%、群馬4.1%、鳥取4.07%、山口4.05%、愛知4.04%、愛媛4.03%、福島4.02%だが、此等を上回る唯一の自治体は東京都5.43%。医療逼迫への懸念からか、東京や愛知の大都市圏も頑張っている模様。4回目の接種率が低いのは秋田県1.46%、新潟県2.45%、三重県2.49%、島根県で2.52%、山形県2.65%となるが、3回目接種の上位三県が此処に入るのは意外。次いで和歌山県2.71%、徳島県2.74%、福井県2.78%、岡山県で2.88%、沖縄県2.92%、京都府2.98%。3回目、4回目共に低いのは沖縄県だが、感染状況の厳しさも宜なるかな。
大阪に本社を置く塩野義製薬は開発中の組換蛋白ワクチンに関して、12歳以上を対象にした臨床試験を進めて来たが更に此の度、「5歳から11歳を対象とする治験」を開始する旨の発表有り。参加者48人に当該ワクチンを2回接種して安全性等を評価し、「5歳から11歳の小児に適切な量」も確認するとの事。同社は「日本国内で5歳から11歳に接種出来るワクチンの選択肢は限られていて、ワクチンが必要な子供に選択肢を複数用意したい」「小児から高齢者まで幅広い年代に使って貰えるワクチン開発を目指す」とも宣言した由。意気軒昂なれども、其れに見合う製品を提供出来るか否かが問われよう。
7月20日(水曜)
全国の52消防機関の報告に基づき、「患者の搬送先が決まる迄に病院への照会が4回以上有った」等の搬送困難事例に就いて、週毎に総務省消防庁が発表した情報に拠ると、先週17日迄の1週間は4139件と前週に1000件余を加えて1.5倍に急増。COVIDに熱中症も加わった為か、先月下旬から4週連続で前週を上回り、感染拡大前の2019年同時期に比して5倍前後に達し、搬送困難事例4000件超は、第六波の訪れた今年3月以来。地域別では東京都2234件、大阪市349件、横浜市272件、千葉市150件、札幌市144件、さいたま市141件、福岡市89件だが、大都市程に件数は多くなくとも搬送困難事例が倍以上に増した地域も有る由。
厚生労働省も毎週、自治体が集団感染と認定した事例や2人以上が感染した事例を纏めているが、今週18日に至る一週間に全国で確認された集団感染は総計1214件で前週から517件、率にして74%の増加。件数は先月下旬以降、三週連続で増加して、今年3月上旬に記録された過去最多1263件に迫る勢いだが、施設別で最多は「学校・教育施設など」で409件、次いで「高齢者福祉施設」296件、「医療機関」156件、「児童福祉施設」152件で、「企業など」102件、「障害者福祉施設」35件、「飲食店」29件、「運動施設など」22件との事。昨日に内閣官房が発表した所に拠ると、確保病床の使用率は沖縄県で74%、熊本県で65%、和歌山県で59%、滋賀県で57%、島根県で53%となり、政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準」を突破。新規陽性者数の先週比は全都道府県で1倍以上となり、13県で2倍を超える等と全国的に感染拡大が続く情勢。
本日は全国で15万2536人の感染。53人の死亡。重症者は176人。各地の新規感染者は北海道2060人感染、宮城県2094人。関東では東京都2万401人、神奈川県1万1443人、千葉県5210人、埼玉県4811人。関西でも大阪府が初の二万超となり、2万1976人で、兵庫県6667人、京都府2487人が続く。東海では愛知県1万3628人、静岡県3724人、岐阜県2594人。九州は福岡県9136人、熊本県3772人、鹿児島県2718人で、沖縄県は5160人。千人超の府県は書き切れず、最多更新の四文字を見るのも日常茶飯事と化した。
斯様な情勢に於いて厚生労働省が整備を進めた結果、今月26日から「北海道等では一部の便利商店で接種証明書の交付を開始する」方針を発表。来月中旬以降は「全国のSeven-Eleven店舗で交付可能とする」予定で、他社店舗での交付も計画中なれども、取得には個人番号証明書が必須との事。4回目接種が進展しない件に対し、松野官房長官は本日午前の記者会見で「高い重症化予防効果が得られるため、対象者の方々には出来る限り早く接種して頂きたい」と発言。札幌市は参議院選挙の期日前投票所としての使用が終わった区民センターでの集団接種を再開。名古屋市も緑区の大型商業施設「イオンタウン有松」に大規模接種会場を新設。一日に最大1120人分のModerna製ワクチンを用意し、4回目接種のみならず3回目の接種にも対応する由。
観光庁所管の独立行政法人、日本政府観光局が「6月に日本を訪れた外国人旅行者は12万400人」との推計を発表。十万人を超えたのは三ヶ月連続だが、入国が再開された技能実習生や留学生の人数が計上される事が主たる要因と見られ、最多がベトナムの2万2900人、次いで中国が1万4700人、韓国が1万1200人との事。外国人観光客そのものの受入は先月10日から再開されるも査証の手続きに時間が掛かり、先月末迄に観光目的で入国した者は252人止まりだったが、今月1日以降は1万4000人余が観光目的での入国を申請して居る事から、観光庁は「今後、入国者は更に増える」と予測している由。
米国の疾病対策中心(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)は、昨日に最新の分析結果を発表。新規感染者のうちBA.5感染と推定される者の割合は、5月14日迄の一週間では1.1%だったのに対し、今月16日迄では77.9%に上昇した由。同国の新規感染者数は5月中旬以降、一日当たり概ね10万人前後で推移するも、新規入院患者数は今月16日に至る1週間平均で5700人余となり、5月中旬に比して約1.8倍に上昇。Biden政権で新型コロナウイルス対策調整官を務めるAshish Jha氏は「一度感染した者が再び感染する事例も多く生じている」とし、追加接種や混雑した屋内でのマスク着用等を呼び掛けているそうだが、米国民が従うか如何かは不明。
塩野義製薬が開発中のワクチンに就いては昨日の項に記したが、同社が開発中のCOVID用内服薬Ensitrelvir、商品名Xocovaに関し、今夜に厚生労働省の審議会が審査。「ウイルス量を減少させ、重症化予防の効果は推定出来る」という意見が出た一方、副作用に関して「胎児に影響が出る」恐れが有り「妊孕可能性を有する婦人、慢性疾患を有する高齢者は服用出来ない」、「オミクロン株に対して真に効果が有るのか」等の指摘が相次いだ結果、緊急承認の判断はせず「継続審議とする」事に決した由。オミクロン株感染が拡大した本年1月から2月に「12歳から70歳未満の軽症から中等症の新型コロナ患者428人」を対象に行われた治験では、本剤投与後に「咳や咽頭痛、鼻汁、鼻閉等の5症状が、偽薬服用群よりも改善した」「感染性の有るウイルスが検出される者の割合は偽薬群より90%減少し、 ウイルスが陰性になるまでの時間は1日から2日、短縮された」とされる一方で、当初の評価項目としていた下痢や嘔気等を加えた12の症状を合わせて比較すると「偽薬群と有意な差を認めなかった」模様。
重大な有害事象は認められず、最終段階の治験も進行中で、今月14日には「BA.4やBA.5に対しても、高い抗ウイルス活性を有する」事が確認されたと塩野義側は主張。11月以降に示される新たな治験結果も踏まえて改めて審査が行われる見通しとの事だが、国内初の内服薬が誕生するか否かは不透明な状況。
7月21日(木曜)
本日に厚生労働省が公表した所に拠ると、今月13日から19日迄の一週間に感染が確認されたのは速報値で59万6775人と、前週の約1.7倍に増加。年代別では10代が10万836人と最も多く全体の16.9%を占め、次いで20代が9万3476人で15.7%、30代が8万8744人で14.9%、40代が8万8338人で14.8%、10歳未満は8万2696人で13.9%となり、20代以下が27万7008人と全体の46.4%に相当。感染の主体は若年層に在り。今月20日の時点で、確保病床の使用率は沖縄県で75%、熊本県で67%、滋賀県と和歌山県で59%、神奈川県で54%、静岡県と島根県で51%となり、重症確保病床の使用率も東京都で48%、沖縄県で28%、大阪府で21%に及んだ由。
本日は全国で新規感染18万6246人、死亡者48人、重症者189人が発生。東京の新規感染者は3万1878人で初の三万超。「都民の約100人に1人が入院、宿泊、自宅の何れかで療養している」との情勢に対し、都のモニタリング会議は「大規模な感染拡大が継続している」と分析。医療提供体制に就いても「逼迫している」と判断され、警戒水準は最も深刻な段階へと引き上げられたとの事。本日午前に都内の救急車稼働率は98%を超え、空床が見つからぬ為に搬送に5時間以上を要する事例も出たものの、更に増えると見られている模様。大阪府2万2047人、愛知県1万3326人、福岡県1万752人と首都以外でも莫大な新規感染者が確認された。
沖縄県でも5250人の新規感染を認め、昨日を上回って過去最多となり、来月に三年振り開催の運びとなっていた「沖縄全島エイサーまつり」の延期が決定。本日に県が主催して航空自衛隊那覇基地にて行われた訓練では重症COVID患者の救命率を向上させる為、「体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation; ECMO)を装着した患者を県外等へ搬送する」との想定に基づき、医療従事者と自衛隊員が連携。重症患者に見立てた人形に人工心肺装置を装着した状態で救急車で運び、更に航空自衛隊の大型輸送機内に移す等の手順を確認した由。本日の対策本部会議で沖縄県は医療非常事態を宣言して、「軽症や検査目的での救急外来の受診は控える様に」と要請。更に7月22日から8月14日の期間に「不要不急の外出自粛」「会食は4人、2時間以内」「高齢者を含む重症化危険性を有する者は同居家族以外との接触を控える」、「千人超が参加する催事を開催する際は、感染対策の計画を事前に県に提出」した上で「酒の提供を伴う場合は時期の変更検討等を求める」等の行動制限も求められる模様。
昨日の時点で「30府県が過去最多を更新、全国でも15万人超の新規感染者数が確認される」事態に対し、政府は「自治体から要請が無い」等の理由から「現時点では蔓延防止等重点措置等の行動制限は行わない」方針を堅持しつつ、未だに3回目接種率が3割から5割台に低迷する若年層に向けて「SNS等も活用しながら接種の働き掛けを続けるとの事。東京都大阪に設置され、3回目と4回目の接種が行われている自衛隊の大規模接種会場の運営期間に関しても、「7月末」とされていた運営期間が「9月30日」へと延長される事が決定した模様。そして本日に所謂、厚生労働省の専門家会議。第91回新型コロナウイルス感染症対策諮問委員会が開催。「全国でBA.5が占める割合は今週の時点で96%に達し、来月第1週には全て置き換わる」との報告に加えて、「今後も全国的に過去最多の感染者数が更新され、高齢者の感染も増える」との不吉な予言が為される一方、対策としては「接種の促進」「検査の活用」、「効果的な換気」に「体調が悪ければ外出を控える」、「遠隔勤務を再び推進する」等の平凡な方策のみ。
一方、東京大学医科学研究所の特任教授、河岡義裕氏を含む研究者達は「BA.5に対する治療薬の効果」に就いて研究し、其の成果をNew England Journal of Medicine誌上にて発表。実際のBA.5株を培養細胞に感染させ、種々の治療薬を投与した結果、国内で承認されている抗ウイルス薬3種。即ちRemdesivir、Lagevrio 、Paxlovidは何れも対BA.2よりもウイルス増殖を抑制する効果が高かったが、抗体を使った治療薬に就いては「当初のウイルスへの効果と比べると大幅に効果が下がっているものが有った」模様。河岡特任教授は「BA.5の病原性は未だ十分、分かっていない」が、今回の実験では「日本で使える薬でも高い効果が見られた」「其の点で安心ではないか」と述べた由。嘗て寺山修司氏は「希望」を「最も重い病」に例えたが、当方は其処まで悲観していない。
7月22日(金曜)
一昨日の時点で全国の自宅療養COVID患者が総計61万2023人を数えた旨を、厚生労働省が発表。前週から28万人余、率にして86%増加し、本年2月の57万人余を上回って過去最多となった。都道府県別の最多は東京都で9万1599人。次いで大阪府の6万2790人、神奈川県が4万9199人。入院が必要と判断された患者のうち、受入先が調整中だったのは全国で965人で、前週から168人の増加。昨日に於ける確保病床の使用率は沖縄県77%、熊本県67%、和歌山県65%、滋賀県64%、神奈川県で58%、静岡県56%、青森県52%、福岡県51%。重症確保病床の使用率は東京都で49%、大阪府と沖縄県で28%と医療が逼迫。
新規感染者数を1週間平均で比較すると全都道府県で増加を示し、更に11道県では前週の2倍以上となり、37都県で過去最多を記録。需要の増加で都内の抗原検査キットは品薄となり、救急外来や救急病棟は受入依頼が増加する一方、感染や濃厚接触で医師や看護師が出勤停止となる事例が相次ぎ、今後は救急受入が困難になる模様。都内の小児病院も「救急搬送件数が通常の3倍」の日が有り、近い将来に診療を制限しなければならなくなる事が懸念されているが、更に状況の厳しい沖縄県では既に診療制限に踏み切る救急病院が相次いでいると報じられた。業務逼迫に対応する為、大阪府の枚方市保健所では今回の感染拡大に際し、保健所から電話をかける対象を高齢者や持病を有する「重症化する危険性の高い感染者」に限定。
本日は全国で19万5159人の新規感染が発表されて、二十万の大台も目前となり、52人の死亡と191人の重症者に就いても報告有り。地域別で見ると、東京都3万4995人、大阪府1万9952人、福岡県1万2155人、愛知県1万2068人、埼玉県1万1598人、神奈川県1万747人。万人単位の都府県が幾つも出て来る事態になってしまうと、北海道の4464人は寧ろ少なく感じるが、実際は此れも過去最多。「さっぽろ大通ビアガーデン」なる催事が三年振りに開催されているのは、少々危険な様に思う。
本日午前に我が国の内閣総理大臣、岸田文雄氏が官邸で日本医師会の会長、松本吉郎氏と再び面会。「休日も診療を受け付ける発熱外来を増やす」「有症状者が受診前に自ら検査出来る様、発熱外来で抗原検査キットを無料で配布する」等の実施に協力を求めたのに対し、松本会長は「最大限、協力したい」と応じた由。また岸田総理は「発熱外来の受付を公表」「自宅療養中の患者に電話で診療を行う」等に対して診療報酬を加算する等と云う医療機関への財政支援策で今月末が期限となっているものを、9月末まで延長する考えを伝えた模様。後者の電話再診はコロナ禍が始まって以来、当方も日々(ひび)携わって来た所で他人事に非ず。
また本日のうちに「60歳以上の高齢者」と「18歳以上の基礎疾患を有する者」或いは「医師が重症化危険性高しと判断した者」に限定されて来た4回目接種に関して、「医師や看護師」「患者を搬送する救急隊員や薬局の薬剤師」「助産所の職員」「患者と接する機会が多い自治体の職員」等を対象に加える。濃厚接触者に求める待機期間に関しても「従前の原則7日間から5日間に短縮」、「2日目と3日目の抗原検査が陰性ならば3日目に待機の解除を許可する」との重大な方針転換が決定。少なくとも前者の判断に関しては「遅きに失(しっ」した」と見る。
7月23日(土曜)
本日は東京都 で3万2698人、大阪府で2万2501人、愛知県で1万4348人、神奈川県で1万3716人、福岡県で1万2619人、埼玉県で1万2424人。そして全国で20万975人の新規感染が確認され、遂に二十万を突破。死亡は72人、重症者は203人。昨夕に松野官房長官が発熱等の症状を訴え、本日のPCR検査でCOVID陽性を確認。「其の後に解熱して、現在は自宅療養中」「執務中はマスクを着用していたので岸田総理大臣を含め、官邸内に濃厚接触者無し」との事。
米国では、一昨日に同国大統領のJoe Biden氏がCOVID陽性と判定され、大統領官邸での自主隔離を開始。大統領は2回のワクチン接種後に2回の追加接種を完了済。合計4回の接種はバイデン氏を重症化から遠ざけている可能性が高く、当年取って80歳の大統領は軽度の症状を認めながらも全ての公務を継続。Twitter動画で「元気だ」、「忙しくしている」と語りながらも、Paxlovidを内服している由。米国の感染対策を取り仕切って来たAnthony Fauci博士の感染が先に報告された事も有り、前任大統領の感染が報じられた時程の驚きは無い。
7月24日(日曜)
今週19日の時点で、日本野球機構/Nippon Professional Basebalは回線接続で代表者会議を開催。各球団で感染が相次いでいる状況に対し、「従来のPCR検査に加えて、体調不良を感じた関係者に抗原検査も行う」との新方針を策定。しかし、21日には球界の盟主を自任する読売巨人軍で主力投手の菅野智之氏、四番打者の岡本和真氏、主力選手の丸佳浩氏、中田翔氏を含む選手20人と指導者等18人の感染が新たに発表され、19日以来の感染者数は総計57人に上り、22日から名古屋で予定されていた対中日3連戦の中止が決定するに至った。
以降も巨人軍に於ける感染拡大は続き、本日に感染者の合計が76人に到達。他球団でも今週初めに記した日本ハムと楽天に加えて、広島やDeNA、そして西武、ロッテ、中日、ソフトバンクにヤクルトから続々と感染の報告有り。嘗ての名選手にして現在は球界上層部で働く人々も感染を免れる事は出来ず、一昨日は巨人軍監督の原辰徳氏、本日は日本ハム総監督の稲葉篤紀氏の感染が報じられた。
角界に於いても場所前に田子ノ浦部屋で、名古屋場所の最中にも出羽海部屋、鳴戸部屋、放駒部屋、武蔵川部屋、浅香山部屋、芝田山部屋、片男波部屋、伊勢ノ海部屋、追手風部屋でも感染確認。一昨日の時点で戦後最多「関取21人休場」の異常事態となり、優勝争いも相手力士の休場や不戦勝に左右される事は必至か。蹴球界では「一部座席で声援が許可されたJ1の試合のうち、今月6日の味の素球場で16人、日産球場で11人の観客が陽性判定を受けた」と報じられた。座席の位置関係は比較的離れて居り、声援許可との関連は不明とされた様だが、浦和Red Diamondsに京都Sanga、Avispa福岡、J2のVentforet甲府、Sanfrecce広島と各球団で感染が報告される状況は野球界と同様。
東京五輪の開幕から、昨日で1年が経過。NHKが33競技の35団体に行った質問紙調査の結果、施設整備の状況は「改善した」が44%、「変わらない」が56%で「悪化した」との回答無し。東京五輪・パラリンピックの開催経費1兆4238億円のうち、競技施設の整備等の会場関連支出が8649億円と過半を占め、閉会後も活用できる恒久施設の整備費は3491億円だが、仮設施設の施行と撤去にも2827億円を要した由。競技人口に就いては「増加した」が21%で「変わらない」が56%、「減少した」が18%で、合わせて70%以上が五輪開催の成果を感じぬ旨を回答。理由としては「無観客開催となった事から会場での訴求が出来なかった」、五輪前後に「新型コロナの影響で国内大会の開催が制限された」等が挙げられた模様。
五輪で採用された都市型運動のうちでも、堀米雄斗選手が男子ストリートで金メダルを獲得したskateboardは「施設の整備が改善」した上に競技人口も「増加した」と回答したが、「施設の整備が改善した」ものの、競技人口は「変わらない」と明暗が分かれた。殊にBMXの可能な施設はskateboardと併用のものが多く、今年4月に造られた千葉市の施設も「9割がskateboardの利用者」「BMXは1割にも満たず、大きな差がある」との事。
NHKが「令和4年度の収入の見込み」に就いても尋ねたところ、東京五輪前と比べて「減少した」が44%、「変わらない」が38%、「増加した」は12%で、「減少した」と回答した団体の大半が「出資契約の終了や撤退」を理由に挙げ、「8つあった出資者企業が半減した」団体も有った模様。「元来の契約が東京五輪迄」が多いものの、中には「新型コロナの影響による企業の業績悪化で契約が延長できなかった」事例も存在。レスリングは東京五輪で金5つを含む7個の賞牌を獲得するも、大会前は29社だった出資者が今年度は24社に減少。日本レスリング協会の事務局は「収入が減る事は予想」済で「東京五輪の後に如何するのか」に関して「予め動き始めていた」と語る。古代五輪からの伝統を有しながらも人気や普及度、稼ぎ出す放映権料が些か乏しく、IOC内の政治力も影響して五輪から外されかけた経緯も有る競技だけに、今回は現実を直視していた様だ。
対してsailingで東京五輪に出場するも予選18位に終わった山崎アンナ選手と高野芹奈選手の二人組は単一支援者との契約が終わり、環境が激変。海外遠征費の支援が受けられぬのは勿論、提供を受けていた快走艇は売却され、鍛錬施設は撤去。海外での大会に出場する為に中古艇を60万円ずつ出し合って購入し、国内では借り物で練習しながら巴里五輪を目指す二人は50社前後の企業と直接交渉。経営者の集会にも参加する等で支援を募るも、新たな支援者は見付かっていない由。五輪閉会後に支援者10社のうち3社の契約が終了した日本自転車競技連盟は、昨年度より4割減の約2億5000万円になる今年度の選手強化費を「東京五輪で唯一、賞牌を獲得した走路種目に約1億円を重点的に分配する」事を決定。
日本人も1964年の様に純朴では無くなり、運動の世界もコロナ禍に翻弄され、政治や経済の支配から逃れられぬのも当然の事。招致時点における不正や賄賂から始まり、「圧縮五輪」の宣言とは程遠い予算や規模を要し、大半の会場が東京で在るのに「復興五輪」を名乗る。五輪委員会の森喜朗会長が女性差別発言で全世界に晒した恥は“sportswashing”でも拭い切れず、会期中には未曾有の感染拡大。一発の花火を打ち上げる為に日本国が支払った代償は、余りにも大きかった。