令和4年6月第4週
6月20日(月曜)
内閣官房の発表を信ずれば、昨日も政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準」の目安を上回る程に医療の逼迫している都道府県は存在しなかった模様。
本日は全国で7800人の感染。北海道で2人、埼玉県で2人、沖縄県で2人、茨城県で2人、京都府で1人、千葉県で1人、富山県で1人、岐阜県で1人、神奈川県で1人、総計13人の死亡が発表され、人工呼吸器や集中治療室等を用いた治療を要する重症COVID患者は41人。今月16日に行われたPCR等の検査数は、自主検査を除いた速報値で4万8306件。東京都の新規感染者数は1076人と然程多くは無いものの、三日連続で前週を上回り、熊本県の271人も七日連続で前週より増加を示した。先週迄高値の続いた沖縄県は422人、大阪府394人、愛知県275人と少なく、他の地域でも宮城県が79人で略5ヶ月振りに百人を下回る等の報告も有るが、或いは週初めで報告が遅れているだけかも知れぬ。
政府が公表した最新状況に拠ると、国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を受けた者は7734万1135人を数え、全人口の61.1%に到達。年代別の3回目接種率は12歳から19歳が29.1%で、20代は44.4%、30代は48.2%。40代57.5%、50代75.1%、60歳から64歳82.3%、65歳から69歳82.4%。70代は90.4%、80代は93.8%、90代は93.3%、100歳以上は90.2%との事。先月から始まった4回目接種を受けた者は全国で9万7695人。都道府県毎に見ると、秋田県は3回目接種完了者が70.92%と全国1位、山形県も全国2位の69.35%等と東北は軒並み高め。全国3位は新潟県の69.33%。一時は感染拡大が続いた北海道だが、現時点の3回目接種完了者は329万2435人、62.99%と平均より高い。
人口が多い自治体故の困難も有ろうが、東京都は59.19%、愛知県も57.75%と平均以下。沖縄県の3回目接種完了者は44.99%と全国最低で、下位の2番目は大阪府53.93%、3番目が京都府57.34%。滋賀県59.53%、兵庫県57.96%で関西は低い傾向が有る模様。印象だけで断定すべきでは無いが、感染者の多さとワクチン接種率は概ね相関している様にも思える。
6月21日(火曜)
本日は全国で1万5384人の新規感染。東京都は1963人で四日連続の前週超え、大阪府は1511人で累計100万人を突破し、沖縄県1421人、愛知県1089人。そして全国で17人が死亡した旨の発表有り。COVID対策の一環として一昨年5月に導入された新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援機構(Health Center Real-time Information-sharing System on COVID-19; HER-SYS)。患者の名前や年齢、発症日、症状等の情報収集に活用されて来たものの、医療機関や保健所では当初「患者1人に対して約120項目を手作業で入力する」負担が掛かり、感染状況の把握が遅れた。新型コロナ対策を検証する政府の有識者会議からも「根幹の情報が国や専門家に提供されず、数字表示改革の遅れは深刻」との指摘を受け、厚生労働省は本年10月から「次の感染症に向けた新機構」を全国の自治体等に導入する方針を決定。新方式では一部情報を患者自身がsmartphone可能となり、手書き原稿からの複製送信を自動で読み取る技術の導入も検討されている由。
今月15日の時点で、政府の有識者会議は従前の感染対応に就いて「病床確保の法的措置が不十分な故に医療逼迫が起きた」等の課題を指摘し、「一元的に感染症対策を指揮する政府の司令塔組織の整備が必要」との報告書を纏めた。そして本日の記者会見で座長の永井良三氏は、今回検証の総括として「諸外国と比べた感染者数や死者数の少なさで大きな成果を挙げた」ものの「医療現場への負担、社会経済活動への負荷等国民の納得感は高くない」。「対策に生かされているか、政府の司令塔組織が計画の検討や報告等を監視して行かなければならない」と述べ、また有識者会議が「2年半以上に及ぶコロナ対応」の検証を「1ヶ月余に5回の会合」で終えた事に関しては「此れで検証が終わりとは思っていない」。「時間を掛ければ幾らでも問題点が出てくる」で「今後も違う立場での検証が行われるべきだ」と語った由。
6月22日(水曜)
今年3月からPfizer製のCOVID用ワクチンを用いて5歳から11歳の接種が行われ、昨日の時点で2回目接種率は16.2%に到達。そして本日、Pfizer社は「5歳から11歳を3回目の接種の対象とする」事を承認する様、厚生労働省に申請した由。同社の主張する所では、海外で2回目接種から凡そ6ヶ月が過ぎた5歳から11歳の児に3回目の接種を行った所、ウイルスの働きを抑える中和抗体の値が約6倍に増加した上にオミクロン株へも有効性が示され、安全性に関する新たな懸念は示されなかったとの事。小児を対象にした2回目迄の接種に関しては、国の研究班が今月に初めて資料を公表。「既感染の小児に比して抗体の値は高くなり、副反応が出る割合は成人より低かった」との結果を踏まえて、接種の意義有りと結論付けられて居り、厚生労働省は早ければ来月にも専門家の部会を開いて安全性や有効性を検討し、承認の可否を審議するとの事。
一方で、塩野義製薬が北海道大学と共同開発したCOVID用治療薬。Ensitrelvir製剤、商品名Xocovaの緊急承認に関しては、本日から厚生労働省の専門家部会で審議開始。「第七波に備え、治療の選択肢とすべき」「症状の改善は小さく、承認する緊急性は無い」と委員の意見が分かれた結果、有効性や副作用等の安全性について慎重に議論を重ねる必要があるとして審議を継続。「国内の製薬会社が開発した初の内服薬」が誕生するか否かの承認可否の判断は、来月に持ち越される事となった模様。
岡山県の報告に依れば、今月に同県内でCOVID感染が確認された1人から採取した検体をを精査した所、変異株BA.4を確認。空港検疫を除けば、初の国内での確認となり、更に別の感染者1名からBA.5も同県内初確認。2名は年齢や性別とも未公表だが、何れも海外から帰国した後の発症。市中感染では無いと見られて居り、症状は2人とも軽いとの事。
6月23日(木曜)
今月20日から22日に於いても、医療逼迫に関して政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準」の目安を上回る自治体は無かった模様。本日は全国で1万6676人の感染、15人の死亡。東京都では新たに2413人の感染者が確認され、六日連続で前週を上回った。都内の新規陽性者7日間平均も昨日の時点で1698人、前週比110%と五週間振りに増加。本日に開かれた都のモニタリング会議は、都内の感染状況に関して「感染状況は改善傾向」に在るが「注意が必要」の寸評と共に、4段階のうち第3位の警戒水準を維持。医療提供体制は「通常の医療との両立が可能な状況」と分析され、矢張り4段階中第3位の警戒水準を維持。沖縄県では1542人、大阪府では1248人の新規感染を確認。
兵庫県姫路市で今月13日に倦怠感や頭痛等を訴えてCOVID陽性と判定された50代女性に対し、姫路市の環境衛生研究所がゲノム解析を行い、本日にBA.4と確認。症状は軽く自宅療養中だが、海外渡航歴無し。空港検疫を除けば、岡山県からの報告に続き、今回が国内2例目となる模様。
現在の感染状況に関し、専門家会合は「全国では減少傾向が続いているものの減少幅が鈍化」「横這いや増加の兆しが見られる地域も有る」「人口当たりの感染者数が全国で最も多い沖縄県でも此処数日、増加している」等と指摘。今後の感染の動きに注意する様に呼び掛けた。会合後の会見で座長の脇田隆字氏は「東京都内の小学校で流行性感冒に因る学年閉鎖、一昨年3月以来の臨時休業」との報道に関して、「南半球の豪州で流行性感冒が増えている」上に「流行性感冒に対する免疫がコロナ以前と比べると落ちている」可能性も高く、「流行すると広がる可能性が有るかも知れない」と警告。府が国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、日本版CDCを創設する件に関しては「今後の感染症対策がより進む事が期待出来る」が「内容に関しては今後議論されて行くもの」だとの見解が語られた由。
6月24日(金曜)
日本全国に於ける新規感染者数の一週間平均は、先月26日迄が前週に比して0.87倍。今月2日は0.68倍、9日は0.75倍、16日は0.87倍と五週連続で減少するも、23日迄は1.00倍と増減無し。一日当たりの平均新規感染者数は約1万4248人で、23都県に於いては前週より増加を認めた由。
沖縄県は、今月9日迄の1週間が前週比0.97倍、16日は0.98倍、23日は0.99倍と三週連続で略横這い。1日当たりの新規感染者数は約1209人、直近1週間に於ける人口10万当たりの感染者数576.63人と全国最多の状態が持続。関東に於いては、東京都の今月9日が前週比0.78倍、16日は0.89倍と五週連続で減少するも、6月23日迄では1.15倍と増加。一日当たりの新規感染者数は約1811人。神奈川、埼玉、千葉の三県に於いても、16日迄の減少傾向が23日に至って増加に転じている。西に目を転じると、大阪府が今月9日は前週比0.78倍、16日は0.85倍、23日は0.96倍。京都府は今月9日が0.66倍、16日は0.92倍、23日まででは0.97倍と増加はしていないものの、減少が止まり掛けて居り、兵庫県では関東同様、23日で1.01倍と増加。
愛知県が今月16日の0.79倍から23日は0.99倍に、岐阜が0.70倍から0.72倍、三重県が0.82倍から1.09倍に変動と、東海三県内でも地域差有り。北海道は今月9日が前週比0.74倍、16日は0.88倍、23日まででは0.81倍と増加無し。宮城県は今月9日が0.80倍、16日は1.06倍、23日まででは0.84倍と増えたり減ったり。広島県も今月9日が0.76倍、
、16日は0.81倍、23日は0.86倍と減少の速度が弱まり、福岡県は9日0.68倍の16日0.81倍から、23日1.02倍と増加に転じた口。今月23日に至る1週間で島根県が前週比3.77倍で、鳥取県が1.54倍、青森県1.18倍、新潟県、1.15倍、福島県1.14倍と顕著な増加が見られた地域も有った模様。
斯様な情勢に対し、識者からは「夏季は人々の接触の機会が増え、暑くなるので窓を開放しての換気がし辛くなる」一方、「時間経過と共に3回目接種の効果は低下」。「オミクロン変異株のBA.4やBA.5に関しても市中感染の懸念が増す」と共に、冬を迎えている豪州で「COVIDと流行性感冒の同時流行」が報告されている事から「我が国でも夏を過ぎて秋冬になった時点で同時流行が発生する」可能性を考えねばならぬ等と警鐘が鳴らされた由。
本日は全国で1万5815人の感染。京都府2人、千葉県2人、埼玉県2人、東京都2人、沖縄県2人、三重県1人、奈良県1人、山口県1人、栃木県1人、神奈川県1人で総計15人の死亡。国内で感染が確認された者は空港検疫等を含めて922万6005人、観光客船の乗客や乗員を合算すると922万6717人。国内で感染が確認された死者は3万1108人、乗船者を含めると3万1121人。人工呼吸器や集中治療室を用いた治療を要する重症COVID患者は36人で、22日に行われたPCR等の検査の数は自主検査を除いた速報値で4万8643件。東京都では新たに2181人の感染が確認されて、先週金曜より585人増えて七日連続で前週の同曜を上回り、大阪府も新規感染1365人で先週金曜より240人増。沖縄県は1175人。福岡県が839人で四日連続、茨城県も280人で七日連続、前週同様より患者が増えている由。最早何度目かは数え切れぬが、また風向きが変わったのを感じる。
6月25日(土曜)
本日は全国で1万6593人、東京都は八日連続で前週超の2160人。沖縄県1499人、大阪府1472人、神奈川県1111人の新規感染を確認。
世界的大流行の襲来以降、国内では過去2年間に渡って流行性感冒の感染が広がる事が無く、抗体を持つ者が減っている為に「再流行時の被害が甚大となる恐れが高い」「COVIDとの同時流行で医療への負荷が増大する」等が懸念される問題に関し、今週23日に日本ワクチン学会が公式サイトで流行性感冒用ワクチンの接種を「強く推奨する」との見解を公表。特に「65歳以上の高齢者」や「生後6か月以上で5歳未満の乳幼児」、「妊婦」や「基礎疾患を有する者」等には強く接種を推奨するとの事。
今週20日、印度尼西亜のJogjakartaにて主要20か国の保健相会議。G20各国と世界保健機関等から凡そ130人が出席し、対面と回線接続を組み合わせて開催された会議ではCOVID感染拡大の教訓を踏まえて「今後の感染症対策に充てる基金」の設立が議題に上り、約100億弗、日本円で1兆3500億円規模の対策費」を要するとの結論に至る一方、各国への渡航を円滑にする為に「COVID用ワクチンの接種歴を記録したQR codeを読み取る世界共通の機構」を設定する事も話し合われた模様。
6月26日(日曜)
中国に於ける感染状況等の影響は続くものの、我が国では先月の便利店売上が「1年以上営業している既存店の合計で8864億円」となり、「昨年同月より3.2%増え、3か月連続の増加」。経団連が「従業員500人以上の大手企業」105社から得た回答状況を集計した所、「従業員1人当たりの今夏賞与額の平均は92万9259円」で「昨年より13%余を加え、四年振りに前年の額を上回った」。先月の「主要超級市場の売上は前年同月より0.9%増え、9か月連続の増加」。同じく先月の百貨店売上は前年同月を57.8%も上回り、3か月連続の増加と今週の日本経済は明るい話題が多かった印象。
少し毛色の異なる話題としては、今年の確定申告では電網を介する“e-Tax”を利用した者が440万人を超え、申告会場を訪れて手続きした者の人数311万人を初めて上回った由。Smartphone等で源泉徴収票を撮影すると金額が自動入力される新機構が導入された事に加えて、会場を訪れて感染する危険を回避したい者が多かった事が要因として大きかったものと見られる。また昨年度の国民健康保険の決算が「加入者減少に伴い、保険料収入は七年連続で前年度を下回った」にも関わらず、実質的な収支は2054億円の黒字に終わった由。しかし、「感染拡大に伴って受診を控えた加入者が多く、保険給付費が前年度より3381億円減った」事が主たる要因とすれば、余り望ましい結果とも言えぬ。
国連の第15回生物多様性条約締約国会議は中国が議長国を務める事となるも、一昨年から延期。今年に昆明で対面での会議が計画されるも、感染拡大で更に延期。今週21日、国連の生物多様性条約事務局は「開催地を加奈陀の門土里留に変更」した上で「今年12月に開催する」と発表。引き続き議長国を務める中国も了承した模様。上海/Shanghaiからの部品調達が滞る状況が続き、トヨタ自動車は「来月上旬に一部稼働を停止する」としていた7工場のうち2工場で「更に停止する日を追加する」旨を発表したが、当の上海市は一先ず外出制限が解除された由。
また香港/Hong Kongに来月1日の中国返還25周年が迫る中で、小学生も含めた祝賀行事の参加者へ事前隔離が要求された由。武漢/Wuhanで都市封鎖の措置が執られて以降、中国本土から出る事の無かった国家主席、習近平/Xi Jinping氏が「香港を訪れるのか否か」に内外から関心が高まっている模様。