令和4年5月第5週
5月23日(月曜)
本日は全国で1万8510人の感染。東京都で6人、千葉県で4人、埼玉県で4人、北海道で3人、福岡県で3人、大阪府で2人、広島県で2人、沖縄県で2人、三重県で1人、京都府で1人、兵庫県で1人、愛知県で1人、鹿児島県で1人の合わせて31人の死亡が報告された。
大阪府は府内の飲食店に対して「同一の食卓には4人以内で2時間程度」との制限を要請して来たが、昨今は感染が比較的、落ち着いていると判断。本日から府の認証を受けた店への要請が解除され、1年半振りに飲食店への制限要請が無くなった由。感染者数や病床使用率に基づいて警戒水準を示す独自の基準「大阪モデル」も警戒を示す黄色から警戒解除の緑へと切り替わり、大阪の象徴たる通天閣の照明も警戒を呼び掛ける赤や黄色から7ヶ月振りに緑が点灯。周辺の客足も徐々に戻り始めて、大型連休頃から通天閣を訪れる日本人観光客はコロナ以前と同程度に回復するも、通天閣の御膝元、新世界に立ち並ぶ飲食店は閉店を余儀無くされた所、長く休業の続く所も多いとの事。
本日の新型コロナウイルス対策本部会合にて、政府が基本的対処方針を変更。屋内では「2米以上を目安に周りの者との距離が確保され、会話を殆ど行わない」場合、屋外でも「周りの者と距離が取れる」若しくは「距離が取れなくても会話を殆ど行わない」場合に於いてマスク着用の必要は無く、特に夏場は「熱中症予防の観点から外す事を推奨する」旨が盛り込まれた由。学校では「体育の授業でマスクは必要無く、部活動の際も体育の授業に準じる」。「接触を伴う競技」に就いては「各競技団体が作成する指針等」を踏まえて対応」。2歳未満の小児にはマスク着用を推奨せず、2歳以上だが小学校入学前の小児に就いても、保育所等では「周りの者との距離に関わらず、一律には求めない」との事。他に「来月1日からの水際対策緩和」、「ワクチンの4回目接種の主目的や対象」も議題に挙がった模様。
本日に政府が公表した最新状況に拠れば、国内で新型COVID用ワクチンの3回目接種を受けた者は7288万5597人で、全人口の57.6%。年代別では12歳~19歳が21.6%、20代は38.9%、30代は42.8%、40代は52.7%、50代は70.9%。60歳~64歳は80%で、65歳~69歳も81.7%、70代は89.6%、80代は92.6%、90代は91.6%、100歳以上は88.3%が3回目接種を済ませた模様。少なくとも1回の接種を済ませた者の総計は1億347万7082人で、全人口の81.7%。2回目も終えた者となると1億193万8291人で全人口の80.5%だが、5歳から11歳を対象にした接種に限ると、少なくとも1回目完了は118万7200人で全体の16%。2回目接種済は94万6438人で、全体の12.8%となる由。
昨夕に米国大統領のJoe Biden氏が大統領専用機から横田基地へ降り立ち、本日午前に港区の迎賓館で日米首脳会談。岸田総理大臣は「力に依る一方的な現状変更の試みは世界の何処で在っても絶対に認められない」と「国際秩序の根幹を揺るがす」露西亜の烏克蘭侵略を非難すると共に、「此の様な時だからこそ」日米両国で「法の支配に基づく、自由で開かれた印度太平洋の実現に向けて国際社会を先導して行きたい」と主張。バイデン大統領も「米国は日本の防衛への責任を完全に果たす」と応じ、「地域の国々との連携を強化し、印度太平洋地域の人々に利益を齎す」為に印度太平洋経済枠組(Indo-Pacific Economic Framework; IPEF)を立ち上げる事や、台湾を巡る中国の動き、北朝鮮への対応も話題となった模様。
5月24日(火曜)
本日は全国で3万2382人の新規感染、42人の死亡。東京都の新規感染者数は昨日の2025人から3271人に、大阪府は884人から3561人、愛知県は704人から2470人、福岡県は1240人から1485人、沖縄県は662人から1918人へと増加。週末が明けた所で報告に偏りが出るのは或る程度、已むを得まいが、他にも神奈川県では1919人、兵庫県は1494人、北海道では1369人と多数の発生が続く。
従前から感染対策の手引で「体育ではマスクの着用は必要無い」旨を示して来た文部科学省だったが、熱中症の危険性が高まる時季を目前にしても「未だに慎重な学校も在る」との情勢に対して本日、全国の教育委員会に改めて通知。マスク着用の不要な場面の具体例に就いて、体育授業の際は「屋外の運動場に限らず、水泳場や屋内の体育館も対象となる」と明記し、運動部活動に於いては「近距離で接触する運動等は各競技団体が作成する指針を踏まえた上で、体育の授業に準じてマスクの着用は必要無い」。登下校時は「会話を控える様に注意しつつ、マスクを外すよう指導する」等と熱中症対策の優先を求めた由。また政府の基本的対処方針で「2歳以上の未就学児に対して「マスクの着用は一律には求めない」と規定された事を踏まえ、改めて「幼稚園でも着用を一律には求めない」事も周知。マスク着用に就いては「保護者の理解を得られる様、適切に対処する」事を求めたとの事。体育館内の換気や登下校時の会話に一抹の不安は残るものの、熱中症対策との兼ね合いを考えれば妥当な線か。
東京都の健康安全研究センターが行った解析に於いて、オミクロン株の系統の一つ、BA.5を1件確認。BA.5は主として南阿弗利加で感染の主流として置換が進んでいる型のウイルスで、検疫を除けば国内で初の確認。また感染した70代男性には海外渡航歴や渡航歴を有する者との接触が無く、市中感染と見られるが、症状は軽かった由。米国で感染が増えているオミクロン株のBA.2.12.1系統も都内で1件が初めて確認されたが、当該ウイルスに感染した50代男性も市中感染で軽症との事。いずれの変異株も感染した場合の重症度は不明なれども、従来のオミクロン株に比して感染力が高い可能性も否定出来ず、未だに状況は予断を許さぬ。
5月25日(水曜)
医療逼迫に関しては、暫く政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準」を上回る自治体は暫く出なかったが、内閣官房が発表した全国47都道府県の情報に拠ると、昨日に「確保病床の使用率」が沖縄県で50%となり、政府の分科会が示す「対策を強化すべきレベル」の目安を上回った由。本日は全国で3万5190人、東京都は3929人。大阪府2927人、愛知県2392人、北海道2094人、沖縄県2081人。福岡県1935人、神奈川県1707人、兵庫県1586人、埼玉県1233人、広島県1070人の新規感染が発生。
そして本日、COVID用ワクチンの4回目接種が開始。重症化予防を主目的とする今回の接種対象は「60歳以上」や「18歳以上の基礎疾患の有る」者、医師が重症化危険性が高いと判断した者に限定。3回目接種から5ヶ月の間隔を置き、医療機関でPfizer製かModerna製ワクチンを用いた個別接種を受けられるが、東京都等では大規模接種会場も設置。60歳超の住民には自治体から接種券が郵送されるが、基礎疾患を有する者の把握は困難故に「申告をした者のみに郵送」或いは「18歳以上の全員に郵送する」等と自治体毎に異なる対応が認められて居り、「対象でない者にも接種券が届き、接種を受けられると誤解を招く」事態が生じる恐れも有る模様。
4回目接種の効果に関しては、先行して接種が行われた以色列より「接種後14日から30日の時点で感染予防効果52%、発症予防効果61%」「入院に至るのを防ぐ効果は72%、重症を防ぐ効果は64%で、死亡を防ぐ効果は76%だった」。「4回目接種を受けた者は、3回迄の者に比して入院に至る危険性が64%、死亡する危険性が78%低下した」。感染予防効果は「Pfizer製ワクチンの4回目接種を受けてから4週目で頂点を迎え」、「此の段階で感染した者の割合は3回接種迄の者の半分」となるも「8週目には3回接種の人と大差無くなる」。しかし、「4回目接種完了者が重症化した割合は、4週目の時点で3回接種の者より約71%低く、6週目では約77%少なかった」、即ち「重症化を防ぐ効果は下がらなかった」等の報告有り。
本日に第85回となる新型コロナウイルス感染症対策諮問委員会。所謂、厚生労働省の専門家会合が開かれ、現在の感染状況に就いて「大型連休の後半以降に見られた全国的な増加傾向は続かず」、「首都圏等では昨夏に於ける第五波を下回る」も「沖縄県では昨年末からの頂点を上回り、感染者数全国最多の状況が続いて注意を要する」と評価。「多くの地域で10歳未満の感染者が顕著な増加を示し、学校や保育所、幼稚園での感染が高率を占める」、「夜間の繁華街の人出が全国過半数の地域で増加して居り、昨年末の頂点時に迫る地域も有る」等の懸念も語られた反面、医療体制に就いては「全国過半数の地域で病床使用率は減少傾向」「悪化が続いた沖縄県でも入院者数や病床使用率は減少に転じたが、重症病床使用率は2割台の儘で推移」。
感染再拡大も懸念される情勢を踏まえ、専門家会合は「3回目接種の推進」に加えて改めて「少しでも体調が悪ければ外出を控える」「不織布マスクの正しい着用」「手洗い」「一つの密も避ける」等の基本的感染対策の徹底を呼び掛けるも、「屋外で周りの人との距離が確保できる場合」や「距離が取れなくとも会話が少ない場合」のマスク着用は「必ずしも必要無い」、「就学前の小児には一律にマスク着用を求めない」等の周知徹底が必要と指摘した由。
本日に衆参両院の本会議で鈴木財務大臣が財政演説。国会に提出した今年度の補正予算案について「露西亜に依る烏克蘭侵略」等で「原油や穀物などの価格や供給が不安定化」、「物価高騰による影響を緩和する為の対応を緊急、且つ機動的に実施」して「円滑な価格転嫁や賃上げを促し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとする」為の「総合緊急対策」が必要だと説き、一般会計の総額で2兆7009億円に及ぶ今年度の補正予算案に関して論戦が交わされた由。
代表質問では、一昨日の日米首脳会談で岸田総理が防衛費増額の意向をバイデン大統領に伝えた事も取り上げられたが、総理は「防衛力の抜本的強化の裏付けとなる予算を確り確保して行く」と語る反面、「専守防衛は憲法の精神に則った防衛の基本方針」にして「変更する考えは無い」とも述べた由。
5月26日(木曜)
昨日も沖縄県で確保病床の使用率が51%と高く、本日は全国で3万1008人の感染と42人の死亡。東京都では新規3391人の感染者が発生。昨日時点で都の新規陽性者数、7日間平均は略3304人。前週比92%程度となり、本日に開催された東京都のモニタリング会議にて、都内の感染状況は「緩やかな減少傾向にある」として4段階のうち第2位の警戒水準。医療提供体制に関しても「通常の医療との両立が可能な状況である」として、第3位の警戒水準が維持された由。また総務省の発表に拠ると、先月は東京への転入が5万6462人、転出が5万2088人で、4ヶ月連続の転入超過。感染状況が落ち着き、人工の天秤は再び首都への一極集中に傾きつつ在るか。他に大阪府2524人で愛知県2015人、北海道1950人と福岡県1738人に沖縄県1603人、神奈川県1357人や兵庫県1336人の埼玉県1175人、広島県1163人。
本日に第一三共が「独自に開発中のmRNAワクチンを追加接種向けとして承認申請する」為に「4500人規模の臨床試験を開始した」旨を発表。当該の治験は「ワクチン2回接種済の18歳以上」約4500人を対象とし、3回目接種で「開発中のワクチンを接種した」場合と「PfizerやModernaのmRNAワクチンを接種した」場合を比較。有効性が同等か、安全性に問題が無いか等を確認する予定。同社の報告を信ずれば「約500人を対象とした先行の臨床試験」では他社のワクチンと同等の効果が確認されており、「今回の4500人規模の臨床試験の結果を踏まえ、追加接種向けとして国に承認申請を行う」方針にして、今年中の実用化を目指すとの事。
衆議院予算委員会で今年度補正予算案の実質的な審議が始まり、立憲民主党の長妻元厚生労働大臣は「新型コロナウイルスに因って亡くなった方の累積数が、今月で3万人を超えた」「今年に入ってからは1万人以上が亡くなっているが、医療的手当が受けられずに亡くなった人はどの位、居るのか」「教訓は何なのか、何が原因なのかを出来る限り調査して欲しい」と求めた。岸田総理大臣は「新型コロナで亡くなった方が居られる以上、政治として重く受け止め、責任を感じなければならない」。「基礎疾患の悪化等の影響で死亡した方」の存在も考慮しつつ「医療提供体制の確保等中長期的な課題にしっかり取り組みたい」と応じた。また4回目接種を受けるかと問われて、当年取って65歳の岸田氏は「今年3月初めに3回目を打ったので、専門家の判断に依って定められた時期が来れば打ちたいと思う」と述べた由。
5月27日(金曜)
昨日も沖縄県で確保病床使用率が51%と高く、本日は全国2万7549人、東京は2630人。大阪2210人、愛知1754人 、福岡1648人 、北海1624人、神奈川1574人 、沖縄1538人 、兵庫1199人 、埼玉1054人が新規感染者となり、東京都で8人、神奈川県で6人、埼玉県で5人、大阪府で3人、岐阜県で3人、兵庫県で2人、北海道で2人、京都府で1人、山口県で1人、山形県で1人、広島県で1人、愛知県で1人、福岡県で1人、秋田県で1人、静岡県で1人、高知県で1人の合わせて38人の死亡も発生。
先月に18歳以上への使用が正式に承認され、一昨日に公的な予防接種に追加された国内で4種類目の対SARS-CoV2用ワクチン。米国のNovavax社が遺伝子組換技術を以て開発し、技術移管を受けた武田薬品工業が国内で生産した「Nuvaxovid筋注」の接種が昨日に新潟県長岡市、本日は東京都文京区の順天堂大学医学部付属順天堂医院と各地で始まり、再来月末迄に500万回分が自治体に配送される予定との事。Moderna社で最高医療責任者(Chief Medical Officer; CMO)を務めるPaul Burton氏が昨日に都内でNHKの単独取材に応じ、開発中の「オミクロン株と従来型のウイルスに対応したワクチン」に関して「資料は後2週間程で公開出来る予定」で「効果がより高く、持続する期間は長くなり、オミクロン株にも効く」事が予想されて居り、日本に対しても緊急承認制度を活用して今秋の供給を目指したい等と語った由。
今週24日に東京で国内で初めて確認されたBA.2.12.1に関し、本日会見で大阪府の吉村知事が「今月23日に発生届が出された府内の50代の男性についてゲノム解析を行った所、BA.2.12.1に感染していることが確認された」旨を公表。男性に海外渡航歴は無く、市中感染と見られるも症状は軽いとの事。しかし、府民や近隣の府県の旅行者を対象に旅行費用の一部を府が助成する「大阪いらっしゃいキャンペーン」を来月1日から再開する府の方針に変更は無く、吉村知事は新たに奈良県からの旅行者も対象に加えると宣言した由。
5月28日(土曜)
政府は「外国人観光客を来月から段階的に再開する」方向で検討を進め、観光庁は米国、豪州、泰国に新嘉坡の4ヶ国からワクチン3回接種完了者、約50人のみを受け入れる実証事業を計画。「海外からの観光客に検温や消毒、マスク着用等、日本の基本的な対策を徹底して貰う」為の効果的な方法を確認する、と報じられた。
先ず今週24日、最初の参加者となる米国の旅行会社社員7名が成田空港に到着。日本の旅行会社添乗員と共に一週間掛けて関東や東北の観光地を巡る予定との事。25日の早朝には、豪州から羽田空港に到着した4人が北陸新幹線で金沢に移動して、ひがし茶屋街を訪問。26日午前、茨城県ひたちなか市にある酒列磯前神社に米国勢4人が乗合自動車で到着。マスク着用で手指の消毒を済ませてから神社を参拝した客人達は祈祷を受け、或いは御籤を引く等して過ごし、「日本への団体旅行を今後行えるよう祈願した」と語る者も有った模様。長野市でも実証実験が行われ、男女4人が御開帳で賑わう善光寺の観光を楽しんだとの事。
26日夜、東京都内に於ける講演で岸田総理大臣は「来月1日から一日の入国者総数を2万人に引き上げる」。同時に「入国時の検査実績で陽性率が低い国については入国時検査を行わずに入国を認める」と宣言。更に厚生労働省が発表した所に拠ると米国や韓国、イギリスを含む「危険性が低い」と判断された総計98の国と地域に対しては「ワクチン接種を受けていなくても入国時の検査や自宅等での待機措置を免除する」が、此れが入国者の約8割に相当。但し「入国時のthermographyに依る検温で発熱が確認された場合等は検査や宿泊施設での待機を求める事も有り得る模様。また印度や越南等、総計99の国や地域は「3回のワクチン接種を受けていれば検査や待機措置を免除する」。3回接種が完了していない場合は検査を行い、最短でも三日間の自宅等での待機を求める方針との事。
巴基斯担、Fiji、愛爾巴尼亜、志留良礼恩の4ヶ国に就いては「従前通りに検査を継続」。3回目接種を受けている場合は自宅で、受けていない場合は国が指定する宿泊施設で「最短でも3日間の待機を求める」との事だが、危険性の評価に関しては「夫々の国や地域の感染状況や出国前の検査が機能しているか等を総合的に判断した」もので「今後、状況を見て評価を変更する」可能性も有る模様。再び観光立国を目指す第一歩となるか。将又、感染再拡大で頓挫して終わるか。明日の事は誰にも分からぬ。
5月29日(日曜)
山口県の北部に位置する阿武町で「新型コロナウイルスの影響で生活に困窮する」463世帯分に対して総計4630万円が給付される事となり、先月1日の時点で町側が「Floppy diskに入った全世帯分の口座情報」を銀行に渡し、手続きは完了した筈だった。しかし、同月6日の時点で町側は本来、提出の必要が無い「紙の振り込み依頼書」を誤って銀行に提出。依頼書の指示に沿って「最も上に氏名が記載されていた男性」に「一括で4630万円が振り込まれる」手続きが執行され、8日に当該男性の口座に現金10万円と4630万円が二重に振り込まれるも、同日午前に銀行から指摘を受けて町側も誤りに気付き、直ちに男性に謝罪すると共に返還の手続きを行うよう求めた。
当初、男性は返還に応じる姿勢を見せ、町の職員に付き添われて公用車で宇部市へと移動するも、銀行の玄関の前で立ち止まると「今日は手続きしない」と手続きを拒み、10日に「弁護士と相談する」と電話が有った後は町側と連絡が途絶。14日に副町長が男性の母親と共に勤務先で本人と面会するも、男性は町の不手際を非難して「弁護士と話す」と繰り返し、15日の時点で男性側の弁護士から「近日中に母親の立ち会いの下で本人が返還手続きを行う」と連絡が有り。町は此れで一件落着かと期待しつつ、同日に誤送金問題が世間に公表された。
しかし、同月21日になっても連絡が無く、町職員が繰り返し自宅を訪ねて夕方に接触を果たすも、男性は「金は既に動かした」「もう戻せない」、「犯罪になる事は分かっている」「罪は償う」等と語った由。回収の目途が立たなくなる中、27日に開かれた町議会の全員協議会で経緯説明。町長の花田憲彦氏は「給付金の誤払い」と「当事者に返還に応じて頂けない状況」に就いて「町民の皆様は元来、議員各位にも深く御詫び申し上げます」と陳謝。会合後に花田町長は「金の所在も分からない状態」なれども「少しでも早く、そして多く回収出来るよう最善の努力をしている」と述べ、弁護士と今後の対応を協議している事も語られた。
今月12日、町側が給付金の返還を求めて当該男性を提訴するに至り、警察も任意で捜査を開始。男性が複数回に渡って警察の任意の事情聴取を受け、スマートフォンを警察に提出する一方、16日に男性の代理人を務める弁護士が山口市で会見。「本人は御金を所持して居らず、現実的に返還は難しい」等と述べ、記者から「振り込まれた給付金を使い切ったと云う事か」と問われると「概ね然う云う事で良い」と肯定。その後に代理人弁護士から「当該男性は町から振り込まれた当日に金を使い始め、先月18日迄の十一日間で34回に渡って全額を出勤」「1回当たり60万円余から400万円で引き出された金は使用と同時に引き落とされるdebit決済や複数の決済代行会社を通じ、海外のonline casinoで蕩尽された」、男性は「御金を使って仕舞った事は大変申し訳無い」が「少しずつでも返して行きたい」と述べた等の情報が公開された。
そして18日夜、当該男性が電子計算機使用詐欺容疑で逮捕され、田口翔氏との実名も報道される刑事事件へと発展。日本海沿い、人口三千人程度の小さな町に突如として湧き起こった事件は日本中で話題となり、逮捕から一夜明けた19日午前、花田町長は多くの報道陣を前に「今回の逮捕は真実を知るのに近づいたのでは無いか」、或いは「御金を取り戻す一つの足掛かりが出来たんじゃないか」と語る一方、「町の誤振り込みが事件の発端だったのは間違いの無い事実」で、田口容疑者に「申し訳無い事をした」とも語った。更に20日、「田口容疑者が利用した決済代行業者3社のうちの1社から、町の口座に3500万円余が返還された」事が捜査関係者等への取材で判明。田口容疑者は当該業者へ宛てて27回に渡る出金を行っていたが、其の全額が返済される形となった模様。
24日の時点で花田憲彦町長と町の代理人を務める弁護士が会見を開き、「法的な手続きに依って4299万3434円を確保した」旨を宣言。国税徴収法等に基づいて、田口容疑者が繰り返し出金していた決済代行業者3社の口座を町が差し押さえた結果、総計4290万円余が町の口座に振り込まれ、更に容疑者の口座に残っていた6万円余も差し押さえたとの事。弁護士は「容疑者と業者は委任契約を結んでいて、公序良俗に反する取り引きをしていると判断した」等と述べ、花田町長は「相当大きな部分が確保出来若干安心したが、全てが回収出来ている訳では無いので引き続き努力して行きたい」と語った由。
新展開に対して、町民からは「金は戻って来ないと思っていたので驚いた」が「発端は町の過失なので、再発を防ぐ機構を作らないといけない」。「振り込んだ金は皆さんの税金なので返って来て一安心」だが「本人が早く返せば此処迄の騒ぎにはならなかった」。「未だ返って来て居ない金や裁判費用を最終的に誰が負担する事になるのかが気になる」等の声有り。本件を取り上げた番組で「online casinoを経由するは資金洗浄の常道」「業者が返金に応じたのは、捜査を通して他の事件が暴かれるのを恐れた為かも知れぬ」等と語る識者の姿も目にしたが、此れもコロナ禍で無くんば生じなかった悲喜劇の一つと言えよう。