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令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
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令和4年5月第4週

5月16日(月曜)

 三年()りに行動制限の無かった今年の大型連休で感染拡大が懸念されるも、昨日の時点で全国の1週間平均の感染者数は(およ)そ3万9000人。連休直前の先月28日と同水準で、感染者の急増には(つな)がらなかった模様。政府分科会の構成員(メンバー)東邦(とうほう)大学(だいがく)教授の舘田(たてだ)一博(かずひろ)氏は「多くの人が旅行に行く時の移動」「行った先の食事の場等でマスクの正しい着用や換気等の対策」に留意した事が現状に繋がったかと思われるが「都市部で感染者数の大きな増加が見られていないのは非常に良い兆候」と分析する一方、「市中には()だウイルスが存在している」。「感染した人からの二次感染、三次感染を起こさないように、今まで通り基本的な感染対策を徹底して維持していく事が重要になる」と指摘した由。

 16日は全国で2万1784人、東京都内で2377人、北海道内で2021人。神奈川県で1640人、福岡県で1209人、沖縄県で1090人、愛知県で1005人の新規感染が発生。大阪府内では前週同曜より500人以上減って、944人となるも、北海道で6人、東京都で4人、埼玉県で3人、大分県で2人、岐阜県で2人、岡山県で2人、京都府で1人、大阪府で1人、愛媛県で1人、愛知県で1人、栃木県で1人、神奈川県で1人、高知県で1人の合わせて26人の死亡。人工呼吸器や集中治療室等で治療を受ける重症COVID患者は134人となり、今月12日に行われたPCR等の検査数は自主検査を除いた速報値で7万2926件。

 東京都に2回目の緊急事態宣言が発令されていた去年3月に、新型インフルエンザ等対策特別措置法。所謂、特別措置法に基づき、運営する飲食店32店舗のうち26店舗が「20時以降も営業を続けて感染危険性(リスク)を高めている」として営業時間の短縮を都から命じられた株式会社GLOBAL-DINING。同社が「時短要請に応じない飲食店は他にも有ったが、狙い撃ちにされた」「特措法や命令は営業の自由や法の下の平等等を保障した憲法に違反している」と主張し、都に賠償を求めたのに対し、都は「原告の会社は上場企業で社会的影響力が強く他の飲食店への影響も大きい」故に命令は正当だと反論。

 両者の主張に対し、本日の判決で東京地方裁判所の裁判長、松田(まつだ)典浩(のりひろ)氏は「原告の飲食店は感染対策を実施して」居り「夜間営業を続けている事で直ちに感染リスクを高めていたとは認められない」。都からは「()うした状況で命令を出した事の必要性や判断基準」に関する合理的な説明も無く、「原告に不利益となる命令を出す必要が特に有ったとは言えず違法だ」と断じる一方で「都が意見を聞いた学識経験者は(こぞ)って命令の必要性を認めていた」上に「最初の事例で参考にする先例も無かった」。「都知事が裁量の範囲を著しく逸脱したと(まで)()(にく)い」として、「都に過失は無かった」と判断。賠償を求める訴えは退け、運営会社側が「特措法や命令が営業の自由や法の下の平等等を保障した憲法に違反している」と主張していた件に関しても、判決は「命令で営業を規制する事は特措法の目的に照らして不合理な手段とは言えない」とし、憲法には違反しないと判断した由。

 特措法に基づく命令を巡って判決が言い渡された初の裁判となったが、()わば両者痛み分けの結論に対し、運営会社社長は「何故、全て認めてくれなかったのか」と控訴。都の担当者も「原告側に時短命令を出してから4日間で緊急事態宣言の期間が切れる中、命令の必要性に就いて合理的な説明が為されていない」と判決で指摘された事に就いて「繰り返し要請」した後に「()()く命令を出して」居り、また「残り期間が少ないから命令に応じる必要が無い」となれば「緊急事態宣言の期間の終盤は要請に従わなくても良いと為り兼ねない」等と反論すると共に違法判決に不服を示し、双方とも納得が行かぬ様子。都知事の小池(こいけ)百合子(ゆりこ)氏は「飲食店に対する営業時間の短縮要請は、感染拡大防止に於いて極めて重要な取り組み」で「都としては、感染防止対策上、必要かつ適正」な判断だったと語り、松野官房長官は午後の記者会見で「地方自治体に関わる訴訟で詳細は承知しておらず、政府として寸評(コメント)は差し控えたい」と述べた由。

 政府が本日に公表した最新状況に拠ると、国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を受けた者は7096万6524人で全人口の56%。3回目の接種率を年代別で見ると、12歳から19歳は18.7%、20代は36.7%、30代は40.5%、40代は50.6%、50代は68.9%、60歳から64歳は78.8%、65歳から69歳は81.4%、70代は89.3%、80代は92.2%、90代は91%、100歳以上は87.8%。少なくとも1回の接種を済ませた者の総計は1億338万9560人で全人口の81.6%、2回目接種を終えた者は1億180万1614人で全人口の80.4%。このうち5歳から11歳の小児を対象にした接種に於いては、1回目が113万1252人で全体の15.3%、2回目は85万1602人で全体の11.5%。今月末から予定されている4回目接種に向けて、高知県高知市は本日から「3回目接種から5ヶ月以上が経過した60歳以上」の住民、約1100人分に接種券を発送。「18歳以上の基礎疾患がある者」や「医師が重症化危険性が高いと判断した者」に対しても、市のhomepageや郵送で申告を受け付けた後に接種券を発送する由。

 大阪に本社を置く塩野(しおの)()製薬(せいやく)が、開発中のCOVID用組換蛋白質ワクチンに関して「12~19歳を対象とした臨床試験を開始した」旨を本日に発表。成人向けの接種に関しては、既に「早ければ来月にも厚生労働省に承認申請を行う」との方針が公表されているが、今回の臨床試験は12歳から19歳の350人を対象として「開発中のワクチンを2回接種」。成人に2回接種した場合と比べて「中和抗体の量が同等以上に上がるか」等を確認するとの事で、今月14日から接種を始めた後で3回目の接種も行い、「追加接種をした際に再び抗体の値が上がるか如何(どう)か」も確認する由。同社は更に若年、5歳から11歳を対象とした臨床試験も予定しているとの事。


5月17日(火曜)

 内閣官房が公表した直近の情報に拠ると全国47都道府県のうち、沖縄県のみで「確保病床の使用率」が一昨日に57%。昨日も56%と、政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準(レベル)」を上回った由。本日は全国で3万6903人の感染、39人の死亡を確認。

 全国の自治体で「COVID用ワクチンが使用されない(まま)、有効期限が過ぎて廃棄される」事例が相次ぎ、「当初の想定通りに接種が進まない」「必要量を大きく上回るワクチンの確保」等が原因と指摘された事に対し、記者会見で廃棄されたワクチンの量を調査する意向が有るかと問われた後藤厚生労働大臣は「接種の現場や自治体等は事務作業等が厳しい状況」で「現場の負担の問題」等も有る。故にワクチン廃棄の現状把握に関して「現時点で行う事は考えてはいない」と発言。使用しないワクチンを海外へ提供する選択肢に関しては「一度配布したワクチンを有効期限に合わせて回収して、海外向けに利用すると云うのは却々(なかなか)難しい」と述べると共に、自治体には「接種を促進すると共に有効期限が近いワクチンから使用する等、廃棄を出来るだけ少なくして欲しい」と呼び掛けた模様。

 政府は来月以降に「外国人観光客の受け入れを段階的に再開する」事を検討している模様。此の件に関連して松野官房長官は、昨日午後の記者会見で「水際措置は感染拡大の防止と社会経済活動の均衡(バランス)を取りながら段階的な緩和を進めて」居り「連休後の感染状況を(しっか)り見極めた上で、来月にもG7(Group 7/主要7ヶ国)並みに円滑な入国が可能となる様、検討して行きたい」と発言。また外国人観光客の受け入れ再開に先立ち、試験的な実施を検討している「小規模の訪日団体旅行(ツアー)」に就いても「実証事業は近いうちに行いたい」。「現在、観光庁等関係省庁で実務的な検討をしている」と述べた由。

 小規模の団体旅行を試行する件に関しては、斉藤国土交通大臣も本日の閣議後会見で言及。「変異株の感染状況が比較的落ち着いている」と見られる米国、豪州(オーストラリア)(タイ)国、シンガポールの4つの国から、3回接種完了者を対象に参加者を受け入れ、訪問先は「都道府県から同意を得られた観光地」とする方向で検討。観光庁と業界団体「日本旅行業協会」が連携して旅行を実施した後は、得られた知見を踏まえて、観光庁が「外国人観光客に感染防止対策を徹底して貰う為の方法」や「陽性者が出た場合の対応」等を検証。観光事業者向けの指針(ガイドライン)が作成される予定との事。斉藤大臣は「訪日観光の再開に就いては受け入れ地域の理解や安心感の醸成を図る事が必要だ」とも語ったが、立憲民主党の臨時常任幹事会で泉代表は「(かね)てから外国人観光客がマスクをせず観光地で厄介(トラブル)も起きて」居るが「()()う事も全く整理せずに外国から招くという事で良いのか」。「国内でGo Toトラベルが未だ再開していない事との整合性の問題」も指摘して、「政府の考え方がフラフラしている」等と批判。「党として責任ある水際対策の必要性をこれからも訴えて行く」と述べたとの事。


5月18日(水曜)

 本日は全国で4万2161人の感染と50人の死亡が報告されるも、沖縄県以外では病床逼迫は生じていない模様。東京大学医科学研究所の特任教授、河岡義裕氏を含む研究者集団が、Nature誌の回線(オン)接続(ライン)版に今週16日付で"Characterization and antiviral susceptibility of SARS-CoV-2 Omicron/BA.2"なる論文を発表。二十日鼠(マウス)腮鼠(ハムスター)を実際のウイルスに感染させ、調査を行った所、BA.2系統とBA.1系統の(いず)れも「体重の変化に異常は見られず、肺炎の程度も軽かった」。故に、症状を引き起こす力はBA.2とBA.1で同程度と評価された由。またBA.2に感染した腮鼠に各種の治療薬を投与した結果、Merckが開発したMolnupiravirやPfizerが開発したNirmatrelvirに加えて、塩野義製薬が開発して国内で承認申請中の抗ウイルス薬も「肺でウイルスが増えるのを1万分の1に抑える効果が見られた」との事。

 またPfizer製ワクチンは米国で「現在、12歳以上を対象に通算3回目となる追加接種を進行中」と聞くが、一昨日にFDAは「5歳から11歳に就いても追加接種の対象とする緊急使用の許可を出した」と発表。同社が先月に発表した臨床試験の結果では、2回目接種から凡そ6ヶ月が経過した5歳から11歳の小児に3回目接種を行った所、ウイルスの働きを抑える中和抗体が約6倍に増加。オミクロン株に対しても効果を示す一方、安全性についても新たな懸念は示されなかった由。米国では今週15日の時点で一日に報告される感染者の1週間平均が9万人を超え、先月同時期の2.5倍程度に増加。、新たに入院する者も増加傾向で、FDAは「オミクロン株の感染拡大ではより多くの子供が感染したり入院したりする傾向」が見られ、「感染による長期的な健康への影響」も懸念される状況だが、「追加接種を行う事で子供達を引き続き新型コロナウイルスから守る事が出来る」と呼び掛けた由。

 日本政府観光局が発表した所では、先月に日本を訪れた外国人旅行者の推計は13万9500人となり、本年3月の6万6100人と比べて2.1倍に増加。前年同月との増加率を比べても、ことし3月は5倍の増加だったのに対し、先月は12倍余りの大幅な増加となった由。観光局は「政府が新型コロナウイルスの水際対策を緩和し、先月10日から一日当たりの入国者数の上限を7000人から1万人に引き上げた」事が主な要因だと分析。一方で感染拡大前の3年前、2019年の同月と比べると、先月は95%余りの減少と依然として低い水準。「入国者数上限を1万人から2万人に引き上げる」「観光目的の入国を段階的に認める」、「感染状況が比較的落ち着いている4ヶ国から少人数の訪日団体旅行を試験的に行う」事を検討している模様。


5月19日(木曜)

 Johns Hopkins 大学の報告に拠ると、米国では新型コロナウイルスに感染して死亡した者が一昨日に100万人を突破。米国で初めて死者が報告されたのは2020年2月だったが、それから2年3ヶ月で100万人以上が命を失った事になり、更に現在も連日、三百人前後の死者が発生している模様。米国ではオミクロン株の感染拡大が頂点(ピーク)を過ぎ、社会が世界的大流行以前の状態に戻りつつ在る一方、BA.2系統等の拡大で感染者や入院者は増加傾向を示し、感染再拡大の可能性も指摘されている由。Biden政権は「50歳以上を対象にした2回目の追加接種」や「治療薬の供給を増やす」等の対策を検討するも、議会での与野党対立で予算案成立の目処(めど)が立たぬ情勢。

 政権の首席医療顧問たるAnthony Fauci氏を、日本放送協会/NHKが昨日に取材。ファウチ博士は「世界的大流行(パンデミック)の初期、死者が20万人に達する可能性が有る」と警告した時には「危険性を誇張している」と批判されたが、実際は「誇張どころか、其の5倍を超える死者が出る事になってしまった」と述べる一方、日本の感染対策について「誰もが医療にアクセスできるシステムが整っていた」事や「高いワクチンの接種率」、「多くの国民がマスクの着用等の対策に従った」事が死者数を抑制したと評価。今後に就いては「新型コロナウイルスを根絶させる事は出来ない」としても「社会を混乱させ生活に支障を(きた)水準(レベル)での共存を受け入れるべきではない」と述べ、接種や屋内でのマスク着用等の基本的な感染対策を続け、感染者数を抑える事の必要性を説いた。「今秋以降に再び感染が拡大する可能性が高い」と思われるが、複数の変異ウイルスに有効性を示す等の次世代ワクチンの開発が進められている件に就いても「どのワクチンを追加接種に使うべきか」を見極めるべく、臨床研究を進めているとの事。

 疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention; CDC)曰く、米国で一日に報告されるCOVID患者の1週間平均は、一昨日の段階で約9万9000人。「自宅でウイルスの検査をしても報告しない」事例を含めると、更に多くの感染者が発生している。昨日会見でCDCのRochelle Walensky所長は「東部や中西部の人口の多い地域で特に感染の拡大が深刻」だが「米国人口の32%」は「感染拡大の水準が中程度から高いとされる地域」に居住している。()うした地域に対して「屋内でのマスクの着用を始めとした感染対策を奨励すべきだ」と要請していると述べ、「一部地域はマスクの着用が推奨される水準に達した」との認識を示した由。米国では現在、全ての州に於いて屋内でのマスク着用義務が撤廃されて居り、CDC基準で感染拡大の水準が高いと評価される紐育(ニューヨーク)市では、今週16日に保健当局が「屋内ではマスクを着用すべき」という通達を出すも、市長は義務化に慎重な姿勢を示した模様。

 本日に厚生労働省の専門家会合が開かれ、提示された資料に拠ると、18日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて1.07倍と増加。首都圏の1都3県では東京都と千葉県で1.00倍、神奈川県で1.08倍、埼玉県で0.97倍と横ばいから増加。関西では大阪府で1.06倍、兵庫県と京都府で1.13倍、東海では愛知県で1.13倍、岐阜県で1.09倍、三重県で1.08倍と増加。また北海道では1.07倍、宮城県では1.07倍、広島県では1.18倍、福岡県では1.01倍、人口あたりの感染者数が最も多い沖縄県は1.13倍。前週よりも明らかに新規感染者数が増加したのは29道府県で、富山県は1.48倍、静岡県は1.32倍、山形県と山口県は1.29倍、石川県は1.25倍等。人口10万あたりの直近1週間の感染者数は、沖縄県が突出して多く1014.05人と初めて1000人を超えた。次いで北海道が345.88人、宮崎県が325.18人、福井県が318.31人、広島県が301.03人、石川県が300.39人、そして大阪府が236.36人、東京都が184.14人等となっていて、全国では202.96人。

 専門家会合は現在の感染状況や医療体制の状況を踏まえ、3回目接種の推進を含めた基本的な感染対策の徹底を改めて呼び掛けた。更にマスクの着用に就いて、「飲食の際に食べたり飲んだりする時以外はマスクをする」、「人混みでは適宜着用する事が必要」とする一方、「屋外で周りの人との距離が確保出来る場合」や「距離が取れなくても会話が少ない場合は必ずしも必要無い」。また「小学校入学前の子供にはマスク着用を一律に求めない」旨を幅広く周知する事が必要だと指摘した由。専門科会合後に開かれた記者会見で、座長の脇田(わきた)隆字(たかじ)氏も「マスクは感染対策として重要」なれども、従前も「人との距離が十分に確保出来れば着用する必要は無い」と言って来た。「走行訓練(ランニング)や散歩等屋外で人との距離が十分に有る時はマスクをする必要は無い」し、「屋外で十分に距離が確保出来ない場合」で在ろうとも「会話が少ないならマスクは必ずしも必要ない」。「ただ、例えば多くの人が利用する公共交通機関での通勤、通学等混雑している場面では必要だ」と説明。

 極めて常識的な見解が改めて伝えられた形だったが、国民からは「怖いのでマスクはずっと付け続けようと思う」や「どれ位、外す人が実際、居るのかなと云うのが疑問」。或いは「段々、外す人が増えてきたら考える」等の反応も続出。同調圧力に圧し潰されぬ為にマスクを外せぬと思う者が多い様だが、当方は歩行訓練(ウォーキング)時を中心に「妻以外の他人が居なければ外し、人影が接近すれば着用する」辺りから始める所存(しょぞん)


5月20日(金曜)

 新規感染者数を1週間平均で比較すると、先月21日迄の1週間では前週に比して0.85倍、先月28日は0.94倍、今月5日は0.67倍と三週連続で減少傾向を示すも、以降は今月12日に1.41倍と増加。今月19日迄は0.97倍と増減無しで、一日当たりの平均新規感染者数は約3万6275人。新規感染者数は、首都圏等人口の多い地域を中心26の都道府県で減少するも、沖縄県は今月12日が1.57倍、今月19日までが1.05倍と二週連続で増え、北陸地方等でも増加傾向が続いている模様。内閣官房の発表に拠ると、昨日も沖縄県の「確保病床の使用率」は55%で、政府分科会が示す「対策を強化すべき水準」を超えた由。

 本日は全国で3万7438人、東京都で3573人。北海道で2553人、愛知県で2292人、 福岡県で2289人。神奈川県で1858人、兵庫県で1530人、 埼玉県で1358人、広島県で1295人、静岡県で1030人、千葉県で1020人の感染。埼玉県で9人、大阪府で8人、東京都で7人、北海道で3人、千葉県で3人、神奈川県で3人、広島県で2人、福島県で2人、静岡県で2人、岐阜県で1人、愛知県で1人、福岡県で1人、秋田県で1人、青森県で1人の合わせて44人の死亡が発生した旨の報告有り。

 60歳以上と18歳以上の基礎疾患のある人等を対象に早ければ来週にも全国で始まる予定の4回目接種に関し、昨日に全国の高齢者施設から構成される3団体が厚生労働省等に要望書を提出。高齢者施設での感染は「職員に依るウイルスの持ち込みに()って発生する」事例が多い一方、「職員の3回目接種が済んでいた施設では、大規模な感染集団(クラスター)の発生が抑えられた」事例が多かったとして、施設で働く介護職員や事務職員のうち希望者を接種の対象に加える様、求めた由。60歳超に対する4回目の接種に関し、政府は「5月25日から接種開始」との方針を本日の閣議で決定。準備が整った自治体から接種を行う模様。

 本日開催のCOVID対策を検証する有識者会議の会合に、政府の分科会の尾身(おみ)(しげる)会長と厚生労働省の専門家会合の脇田隆字座長が出席。2年半の対応に就いて「日本では人口当たりの新規感染者数や亡くなる人の数は諸外国に比べて低く抑えられて」いた一方、「様々な課題が見えて来た」と指摘。課題の一つは「政府と専門家の関係」で「分科会等専門家の助言組織が合計68本の提言を示した」のに対し、政府の反応には「政策に取り入れるか否か、其の理由、実行状況の説明が不十分」で「対策が意思決定される過程が分かり難い」、「政府に助言を行う際に必要な調査や研究を支援する仕組みが脆弱(ぜいじゃく)」で「専門家に過度な負担が掛かった」等の問題有り。また「2009年に拡大した当時の新型流行性感冒(インフルエンザ)の教訓を受けて出された検査体制の強化や医療提供体制の検討を求める提言が実行されない」、検査は「当初、急速に増強出来ず、限られた体制の中で効率的に行う必要が有った」上に「検査の目的や活用の方針に就いて議論が行われず、体制の大きな戦略が定まらなかった」。医療に就いては「世界一の超高齢社会に最適化する様に、介護や生活支援に力点を置いて来た」為に「世界的大流行(パンデミック)に対応する体制が十分構築されて来なかった」事から生じる諸問題が存在した旨が語られた。

 今後に求められる方向性に関して、当該文書では「世界的大流行等の大型の危険性(リスク)に対応出来る科学的助言機構(システム)を構築すべき」で、「国や自治体が持つ情報を専門家と迅速に共有出来る機構」や「高度な調査研究の支援が出来る事務局機能の強化」が求められる。また世界的大流行に備え、平時から「検査の体制を強化し維持する」事、感染拡大が予想される時には「一定の医療機関が専用の病院に転換出来る様にする」事や「一般の医療機関が診療に加わる体制の強化」等が必要。更に「緊急時の市民との意思疎通(コミュニケーション)は政府の役割」だとして、専門家を活用した周知体制の強化、対策の実行状況を明快に把握可能な仕組みが不可欠だと指摘。

 会合後の会見で尾身会長は「ゼロコロナを目指す封じ込め」では無く「感染を制御しながら重症者や亡くなる人の数を抑える」方針を執って来たが、オミクロン株の感染拡大後は「感染者の報告や調査等の規則(ルール)を弾力的に変えて」、死亡者をを減らす事に重点を置く「被害抑制」の方針に「徐々に移行(シフト)しつつ在る」。更に「より効率的な対策を進め、遣らなくても良い対策も示していく事が必要」。また「感染者のうち、多くの人は他の人に感染させない」との知見が早い段階で得られ、感染者集団を早期に見つけて感染の広がりを防ぐ対策に活用されるも「感染者がかなり多くなってしまうとクラスター対策だけでは感染拡大を止められず、蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言が必要になった」等と説明。次の世界的大流行に向けた専門家組織の在り方に就いても、「危機対応では専門家として科学的根拠が完全に明確ではなくても、助言や提言をしないといけない場面が有る」が「分科会の構成員(メンバー)では人数や専門性がどうしても限られてしまう」。状況に応じて「学会等別の専門家集団と連携する仕組み」が求められるのでは無いか、と語っていた由。

 来月からの水際対策について、松野官房長官は記者会見で「オミクロン株に関する知見」「各国・地域における流行状況」「日本への流入状況等のリスク評価」「ワクチンの有効性」、「各国・地域からの流入リスク」等を「総合的に勘案」した結果、「措置の見直しを実施する」と述べ、「一日当たりの入国者数の上限を現状の1万人から2万人に緩和する」事を発表した由。入国者に対する検疫措置は現在迄の入国時検査に於ける陽性率等に応じて、世界の国や地域を三つに大別。危険性が最も低い群からの入国者は、ワクチン未接種でも入国時検査や待機措置を免除。2番目に低い群は「3回目の接種を受けている」事を条件に検査等を免除するが、受けていない場合は検査を継続し、自宅での最短3日間の待機も求める。危険性が最高の群は検査を継続すると共に、3回目接種を受けている場合は自宅で最短3日間、受けていない場合は宿泊施設で3日間の待機を求めるが、主要7か国からの入国者を含めて「8割程度は検査や待機措置が免除される見通し」との事。

 またマスク着用に関しては、昨日の専門家会合見解に続いて、本日18時過ぎから後藤厚生労働大臣も政府見解を説明。「基本的な感染対策としての着用の位置付けは変更しない」が屋外で会話の無い状況、且つ「2(メートル)以上を目安に、周りの人との距離が確保出来る」場面では「着用の必要は無い」。屋内で会話をする場合でも、十分な換気等の対策を執っていれば「外す事も出来る」。しかし、距離が確保出来ない場面では、屋外で会話が(ほとん)ど無い場合に於いて「着用の必要は無い」事は明白だが、其れ以外は「着用を推奨する」。また2歳以上の小児に就いては2月から着用を推奨して来たが、オミクロン株対策以前の扱いに戻し、周囲との距離に関わらず「一律には求めない」事とし、2歳未満は引き続き「推奨しない」。夏場は熱中症を防ぐ観点から、屋外で会話を殆どしない場合等は「外す事を推奨する」が、「高齢者と会う」時や「病院に行く」時等は着用する。政府が言えば即座に国民がマスクを手放すとも思えぬが、今後も感染状況の著しい悪化が見られず、其処(そこ)に夏場の高温多湿が加われば、(あたか)も「北風と太陽」の如く情勢も変わるか。


5月21日(土曜)

 本日に全国で3万5922人の感染と31人の死亡の発表有り。東京大学医科学研究所教授の佐藤(さとう)(けい)氏を始めとする研究者達が、様々な型のオミクロン株に対する抗体医薬の効果を調べて、査読前論文“Sensitivity of novel SARS-CoV-2 Omicron subvariants, BA.2.11, BA.2.12.1, BA.4 and BA.5 to therapeutic monoclonal antibodies”として、電網上の“BioRxiv”に投稿。

 当該研究に於いては、仏蘭西(フランス)で猛威を振るうBA.2の亜系統、BA.2.11や、米国で増加しているBA.2.12.1。南阿弗利加(アフリカ)等から報告されているオミクロン株の亜系統、BA.4やBA.5等のスパイク蛋白質を保有する偽ウイルスを生成して、8種の治療用モノクローナル抗体の効果を確認。先行研究と同様に3-5 bamlanivimab、casirivimab、etesevimab、imdevimab、tixagevimabはBA.2に対して無効。しかし、bebtelovimabはBA.2や試験されたすべてのオミクロン変異体に対して、変異前のオミクロン株に対するよりも約2倍、効果が高かった由。また日本に於いても「ゼビュディ点滴静注液」として販売承認済のsotrovimabは、BA.2に対する抗ウイルス性が変異前オミクロン株に比して約20倍低下する一方、BA.2.11やBA.4と5を含む「L452R置換を有するオミクロン亜系統」に対しては、BA.2よりも有効だった。

 新たに出現したSARS-CoV-2変異体のS蛋白質には「変異が蓄積している」故に、「新規SARS-CoV-2変異体に対する治療用モノクローナル抗体の効率を迅速に評価する」事の重要性が、今回の研究から示唆されたとの事。佐藤教授は「新しい変異ウイルスが日本に入ってくる前に、ウイルスの特性や薬の効果を迅速に確認することは大切だ」と語っている由。


5月22日(日曜)

 本日は全国で3万1457人の感染、18人の死亡が発生。国立国際医療研究センター等に所属する研究者集団が「本年2月初め迄にオミクロン株に感染して入院」した「20代から80代の患者」53人から以後の経過を聴取し、アルファ株やデルタ株等に感染した者と比較。倦怠感や息切れ、嗅覚や味覚の異常等の「後遺症と見られる症状」が2ヶ月以上続いていた者を年齢や性別、ワクチン接種歴等の条件を揃えて比較した所、「オミクロン株では倦怠感の持続する者が18人中1人」だったのに対し、アルファ株等では「何らかの症状が有った」者が「18人中10人だった」由。

 此の結果を以て「オミクロン株で後遺症と見られる症状が出るのは10分の1程と考えられる」と結論付けられた旨のNHK報道を目にするも、表現が少々曖昧(あいまい)合点(がてん)()かぬ。探して見るも検索が下手なのか、原著(げんちょ)論文(ろんぶん)は発見出来なかった。オミクロン株の感染者数は過去の変異株に比して格段に多い故に、確率は低くても結局、後遺症を発症する者は多くなるのではないかとの事。COVID後遺症研究の専門家で当該研究にも携わった森岡(もりおか)慎一郎(しんいちろう)氏からは「オミクロン株で後遺症が少ないと分かった事は重要」だが「調べる事が出来た人数は少なく、症状や期間の違いは分からなかった」。「更に多くの人の協力を得て、より正確に分析して行きたい」との言有り。

 今週18日に内閣府が発表した今年1月から3月迄の国内総生産(gross domestic product; GDP)の速報値は、物価の変動を除いた実質の伸び率が前期と比べてマイナス0.2%。年率換算はマイナス1.0%で、2期ぶりのマイナスとなった由。当該期間に蔓延防止等重点措置が各地に適用されていた影響で外食や旅行等の需要が低迷し、GDPの半分以上を占める「個人消費」が減少。「公共投資」もマイナス3.6%となった反面、COVID用ワクチンを含む医薬品を海外から購入した事も響いて「輸入」がプラス3.4%と増え、GDPの計算上は伸び率を押し下げた。「企業の設備投資」はプラス0.5%となり、昨年度一年間のGDP伸び率は実質でプラス2.1%と三年振りにプラスに転じるも、「前年度が感染拡大の影響でマイナス4.5%と大きく落ち込んでいた」事を考慮すると、回復が鈍いと懸念する声が多かった模様。

 世界的大流行(パンデミック)の以前、2019年の10月から12月のGDPは年率換算で541兆円。GDPは2020年4月から6月を底に回復するも、以降は一進一退を繰り返し、昨年10月から12月は年率換算539兆円まで回復するも今回は537兆円に減り、感染拡大前の頂点(ピーク)だった2019年4月から6月の557兆円に比して約20兆円が失われた計算となる由。海外に目を転じると、米国も本年1月から3月迄のGDP成長は年率換算でマイナス1.4%。独逸(ドイツ)仏蘭西(フランス)等の欧州圏19ヶ国では、同時期のGDP成長は年率でプラス0.8%。4期連続で正の成長となるも、伸び率は前期に比べて0.4ポイント縮小。同時期に於ける中国のGDPも年率換算で5.3%のプラス成長だが、前期に比べて伸び率は0.8ポイント縮小。世界的大流行に烏克蘭(ウクライナ)情勢も重なり、「勢力(エネルギー)価格の高騰(こうとう)が個人消費を抑えた」と見られている由。東南亜細亜(アジア)の主要国では、(タイ)国が昨年同時期と比べてプラス2.2%となり、2期連続のプラス成長。比律賓(フィリピン)もプラス8.3%、印度尼西亜(インドネシア)馬来西亜(マレーシア)(いず)れもプラス5.0%。経済活動の制限緩和を背景に各国ともプラス成長となるも、今後は経済面で関係が深い中国の影響が波及する事が懸念されて居り、予断を許さぬ状況との事。

 瑞西(スイス)寿府(ジュネーブ)では、世界保健機関(World Health Organization; WHO)の年次総会が3年振りに対面での開催。事務局長のTedros Adhanom Ghebreyesus氏は、COVID用ワクチンの接種状況に関して「本年7月迄に人口の70%が接種を済ませる」との目標を達成した国は「先進国を中心に57ヶ国に(とど)まる」と報告。「多くの国で規制が解除され、以前のような生活に戻っているが、世界的大流行(パンデミック)は未だ終わっていない」と指摘して接種加速を改めて呼び掛けた模様。また「21日の時点で欧米を中心とした12ヶ国から92人の患者が報告されている、天然(てんねん)(とう)に似た症状の感染症、サル(とう)」や「幼児を中心に報告が相次ぐ原因不明の急性(きゅうせい)肝炎(かんえん)」と云った新たな懸念に関しても警戒を要する、との見解を示した由。

 (ひと)()ず国内の感染が小康状態となっている中で、蹴球のJ LEAGUEが「感染対策として禁止して来た声援に関し、来月の公式戦から段階的に再開」。日本(にほん)相撲(すもう)協会(きょうかい)も「凡そ2年8ヶ月振りに巡業を再開」、(なつ)巡業(じゅんぎょう)として「8月5日に東京都立川市」「6日に千葉県船橋市」「7日に埼玉県さいたま市」「11日に茨城県古河市」「14日に埼玉県春日部市」を回る事を発表。本日は東京で三年振りの三社(さんじゃ)(まつり)。台東区にある浅草(あさくさ)神社(じんじゃ)から氏子(うじこ)達が3基の神輿(みこし)を担ぎ出し、笛や太鼓の音と共に威勢の良い掛け声が響いた等の喜ばしい便りも今週は聞かれた。「()(まま)、感染が収束して諸々(もろもろ)が平和裏に収まれば良い」と願えば、楽観(らっかん)が過ぎると笑われようか。

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