表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令和コロナ騒動実録  作者: 澤村桐蜂
109/178

令和4年5月第3週

5月9日(月曜)

 内閣官房が昨日時点の最新情報を発表。医療逼迫(ひっぱく)の程度を判断する為に定められた「確保病床の使用率」、「重症確保病床の使用率」等の5項目から成る「医療提供体制等の負荷」の指標。そして「PCR検査の陽性率」、十万人当たりの「新規陽性者数」、「感染経路が不明な人の割合」等の5項目から成る「感染の状況」の指標に関し、政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準(レベル)」を上回っている都道府県は存在しなかった由。

 本日は全国で2万8510人の新規感染と北海道で6人、埼玉県で5人、福岡県で5人、兵庫県で4人、愛知県で4人、広島県で3人、山形県で2人、奈良県で1人、宮崎県で1人、滋賀県で1人、神奈川県で1人と総計33人の死亡が発生。人工呼吸器や集中治療室等を用いた治療を要する重症COVID患者は、昨日の時点で163人。今月5日に行われたPCR等の検査数は、自主検査を除いた速報値で2万5742件だった由。東京都内では、新たに3011人の感染が生じた旨の報告有り。先週月曜より凡そ600人増え、前週同曜を上回るのは3日連続。3011人を年代別に見ると20代が最も多く、全体の26.4%に当たる794人。65歳以上の高齢者は185人で、全体の6.1%に相当。感染経路の判明している1059人のうち、最多は「家庭内」で、76%に当たる805人。都の旧基準で集計した人工呼吸器か人工心肺装置を要する。重症患者は9日時点で7人となり、前日より1人減。他の地域では北海道2556人、福岡県1919人、神奈川県1662人、埼玉県1638人、大阪府1487人、愛知県1209人、広島県1112人、沖縄県1071人の新規感染者が確認された。

 国際(こくさい)医療(いりょう)福祉(ふくし)大学(だいがく)の主任教授、感染症対策の権威たる松本(まつもと)哲哉(てつや)氏からは「大型連休が始まる前後から少しずつ人の動きが活発になり、()れが感染者数として反映されて」来た(よう)だが「今が丁度(ちょうど)、山の(のぼ)()け」で「今週、()れなりの数に増えて行く」可能性大。「大型連休で感染した人の数が反映されるのは来週の頭くらい迄」かと思われ、「都内で一日当たり1万人以下に抑えられれば」「医療機関への影響も其処(そこ)まで大きくなくて済む」が「第6波の時のような一日2万人という数字まで増えてしまうと、社会的な影響も大きくなる」との予想が語られた由。

 5月9日の項に「NTT DOCOMOが携帯電話の基地局から私事権(プライバシー)を保護した形で集めた情報(データ)を用いて、NHKが分析」した所、「今月1日迄の三日間に都道府県を(また)いで移動した者の人数」は「昨年の大型連休に比して全国平均で30%増加」、「感染拡大前、2019年の同時期と比べても76%に回復」と記したが、本日に続報。「先月29日から今月8日までの十日間」、連休全体に関するbig dataを分析した所、「昨年の大型連休より3割増加」、「感染拡大前の82%に迄、戻っていた」事が判明した由。

 黄金(ゴールデン)週間(ウィーク)宙の状況に関しては、JR各社も「先月28日から今月8日迄の11日間」に関する「全国の新幹線や特急列車の利用状況」を(まと)めた結果を発表。新幹線と特急列車を合わせた利用者数は約907万5000人で前年同時期より2.45倍に増加し、4年前の75%まで回復。このうち新幹線の利用客は昨年の大型連休中と比べて東海道新幹線が2.74倍、北陸新幹線が2.41倍、東北新幹線が2.15倍、九州新幹線が1.89倍、北海道新幹線が1.86倍等と(ことごと)く増加。また高速道路各社が報告した同じ期間の「全国の主な区間の交通量」に拠ると、一日当たりの交通量は平均3万9200台で一昨年の大型連休に比して2.6倍、昨年の1.3倍に増加。感染拡大前の2019年と比べると77%迄回復したのに伴い、「10(キロメートル)以上の渋滞は294回」と昨年の3倍以上に増えたとの事。

 本日に政府が公表した最新状況に依ると、国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を完了した者は6889万1336人で、全人口の54.4%に到達。3回目接種率を年代別で見ると12歳から19歳は15.5%、20代は34.4%、30代は38%、40代は48%、50代は66.5%、60歳から64歳は77.3%、65歳から69歳は81%、70代は88.9%、80代は91.7%、90代は90.3%、100歳以上は87.1%となった由。少なくとも1回の接種を受けた者の総計は1億327万8544人で全人口の81.5%、2回は1億163万3101人で全人口の80.3%。5歳から11歳を対象にした接種に限ると、1回目を受けた者は105万1610人で全体の14.2%、2回目は72万9552人で全体の9.9%との事。

 山梨県知事の長崎(ながさき)幸太郎(こうたろう)氏が本日に会見。一昨日に甲府(こうふ)市で開催された山梨県高校総体に於いて「競歩の部で給水用の洋杯(コップ)に誤って消毒用の酒精(アルコール)が入れられ、提供された女子選手が飲んで体調を崩した」旨を公表。消毒液は感染対策として2(リットル)入りのPET瓶(ボトル)で用意されるも、其の後に飲料水のPET瓶と混ざってしまったらしく、消毒液を飲んだ選手には嘔吐が認められるるも、病院を受診した後に体調は回復した由。コロナ禍で無くんば起こり得ない珍事件で、遭遇した選手にとっては災難(さいなん)と云う他は無い。


5月10日(火曜)

 全国の感染者数は第六波が頂点(ピーク)を迎えた本年2月以降は(おおむ)ね減少傾向で、大型連休直前の先月27日は一日で4万6000人余となり、1週間平均では4万人余。連休中は更に減少して、今月6日には約2万2000人、1週間平均で2万4000人余となるも、7日には3万9000人余、8日には4万2500人余と増加に転じた。内閣官房の発表に依ると、昨日時点で「対策を強化すべき水準」を上回る都道府県は無かったそうだが、全国の1週間平均は3万人前後へと増加。

 そして本日は全国で4万2160人、東京都で4451人、大阪府は4240人 。愛知県3000人、 北海道2400人、沖縄県2265人、福岡県2251人 、神奈川県2203人、兵庫県1823人 、埼玉県1474人 、千葉県1154人 、静岡県1027人 、広島県1021人の新規感染が報告された。「感染者数が増えている様に見えるのは大型連休の期間中に検査数が減り、確認される感染者数が一時的に減った事の反動」との指摘も有るが、上記以外の地域も岐阜県で824人と先月12日以来の八百人超を記録し、高知県も過去最多の366人を記録する等と増加が認められて居り、錯覚ばかりとは言えまい。

 重度の楽観(らっかん)主義(しゅぎ)(しゃ)を除き、「今年の大型連休後に感染者数が或る程度迄、増加する」のは誰もが予想していた事だろう。「何処(どこ)(まで)増え、何時(いつ)減少に転じるのか」が問題となるが、懸念されるのはウイルスの変異。世界的には、米国から「BA.2の中でも、特にBA.2.12.1系統が増加」「4月30日迄の1週間でBA.2.12.1が感染者の36.5%を占めた」、 南阿弗利加(アフリカ)では別の変異株、 BA.4とBA.5が増加し、BA.2からの置換が進行中」等の情報有り。(これ)等の変異株に関して、世界保健機関は「現時点で入院に至る危険性(リスク)に差は無い」と発表しているものの、未だ情報が乏しく実態は不明と云うのが実情か。


5月11日(水曜)

 厚生労働省に依ると、全国でCOVIDのPCR検査と抗原検査を受けた者は今月6日が21万5284人で、連休前の先月25日と比べて約1.7倍。連休明けの一昨日は14万4463人で、約1.2倍に増加を認めた由。

昨日に至る一週間の新規感染者数は、全国では前週に比して0.98倍と横這いだったが、減少傾向だった大型連休前とは変化有り。首都圏では東京都0.88倍、神奈川県0.82倍、埼玉県0.85倍、千葉県0.78倍と減少が続くも、関西では大阪府1.03倍、兵庫県0.98倍、京都府0.97倍、東海では愛知県1.02倍、岐阜県1.09倍、三重県0.98倍、他の地域でも北海道0.92倍、宮城県1.01倍、広島県1.09倍、福岡県0.96倍等は概ね増減無し。(しか)れども徳島県1.67倍、福井県1.55倍、高知県1.37倍、山口県1.30倍、沖縄県1.19倍等と前週より新規感染者数が増えた地域が25府県も存在した模様。

 本日に東京は永田(ながた)(ちょう)の合同庁舎にて、従前(じゅうぜん)のCOVID対策を検証する政府の有識者会議が初会合。座長を務める自治医科大学学長の永井(ながい)良三(りょうぞう)氏や社会学者の古市(ふるいち)憲寿(のりとし)氏、東京大学大学院の教授で憲法が専門の宍戸(ししど)常寿(じょうじ)氏らが出席。岸田総理大臣が「来月迄に感染症危機管理の抜本的強化策を取り纏める」意向を示している事も踏まえて、会議では「感染拡大時に逼迫した医療提供体制や保健所の機能強化」「ワクチンや治療薬の生産、確保の体制」等に関する課題を洗い出し、「将来の感染拡大に備える方策を検討して行く」との事だが、会合後に古市氏から「医療体制をもっと整備して置けば、国民への自粛を呼び掛けずに済んだ局面が有った」「もう1回、世界的大流行(パンデミック)が起きた場合に同じ様な間違いや私権制限が繰り返されなければよい」。宍戸氏から「感染者と其れ以外の人」や「社会全体」の状況に就いて「如何(どう)()う情報を把握して分析し、政策の効果を出せるのか」が基本的課題で「足りない部分が有るか如何かを検証し、必要なことを提言する」のが「此の会議の役割だ」等の発言が聞かれたとの事。

 松野官房長官からは午前の記者会見で「新型コロナ対策に就いて、今年6月を目途(めど)に此れ迄の対応を客観的に評価」「危機に迅速、的確に対応するための司令塔機能の強化や感染症法の在り方、保健医療体制の確保等中長期的観点から必要な対応を取りまとめることを目指している」。「今後の有識者会議での議論等も踏まえて、次の感染症危機に備えた必要な対応の取り(まと)めを進めていきたい」との発言が聞かれるも、立憲民主党代表の(いずみ)健太(けんた)氏は「東日本大震災の原発事故では、政治的意図が働いてはいけないと云う文脈から、国会に事故調査委員会を作った」事を(かえり)みると「政府のコロナ対策を冷静に検証する」目的で、今回も「同じ様に国会に調査委員会を発足させるべきだ」と都内での講演で主張した由。

 本日に所謂(いわゆる)、厚生労働省の専門家会合。第83回の新型コロナウイルス感染症対策諮問(アドバイザリー)委員会(ボード)も開催。居並ぶ専門家達は、現在の感染状況について「大都市圏を中心に全国では減少が続いている」とした一方で、「大型連休で診療や検査数が少なくなっているため、今の時点で感染状況を正確に評価することは難しい」。増加が続いている地域も有り、特に沖縄県や鹿児島県では「直近1週間の感染者数が感染第六波のピークを上回っている」と指摘。新規感染者の年代別では「20代で増加、他の年代では横這いか減少」の傾向を認めるも、沖縄県では全年齢層で増加。感染の場所に就いては、20代で「飲食」の割合が増加傾向。医療の状況に就いては、全国で療養者数や重症者数等が減少する一方、人口当たりの感染者数が最多の沖縄県では「大型連休中も入院者数や病床使用率が増加」。新規感染者数が昨夏の頂点より多い状況が続いている事から、3回目接種を進展させると共に「少しでも体調が悪ければ外出を控える」「織布マスクの正しい着用」「手洗い」「密を避ける」等の基本的感染対策を徹底する事が呼び掛けられた。

 会合後の会見で、座長の脇田(わきた)隆字(たかじ)氏から、沖縄県の窮状に関して「此れ以上、感染者数が増えると厳しくなる」「オミクロン株の感染拡大の影響で、医師や看護師の休職も増えていて、全国からの支援が必要な状況となっている」等の説明と共に、今後のマスク着用に就いて「感染の危険性を下げる為の一つの手段」。「屋内で会話をする必要が有る場面」では「当然、付けた方が良い」が、「屋外で距離を取って、会話もないような場面」ならば「する必要はない」。「人も居ない所で歩いている」時も「マスク取って新鮮な空気を吸って(もら)えれば」良いが、「何時(いつ)になったらマスクを着用する必要が無くなるか」は「感染状況に依って変わって来る」との発言有り。

 (くみ)()え蛋白ワクチンの開発を進めていた塩野(しおの)()製薬が、本日に記者会見。「現在、進めている他社のワクチンとの比較試験等の結果を踏まえ、早ければ来月にも国に承認申請する」旨を発表。同日に開かれた3月期決算の説明会では、社長の手代木(てしろぎ)(いさお)氏が「どんなに遅くとも6月か7月には申請したい」「完成度の高いワクチンだと自負している」と豪語した由。承認申請が実現した暁には、国内の製薬会社のワクチンとしては初となるか。


5月12日(木曜)

 本日の東京都モニタリング会議後に都の専門家委員会(ボード)の座長で東北医科薬科大学の特任教授、賀来(かく)満夫(みつお)氏が発言。海外でのマスク着用状況に就いて「着用義務が無い国や医療関係施設等で着用を義務づけている国等、国(ごと)に対応が分かれている」。国内の専門家から「屋外ではマスク着用を見直しても良いのではないか」との声が聞かれる事を紹介した上で「マスクの正しい着用は、基本的な感染症対策として非常に有用」。「夏に向けては熱中症対策も重要」で「感染症と熱中症の両方の危険性」に備えて「マスクと上手く付き合って行く必要が有る」等が語られ、更に専門家委員会で「適切なマスクの着用」に関して議論した上で「具体的な事例等を交えながら、声明(メッセージ)を発信して行く」意向を表明した由。

 松野官房長官も午前の記者会見で「新型コロナの感染経路は飛沫や煙霧質(エアロゾル)の吸入、接触感染」で在るが故に「子供も含めてマスクの着用は感染の基本的な予防策として大変重要」だが、熱中症の危険も鑑みて、屋外で「2(メートル)以上の十分な距離が取れる」場合に関しては「マスクを外す事を推奨している」と説明。学校でのマスク着用を巡っては、参議院文教科学委員会で末松文部科学大臣が「夏を迎える中で、熱中症が命に関わる問題」となり、「基本的な感染対策と合わせて熱中症への対策の徹底が不可欠」。「即、命に関わる熱中症の対策が優先されるのは当たり前だ」と述べると共に「体育の授業で着用は必要無く、屋内でも大変な湿度の場合は外して(もら)いたい」と述べた。

 そして参議院厚生労働委員会で野党議員から「着用緩和をどう考えるのか」と(ただ)されたのに対し、総理大臣の岸田(きしだ)文雄(ふみお)氏も「着用は極めて重要」「今の段階で緩和する事は現実的では無い」と語る一方で、「人との距離が十分取れれば屋外での着用は必ずしも必要では無い」。「人との距離が十分有る場合には外す事を奨励している」と答えるに至った模様。一応は我が国でもマスクを外す方向に舵が切られるものと思われる反面、世界的大流行が収束を迎えた訳でも無い上に、「醜形(しゅうけい)恐怖(きょうふ)を抑える(よろい)」「化粧の省略」等の副産物が喜ばれている側面も有る。欧米とは異なり、(またた)く間に着用者が絶滅に瀕する様な事態は起こらぬのでは無いか。

 昨日時点で沖縄県の「確保病床の使用率」が53%となり、政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準」の目安を上回った事を、内閣官房が発表。本日も沖縄では新たに2330人の感染者が発生した模様。

 本日の東京都モニタリング会議にて「オミクロン株のBA.1とBA.2が組み合わさった組み換え体のウイルスが確認された」旨の報告有り。都内で組み換え体が見つかるのは初めてです。これは、12日に開かれた都のモニタリング会議で報告された。都の健康安全研究センターが行った遺伝子解析で「今年3月中旬に採取された2件の検体」と「4月上旬の4件の検体」から「BA.1とBA.2が組み合わさった組み換え体」が都内で初めて確認されるも、いずれにも海外渡航歴等は無く、全員が軽症。6件の全てがXE系統とは別で、分類が決定していない型だったが、「感染性や重症度等の変化が不明なオミクロン株のBA.1とBA.2の組み換え体」は世界各地から報告されているとの情勢有り。

 また一昨日の項にて記した「南阿弗利加で置換が進む2種類の変異株」の感染が、遂に国内でも確認された模様。厚生労働省の報告に拠ると「4月22日に南阿弗利加から成田空港に到着した50代の男性」がBA.4に、「4月29日に西班牙(スペイン)賛比亜(ザンビア)から成田空港に到着した、いずれも60代の男性2人」がBA.5に感染して居たとの事。いずれも空港検疫所で検査陽性となり、厚生労働省の求めに応じて宿泊施設で待機した後、既に施設を出ているが、いずれも無症状だった由。厚生労働省は「今後の感染状況は注視して行くが現時点で対策を変える事は考えていない」「従来の対策を続けて欲しい」と呼び掛けているが、「現状は所詮(しょせん)、嵐の前の静けさに過ぎず、強力な変異株に日本が脅かされる時が(こく)一刻(いっこく)と近づいているのではないか」との疑念は消えぬ。


5月13日(金曜)

 内閣官房は、昨日時点に於ける全国47都道府県の資料を発表。「確保病床の使用率」が沖縄県で56%となり、政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準」を上回った由。

 新規感染者数に関しては、先月14日迄の1週間で、全国の1週間平均が前週に比べて1.06倍。先月21日は0.85倍、先月28日は0.94倍、今月5日は0.67倍と先週迄は三週連続で減少していたが、12日迄では1.41倍と増加。大型連休で検査の数が少なくなっていた反動も有り、茨城県を除く46の都道府県で前週より多くなった。沖縄県では先月28日迄は前週の1.00倍、今月5日は0.94倍と(ほぼ)横這いで推移するも、12日迄では1.57倍と増加。一日当たりの新規感染者数は凡そ2029人で、直近1週間の人口10万当たりの感染者数は967.71人と全国で最も多く、過去最多となった。

 東京都は、先月28日迄は前週の0.86倍、今月5日は0.60倍と3週連続で減少していたが、12日迄では1.31倍と増加。大阪府は、先月28日迄は前週の0.91倍、今月5日は0.64倍、12日迄では1.67倍。愛知県は、先月28日迄は前週の1.02倍、今月5日は0.58倍、12日迄では1.70倍。その他の地域では、12日迄の一週間で北海道が前週の1.52倍、広島県が1.60倍、福岡県が1.29倍、富山県が1.91倍、静岡県は1.82倍、岡山県は1.77倍、徳島県は2.45倍、香川県は1.77倍と二倍前後に増加。

 政府分科会の構成員(メンバー)で東邦大学教授の舘田(たてだ)一博(かずひろ)氏は「全国の感染者数は大型連休中に減少し、大型連休の前を超えるような状況にはなっていないが、一部で超えている所も有る事に注意が必要だ」「今の段階では爆発的な増加は見られない」が「此れから更に増加が続くのか注意して見て行く必要が有る」と指摘。また氏は「大型連休の後、感染者数が未だ其れ程、増えていない地域」でも「来週に掛けて更に増加する可能性が有る」ので「症状が出たり、体調がおかしいと思ったら早めに医療機関を受診して検査を受ける」事が重要と説いた由。

 昨年9月に続いて、新型コロナウイルス対策を話し合う回線(オン)接続(ライン)の首脳級会合。“the Second Global COVID-19 Summit ”が今夜に米国主催で開催され、日本を含む各国や国際機関、NGOが出席。昨年9月に続いて2回目の会合に於いて、バイデン大統領は「私達には未だ遣るべき事が沢山(たくさん)残されている」「此の会合は感染を収束させ、将来の危機を防ぐ為にアクセルを踏み続ける為の新たなチャンスだ」と動画で挨拶。ホワイトハウスの発表に拠ると、参加国や各団体が総計30億(ドル)以上、日本円にして3800億円以上の拠出を表明。このうち20億弗以上が途上国等でのワクチン接種を加速させる為の対策に使われ、9億弗余が今後の世界的大流行に備える為に世界銀行に設けられる基金に充てられる由。

 烏克蘭(ウクライナ)への軍事侵攻を続ける露西亜(ロシア)は昨年の会合に出席するも今回は招待されなかったが、今月10日に就任したばかりの韓国大統領、(ユン)錫悦(ソンニョル)氏も多国間外交の場に初めて出席。我が国の宰相たる岸田総理も動画にて「世界的大流行(パンデミック)と宣言されてから2年以上たつ今も、世界の至る所で人々の健康が脅かされ、経済社会の発展が阻まれている」。「此の世界的大流行を終焉(しゅうえん)させ、より良い健康安全保障を構築すべく、具体的な取り組みを加速させて行かなければならない」と述べて「日本はワクチンを分配する国際的な枠組み、COVAX Facilityに行う最大5億弗の追加支援を合わせて、凡そ50億弗の途上国支援を力強く実施して行く」と宣言。

 本日の参議院本会議では、医薬品(いやくひん)医療(いりょう)機器(きき)(とう)品質(ひんしつ)有効性(ゆうこうせい)(およ)安全性(あんぜんせい)確保(かくほ)(とう)(かん)する法律(ほうりつ)所謂(いわゆる)、医薬品医療機器法の改正に関する採決行われた。感染症の流行といった緊急時に於いて「代替手段が無い」事を条件に、国内外で開発されたワクチンや治療薬等を迅速に薬事承認出来る「緊急承認」の制度が新たに設けられた。具体的には「安全性が確認される」「海外の治験や途中段階の国内の治験に依り有効性が推定される」の2要件を満たせば、「2年以内の期限」と「更なる有効性を示す情報収集する」等の条件付きで薬事承認となるも、期限内に有効性が確認出来なければ承認が取り消される由。「現在は紙で行われている処方箋の遣り取りを電子情報で行う」事が認める「電子処方箋」の導入も盛り込まれた改正法は採決の結果、全会一致で可決、成立。「ワクチンの承認等が海外より遅れた」と批判された国内情勢が、今回の法改正を(もっ)刷新(さっしん)される事を願いたい。


5月14日(土曜)

 本日は全国で3万9416人、東京都で3799人。大阪府で3440人、北海道で2771人、愛知県で新たに2472人の新規感染者が確認された。「今月11日に過去最多の2702人が新規感染」「昨日迄に四日連続で新規感染者が二千人を超え、病床使用率も上昇」「本日も新たに2464人、過去2番目に多い感染者が発生し、2名の死亡も報じられた」と危機的状況の続く沖縄県に対し、政府は再び「リエゾンチーム」を派遣して国と自治体の連絡調整に当たらせる由。他に福岡県で2114人、神奈川県で2077人 、兵庫県で1769人 、埼玉県で1439人 、広島県で1247人 、静岡県で1095人 、千葉県内で1059人の新規感染者が確認されたとの事。

 横浜(よこはま)市立(しりつ)大学(だいがく)教授の(りょう)明秀(あきひで)氏、国立成育医療研究センター部長の阿久津(あくつ)英憲(ひでのり)氏を含む研究者集団が、ヒトiPS細胞から創生した小腸の立体臓器雛形(モデル)、「ミニ腸」をに新型コロナウイルス、即ちSARS-CoV2を感染させ、以降の経過を観察。其の結果、昨夏に広がったデルタ株は従来株を基準として腸内で4倍から6倍広がり、感染した多くの細胞が傷付いたのに対し、オミクロン株は「BA.2を含めて(ほとん)ど広がらなかった」との事。体内に近い環境でウイルスが広がる様子を確認する事で、従来株と変異株の違いが分かり、「ウイルスを広げない薬を見つけ出す」事や「新たな変異ウイルスが出た場合にも特性を正確に捉えて対策に生かす」等の活用が期待されている由。

 中国では今週、上海で新規感染者数が三千人を下回るも感染収束には程遠く、習近平政権の所謂「ゼロコロナ」政策に対し、10日の会見でWHOのテドロス事務局長が「持続可能とは思えない」と発言。此れに対し、中国政府は「国連が中国国内のSNS、“WeChat”に設けている公式接続権(アカウント)に干渉」「テドロス氏発言に関連する内容の共有を制限」した上、SNS上でも「以前は中国側に立っていたテドロスが裏切った」等の批判が並んだ。

 しかし、今週11日も北京で40人余の感染者が確認され、翌12日から世界遺産の故宮も閉鎖。我が国では上野動物園の大 (ジャイアント)熊猫(パンダ)(シャン)(シャン)の中国返還が延期。「新型コロナウイルスの影響で移動の際に専門スタッフの同行が難しい」事から「中国側との協議で決まったとの事。中国国内で4月の新車販売台数は118万1000台で、昨年同月と比べて47.6%の減少になる等と中国経済の停滞が続き、トヨタ自動車が「外出制限の続く上海からの部品の調達が滞った結果、今月は国内の一部工場で最大で6日間の操業停止」を発表する等と日本経済への影響も甚大(じんだい)

 北朝鮮でも12日に「首都のピョンヤン(平壌)でに開かれた朝鮮労働党の政治局会議」に於いて「従前は一人も居ないとされて来たCOVID患者の存在が報告され、最大非常防疫態勢に移行」。翌13日付の党機関紙が「発熱した者は35万人余」で、「そのうち16万2200人余りが完治した」したと報じられた。全ての市や軍が封鎖されるも感染は収束せず、14日の朝鮮労働党会議金(キム・) 正恩(ジョンウン)総書記が「建国以来の大動乱」と語るに至った模様。


5月15日(日曜)

 本日は全国で3万5008人の感染、25人が死亡した旨の発表有り。聴覚障害者の国際総合大会。Deaflympicsの第24回夏季大会が伯剌西爾(ブラジル)南部のCaxias do Sul で開催されていたが、「日本選手団149名のうちCOVID陽性者が合計11名となる」状況に於いて、日本選手団本部が「11日以降の全競技で出場を辞退する」と発表。「選手団に帯同する医療(メディカル)(チーム)と審議を重ね、感染者を分析した」結果、感染源は「各競技会場に在る可能性が高いと判断」され、「日本選手団の命と安全を最優先に考え」て出場辞退に至った由。大会は本日で終了、日本選手団は金賞牌(メダル)12個、銀8個、銅10個のメダルを獲得していたとの事だが、(いのち)()っての物種(ものだね)。辞退も()むを()まい。

 第二次世界大戦で、旧蘇緯埃(ソビエト)が国家社会主義労働党独裁下の独逸(ドイツ)所謂(いわゆる)ナチス・ドイツに勝利。其の歴史を祝う戦勝記念日を今週9日に迎えた露西亜(ロシア)では、プーチン大統領が記念式典で演説。「露西亜(ロシア)にとって受け入れられない脅威(きょうい)が国境付近に有る」と述べ、烏克蘭(ウクライナ)への軍事侵攻を改めて正当化した由。日本国内で大型連休後の感染再拡大が比較的軽く済みそうな事は(よろこ)ばしいが、世界情勢が其れなりに安定しない限り、我が国の安寧を保つのも容易では無かろうと危惧(きぐ)する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ