令和4年4月第3週
4月11日(月曜)
本日は全国で3万3205人の感染。北海道で4人、兵庫県で3人、福岡県で3人、大阪府で2人、宮城県で2人、富山県で2人、岐阜県で2人、愛媛県で2人、東京都で2人、三重県で1人、京都府で1人、千葉県で1人、奈良県で1人、山形県で1人、栃木県で1人、滋賀県で1人、神奈川県で1人、群馬県で1人、茨城県で1人、青森県で1人、静岡県で1人の総計34人の死亡が確認された由。人工呼吸器や集中治療室等の治療を受ける重症COVID患者は465人で、今月7日に行われたPCR検査等は自主検査を除く速報値で8万7615件。 東京都では4562人の新規感染が報告され、先週月曜より178人増。本日迄の7日間平均は7596.4人で、前週の99.9%。確認された4562人の年代は20代が最も多く、全体の19.4%に当たる885人で、65歳以上の高齢者は227人で全体の5.0%。感染経路が判明している1632人のうち最多は「家庭内」で、全体の70.9%に相当する1157人。人工呼吸器か人工心肺装置を使っている重症患者は28人で、昨日より1人減。
大阪府では新たに1449人の感染が確認され、前週同曜と比べて200人余の増加。府内の感染者累計は83万4267人。府内に於ける死亡者の列には2人が加わり、総計4819人。重症者は昨日より1人減って51人。府内の高齢者施設や障害者施設で発生した集団感染は、第六波に限っても今月3日迄で773施設に上り、感染者の累計は1万2000人を超過。第6波に於ける集団感染と関連して高齢者施設や障害者施設で亡くなった人は今月6日の時点で82人となり、此れ迄は最大だった第4波に於ける40人の倍以上。大阪府が行った「施設毎に指定された協力医療機関の対応状況」の調査では、回答が得られた3601施設のうち、協力医療機関がCOVID治療用の内服薬を処方可能とした施設は25%。Sotrovimab等の中和抗体薬の点滴が行えるとした施設は13.4%、抗ウイルス薬の投与が行えるとした施設は11%で、何れかの方法でCOVID治療が出来る施設は全体の凡そ3割に留まった。
斯様な事態を受けて、大阪府は地域の医師の協力を得て「集団感染が起きた施設に、往診チームを派遣する」取り組みの強化に乗り出すも、「往診に協力する医療機関の数は地域に依って偏りが有り、不十分な所も有る」との現場の声有り。千葉県ではCOVID回復期の患者を後方支援病院へ送り、COVID治療専用病床の逼迫を防ごうとするも、柏市や周辺の地域で停滞。状況を打破する為に、柏市医師会は市内の後方支援病院と共に「受入を円滑に行う為の取扱説明書」を作成。「受入時には感染力が高くない為、原則的にPCR検査は不要」、「患者の個室隔離は不要」、「体液に触れる可能性が有る場合を除き、防護服も不要」等の指針を示し、受入への不安軽減を図る由。
政府が本日に公表した最新状況に拠ると、国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を受けた者は5754万7225人で、全人口の45.4%。少なくとも1回の接種を受けた者の総計は1億280万4704人で全人口の81.2%、2回目も終えた者は1億92万4027人で全人口の79.7%。5歳から11歳を対象にした接種で少なくとも1回の接種を受けたのは66万7621人で全体の9%、2回目接種を終えた者は19万2047人で全体の2.6%だった由。接種完了者の比率を都道府県別に見ると、1回目は多い順で秋田県86.41%、山形県85.55%、青森県85.45%。少ない順で沖縄県70.79%、大阪府77.68%、鳥取県78.92%。2回目は多い順で秋田県84.79%、山形県83.88%、青森県83.79%、少ない順で沖縄県69.14%、大阪府76.45%、愛知県77.21%。3回目は秋田県の三連覇とは行かずに山形県50.4%、福島県49.04%、茨城県48.35%で、少ないのは沖縄県33.78%、大阪府40.52%、京都府42.54%。各地域に各々の事情は有ろうが、先ず沖縄、次に大阪で接種率が低いのが目立つ。感染再拡大が叫ばれている事と無関係では在るまい。
ワクチン接種記録機構の情報も公開されたが、初めて年代別の全国の3回目接種率も公表。最も高かったのが80代で88.4%、次いで70代が86%、65歳から69歳が77.8%と高齢者が高いのに対し、60歳から64歳が66.7%、50代が51.3%、40代が33.8%と年齢が下がると共に低下。更に30代では25.9%、20代は24%、12歳から19歳は5.4%と接種を終えていない者が増える。此れも「今月5日迄の1週間に於ける全国の新規感染者のうち、20代は最も多い18%を占める」との現状と一致して居るか。
AstraZeneca製ワクチンは「接種後、極めて稀に血栓が生じる」恐れ有りとされ、昨年8月に厚生労働省が「接種対象は原則40歳以上」と限定した上で公的な予防接種に追加。1億2000万回分を購入する契約を交わし、20万回分前後を全国の自治体に配送して来たが、「PfizerやModernaのワクチンの成分にアレルギー反応を示した者」への使用のみ。昨日迄の接種回数は約12万回に留まっていたが、「今後もAstraZeneca製の接種が大幅に増える見込み無し」と判断した厚生労働省は此の度、「4000万回分の購入を取り止める」事を決定。取消とする料に就いては「契約上、明らかに出来ない」との事だが、残りの約8000万回分のうち「4300万回分は既に途上国を中心に海外に供与」済で、更に供与を増やす方向で各国と調整開始。厚生労働省は「今回のキャンセルが有っても国内でのワクチン供給に問題は無い」との声明を出したそうだが。自国製のワクチンも未だ完成せぬ我が国が如何に他国へ供給するのかと以前から危ぶんで来たが、宙に浮いたゼネカ製の活用は蓋し妙案と言えよう。
先月26日に「米国から成田空港に到着した30代女性」が空港の検疫所で検査を受けた所、COVID陽性となり、国立感染症研究所で検体遺伝子を解析した結果、英国等で報告されている「オミクロン株のXE系統に感染している」事が確認された由。我が国でXE系統への感染が確認されたのは初だが、遂に来たとの印象。女性に症状は無く、厚生労働省の要請に応じて検疫の宿泊施設で待機した後、入国から9日後に施設を出たとの事。XEは、第六波で広がったオミクロン株のBA.1系統、より感染力が高いとされるBA.2の特徴を有し、BA.2より感染が広がる速度が12.6%速いと試算される一方、「英国でも感染が広がっている状況では無く、重症度との関連に就いても良く分かっていない」との声も有るが、変異株との鼬ごっこは未だ終わらぬ。
4月12日(火曜)
本日は全国で4万9773人の感染、47人の死亡。東京都内で6922人、大阪府内で5051人の感染が確認された由。昨日に空港検疫でXE系統が確認された件に関し、後藤厚生労働大臣は閣議後に「世界保健機関の報告でBA.2系統に比べ、市中で感染者が増加する速度が10%ほど高いと記載されている」が「感染性や重症度等の特性に就いては更なる知見を収集して行く必要が有る」等と語る一方、水際対策を強化するか否かに関しては「此れから検討する」「今の段階で決めている訳では無い」と述べるにとどまった由。松野官房長官からは「検疫で1件確認」されるも「国内では現時点で確認されていない」との発言有り。
沖縄県内で感染者数の増加傾向が続き、直近1週間で人口10万人当たりの新規感染者数が全国で唯一、500人を超えて最多。松野官房長官は閣議後会見で内閣官房や厚生労働省の職員、合計4人から成る政府の「リエゾンチーム」を、12日から沖縄県庁に派遣する事を公表。リエゾンチームは今月15日までの4日間、沖縄県庁に常駐して現地で総理大臣官邸や各省の幹部と直接連絡を取り、迅速な情報共有等に当たる予定。松野官房長官は「新規感染者数は全国的に下げ止まっており、今後の動向に注視が必要」だが「特に沖縄県は10万人当たりの新規感染者数が増加傾向で推移し、全国で最も多い状況」。「機動的な対応を可能とする様、緊密な連携を図って行きたい」と述べた由。また松野官房長官は本日午後に都内の国立大学協会や日本私立大学協会等、5つの団体を訪問して代表者達と相次いで会談。「若い人でも新型コロナに感染した場合、重症化する事例が有り、後遺症の心配も有る」と説明して「3回目接種を希望する学生の取り纏め」「大規模接種会場への送迎」等への協力を要請。何れの団体からも賛同が得られた模様。
本日に総理大臣官邸、二階の大広間にて第5回の「新しい資本主義実現会議」開催。岸田総理大臣や山際経済再生担当大臣、民間の有識者が集い、世界的大流行の収束後を見据えた経済機構の再構築等に就いて討議した由。岸田総理大臣は「第一にstart upの育成だ」「官民の役割分担をした上で5箇年計画を作成し、実行の為の司令塔機能を明確化する」と語り、新興企業の資金調達を支える為に積極的支援を行う意向を表明。海外からの大学誘致を含め、周辺に新興企業が集まる大学の整備を進め、「優れた発想や技術を持つ若い世代の人材に対する支援策」を「抜本的に拡充する」との事。方向性としては恐らく正しいが、未だ海の物とも山の物とも付かぬ印象。
4月13日(水曜)
医療提供体制等の負荷と感染の状況に関し、内閣官房が今月10日、11日、12日時点に於ける全国47都道府県の情報を発表するも、政府分科会が示す「対策を強化すべき水準」を上回る自治体は無かった由。今日は全国で5万7758人の新規感染と67人の死亡。東京都で8253人、大阪府は5121人が新たに感染している事が確認された由。
本日に第80回の新型コロナウイルス感染症対策諮問委員会。所謂「厚生労働省の専門家会合」が開かれ、大都市部での増加速度は比較的穏やかでも「一部の地方都市では急速に感染が拡大」。特に岩手県や秋田県、福島県、新潟県、長野県、愛媛県、大分県、宮崎県、鹿児島県では新規感染者数の1週間平均が第6波の頂点を上回り、「地方での感染拡大にも注意が必要」等の指摘有り。感染者を年代別に見ると「10代以下は減少傾向」に転じるも「50代以上で増加傾向」。特に先月から感染が再拡大している沖縄県では「高齢者の増加が顕著」となり、今後は「他の地域でも高齢者の感染に注意が必要」となる模様。医療体制に就いては「広島県や鹿児島県、沖縄県等で病床使用率の増加が見られる」、「自宅療養者や療養場所調整中の人数は東京都等、複数の地域で増加中」との事。
会合後の記者会見で座長の脇田隆字氏が語って曰く、感染の再拡大に就いては「全国的に継続的な増加局面に在る」との認識が「今日の議論でも示され」、「蔓延防止等重点措置が終わった段階で増加局面に入った」との意見も聞かれた。「比較的、増加速度が緩やか」な要因としては「自然感染」「ワクチンの3回目接種」で免疫を持つ者が増え、市民が感染危険性の高い場面を避けている等が考えられる。3回目接種に関しては「新型コロナウイルスに限らず、多くの予防接種では2回目の接種までで基本となる免疫をつけて、3回目の接種で更に良質な免疫を付ける」。オミクロン株が主流となってからの資料でも「ワクチンを接種していない30代以上では重症化する人や亡くなる人が少なからず」存在し、ワクチン接種で重症化や死亡を減らす事が出来ている事が示されている。若者も感染すると後遺症の危険性に加えて「周囲に感染させるリスクも出て来る」為に「機会が有れば、出来るだけ3回目接種まで受けて頂きたい」等。
厚生労働省の研究班は「3回目のワクチン接種を受けた医療従事者」のうち「感染に起因する抗体を持たぬ」者に就いて、「変異する前の従来株に対する抗体価が3箇月間で如何変化したか」を初めて分析。このうち「3回ともPfizer製ワクチンを接種」した440人では、1箇月後の抗体価は接種直前に比べて平均で52.1倍に増加し、3箇月後は27.5倍だったが、「2回目までファイザー」「3回目にモデルナを接種」した92人では、1箇月後の抗体価が接種直前に比べて平均で70.3倍、3箇月後は36倍迄、上がった由。研究班の代表で、順天堂大学医学部の特任教授、伊藤澄信は「3箇月後にかけて抗体の値はほぼ半減したものの、水準としては高く一定の有効性は保たれている」「オミクロン株に対する効果は明確に言えないが、有効性が急激に低下する事は考え難い」と語った由。
5歳から11歳を対象にしたワクチン接種は今年2月下旬に始まり、厚生労働省に依ると「今月1日までに推定53万4000回余の接種」が実施して来たが此の間、総計16人に副反応が疑われる症状の報告有り。症状が重かったのは2人で、うち7歳男児は心筋炎や心膜炎、ウイルス性の咽頭炎と診断された。また10歳女児にリンパ節の主張や発熱等を認めたが、両人とも回復か軽快。他に14人が「接種の痛みや緊張に依って眩暈等を起こす」血管迷走神経反射」等と報告されたが、何れも症状の程度は比較的軽度。厚生労働省は「現時点でワクチンの接種体制に影響を与える程の重大な懸念は認められない」との構えを取っている模様。
文科省調査に拠ると、昨年12月時点でコロナ禍の影響で中途退学した者は前年度の1.4倍に増え、理由のうち「学生生活への不適応や修学意欲の低下」が30%と10ポイント程度増加していた由。長引くコロナ禍の中で、また3度目の春が到来。国の調査で、昨年度の後期授業は「対面が7割以上」とした大学が83%だった一方、17%に当たる200校近くが「半分以上はオンラインで行う」と答えたが、今春は明治大学が「既に対面授業7割を目安として」来たが「感染対策を徹底しながら全面的に対面授業を実施する」予定。他にも同様の動きが相次ぎ、全国の大学で新年度から回線接続授業が減って、対面授業を拡大する動きが相次いでいる模様。
本日の参議院本会議で、経済安全保障の強化を図る法案の内容等を巡る質疑。岸田総理大臣は「全体としては増加傾向に在る」と認める一方で「病床使用率、重症病床使用率は低い水準に在り」、既に「重症化危険性の高い高齢者の85%がワクチンの3回目接種を完了」。「現時点で都道府県から蔓延防止等重点措置の要請は無く、直ちに重点措置が必要な状況とは考えていない」と語った由。事後に松野官房長官からも「現時点で都道府県から要請は無く、直ちに必要な状況とは考えていない」、山際新型コロナ対策担当大臣からも「感染が爆発しなければ、蔓延防止等重点措置を考える必要は無い」「今の状況で在れば、重点措置を考える状況には無い」との発言有り。発令無しに乗り切れるか如何かは少々疑問だが、「経済活動の妨げになる事は極力、避けるべき」との輿論なれば、当面は見守るしか無かろう。
4月14日(木曜)
本日は全国で5万5294人の新規感染、52人の死亡。東京都の新規感染8540人は、先週木曜に比して約200人減だが、本日迄の7日間平均は7502.4人で前週比100.9%。人工呼吸器か人工心肺装置を要する重症患者は昨日より2人減って21人となった一方、感染が確認され、医療機関に入院している者は52人増えて2027人。大阪府内の新規感染は前週同曜より350人余を減じて4314人、重症者は1人減って44人との事。
厚生労働省は、感染第六波を迎えていた「今年2月2日から先月6日」に「5都府県の合計8000人余」を対象に抗体の保有率を調査し、昨日の厚生労働省専門家会合で結果の速報値を公表。SARS-CoV2既感染者のみが保有する型の抗体に関して、東京都での保有率は5.65%、大阪府で5.32%、宮城県で1.49%、愛知県で3.09%、福岡県が2.71%で、去年12月の前回調査と比べて1.2倍から2倍程度の増加。調査時点での各都府県人口に占める累計の感染者数の割合と同程度の水準だった由。ワクチン接種でも得られる型の抗体は何処の都府県でも96%以上に備わっていたものの、今回の結果からは発症や重症化等の予防に十分な免疫が有るか否かは不明。脇田隆字座長に依ると、会合の中では「詳細な分析は必要」だが「無症状で検査が出来ていないという感染者は殆ど居ないのでは」との指摘が出た由。
以上の情報を勘案して、岸田総理大臣は「病床使用率、重症病床使用率は低い水準」に在り、「重症化危険性の高い高齢者」も既に「85%がワクチンの3回目接種を完了している」との見解を示し、感染者数が増えようとも直ちに蔓延防止等重点措置を適用しない方針に就いて表明。沖縄にリエゾンチームを送り込んだ後は、引き続き各自治体と連絡を取りながら、感染状況や医療提供体制を注視する模様。東京都のスクリーニング検査では、BA.2疑いウイルスの割合が今月4日迄の1週間で76.7%に上昇。都は本日に「専門家による都内の感染状況と医療提供体制の分析結果」を公表。感染状況は4段階のうち最重症を維持して「感染の再拡大の危険性が高いと思われる」。医療提供体制の警戒水準は4段階のうち上から第2位を維持して「通常の医療が制限されている状況」、「減少傾向に在った入院患者が僅かに増加」「感染の再拡大に備えて、通常の医療提供体制との均衡を保ちながら、入院、宿泊及び自宅療養体制を柔軟に活用する必要が有る」との指摘有り。
小中学校に於ける感染対策に関し、文部科学省は「入学式等の学校行事で保護者や在校生の参加人数を抑える」「給食時は机を向かい合わせにしない」等と取扱説明書で具体的に指示を出して来たが、最近に千葉県教育委員会がマニュアル準拠の対応を止め、学校行事や活動に対する制限の一部を緩和する方針を決めた由。具体的には「マスク着用、且つ十分な換気を行えば、入学式等で参加者の人数制限は不要」、「給食では飛沫を防ぐ対策を実行し、会話をしなければ机を向かい合わせにしても良い」等とします。千葉県教育委員会は「必要以上の制限で子供の教育の機会が失われている」との判断から今回決断に至ったとの事で、近く県立学校や市町村の教育委員会に通知する由。文科省指示に対して県教委が独自判断で動こうとしている事に驚くも、条件付緩和自体は妥当だろう。
沖縄県で感染が拡大する中、同県知事の玉城 “Denny”康裕氏が山際経済再生担当大臣と会談。玉城知事は「沖縄本島の病床使用率が高く、13日時点で53.1%となっている」「沖縄県として、蔓延防止等重点措置の要請を検討する目安の60%に残念ながら近づき始めている」と報告した上で、新型コロナワクチンの接種率を上げるため、多くの人が集まる商業施設等に医師や看護師を派遣して接種を進める計画に就いて説明。「今月末が期限の無料検査を延長する」事に助力を求めると山際大臣も応じ、会談後は山際大臣は「修学旅行を除き、此れから沖縄県を訪問する方は安全・安心に旅行する為、事前にワクチンの3回目接種か検査を受けて貰う様、御願いする」と述べ、協力を呼びかけた。
航空自衛隊を統べる航空幕僚長の井筒 俊司氏は「米空軍の幹部と会談」、或いは「シンポジウムに参加する」等の目的で、今月4日から米国各地を訪問していたが、帰国が近づく中で微熱や咽頭痛を訴え、本日のPCR検査で新型コロナウイルスへの感染が確認された由。隔離の為に米国滞在の継続が必要となり、明日の出国予定は最短でも現地時間の今月23日迄延期。補佐役の航空幕僚副長が日本国内にいる事から、航空自衛隊の任務に影響は出ないとの事。
4月15日(金曜)
今週13日、14日とも各都道府県の医療逼迫が、政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準」を上回る事無し。東京都内の入院患者は八日連続で増加し、昨日は先月28日以来の二千人超過。第六波頂点、約4300人の半数程度と言えども、更なる増加で医療への負担が増す事が懸念される情勢。昨日の病床使用率は27.6%で、第六波で60%まで上昇した時よりは遥かに低いものの、此れも直近数日で上昇傾向。オミクロン株の特性を踏まえた基準で集計した重症患者用の病床使用率は、最も高かった今年2月22日が36.3%だったのに対し、14日時点では6.8%。BA.2系統への置換で感染再拡大の危険性が高まるとの分析も有り、都は「特に高齢者に感染が広がれば、入院患者の増加で医療への負担が増す事が懸念される」として感染防止対策の徹底を呼び掛けた模様。
本日は全国で4万9761人が感染。大阪府で7人、東京都で7人、千葉県で6人、兵庫県で5人、福岡県で5人、滋賀県で4人、神奈川県で4人、岡山県で3人、京都府で2人、北海道で2人、奈良県で2人、愛知県で2人、茨城県で2人、三重県で1人、佐賀県で1人、埼玉県で1人、大分県で1人、宮城県で1人、宮崎県で1人、山形県で1人、愛媛県で1人、栃木県で1人、秋田県で1人、群馬県で1人の総計62人が死亡したとの発表有り。人工呼吸器や集中治療室等で治療を受ける重症者は230人と大幅に減るも、本日から「大阪府が独自の基準で集計した重症者数が国の発表に反映される様になった」事情が影響した模様。13日に行われた自主検査を除くPCR検査等の数は速報値で7万8062件。
東京都内の新規感染は先週金曜より1300人程度を減じて6768人、1364人で7日間平均は7310.4人で前週の98.1%。6768人を年代別に見ると、20代が最多の1364人で全体の20.2%に相当、65歳以上の高齢者は359人で全体の5.3%。感染経路が判明した2434人のうち「家庭内」の1727人が最多で全体の71.0%を占め、人工呼吸器か人工心肺装置を要する重症COVID患者20人は昨日より1人減。大阪府内では3692人の新規感染を認め、前週同曜と比べて200人以上少なくなり、重症者は昨日から6人減って38人。
沖縄県では本日に1530人の新規感染が確認され、県内での感染確認は総計14万891人に達した。政府は今月12日から4日間の予定で国と自治体の連絡調整に当たる「リエゾンチーム」を県庁に派遣し、現地の感染状況や課題の把握に取り組んでいたが、本日午後の会見で松野官房長官が派遣期間の延長を発表。「沖縄県は10万人当たりの新規感染者数が増加傾向で推移し、全国で最も多い状況」で「病床使用率も増加傾向」、政府としても「子供や高齢者の感染対策の強化」「ワクチン3回目接種の促進」等を支援して行くが「沖縄県の感染状況や感染対策上の要望を踏まえ、引き続き県と緊密に連携して対策に取り組む」為に、チーム派遣に関しても「当面の間、延長を決定した」と述べた由。
一方で本日閣議後に後藤厚生労働大臣からは「個別に知事の意見等も聞いて行く」ものの「今、行動制限を特に強めて行く」と云うよりは「先ずは3回目のワクチン接種」、更には「高齢者施設等の医療提供体制の逼迫に備え、予の体制整備」等に取り組む旨の発言有り。初回、2回目、3回目を問わず、同県の接種率が段違いに低い事は今週月曜の項に記した通りだが、地域を限定して強力に接種を推進すれば、果たして医療逼迫を防ぐ事が出来るのか。リエゾンチームの働きも含め、岸田政権の手腕が問われる状況と見た。
昨年11月に強化された水際対策が先月1日に緩和され、観光を除く外国人の新規入国が再開。出入国在留管理庁が発表した速報値に拠ると先月、新たに日本に入国した外国人は4万8418人となり、前月に比して9倍以上の増加。在留資格別では留学が1万4810人と最も多く、次いで技能実習が1万163人、短期滞在が6522人等。再入国した外国人は3万4037人で、日本人の帰国者は9万389人となった由。既にXE系統も入国済だが、余程の事態が起こらぬ限りは鎖国再開の決断は出来ぬ情勢で、遠からずオミクロン株の別系統か、新たな変異株の到来が騒がれる事になるものと予想。
一昨日に開かれた財政制度等審議会で、財務省から「此れ迄に凡そ2兆4000億円を掛けて、国内で想定されている接種回数を大きく上回る8億8200万回分の新型コロナワクチンを購入している」状況が説明されたのに対し、出席者からは「効率的な利用を徹底すべき」との指摘有り。対して岸田総理大臣は、衆議院厚生労働委員会で「未知のウイルスに対して世界各国で獲得競争が継続する中、国民に有効なワクチンを御届け出来る様、諸有可能性を視野に入れて複数種類のワクチンの確保に先手先手で取り組んで来た」。即ち「此れ前の斯うした取り組みは必要なものだった」と反論。「国民の税金で購入する以上、費用対効果も大事な視点だ」と認めつつ「ワクチン接種による感染や重症化の予防効果」と「其れが齎す経済社会効果は非常に大きい」。「今後も適切な調達に努めて行きたい」と述べた由。
本日に開かれた会合で、自民党のワクチン対策プロジェクトチームが「4回目接種等に関する提言案」を検討。「接種の主たる目的は重症化予防効果に在り」と定義した上で「3回目迄の接種を完了した若年者」に於いて「オミクロン株に因る重症化危険性は低く」、「重症化予防効果を上積みする政策的意義は小さい」と判断。4回目接種は「高齢者や基礎疾患を有する者を対象に進めるべき」だが、国や自治体が基礎疾患を持つ国民を有一々特定するのは困難との理由から「接種券を配布する際は自治体の事情を考慮し、自主的な取り組みを尊重すべき」との方向性も固まる一方、「今後の流行に依っては、5回目接種が必要になる事も有り得る」として、政府には「変異株に対応した新たなワクチンの確保」が要請される事になる模様。今後は「医療従事者も対象に加えるべきか」「高齢者を何歳以上とするのか」等の残る課題を整理した上で、提言を取り纏めるとの事。
烏克蘭情勢に伴う物価の上昇を踏まえた緊急対策を政府が決定するのを前に、昨日は自民公明両党が其々に岸田総理へ提言。「原油価格の高騰対策として今月末迄となっている石油元売会社への補助金の期限延長や拡充」「生活困窮者への支援強化」との方向性は同じだが、財源を巡っては、自民党が「迅速性を重視し、今年度予算の予備費で対応」。公明党は「ウクライナ情勢や感染状況を踏まえ、不測の事態も想定して補正予算が必要」と主張し、原油高騰対策でも「ガソリン税の上乗せ部分の課税を停止する引金条項の凍結解除も求める」等と与党間で見解の相違が見られた模様。
共産党も「消費税率を直ちに5%に引き下げる」「生活困窮者に対する給付金を拡大する」「公的年金の支給額の引き下げを止める」、其の為に「補正予算を編成して対策を取る」事を政府に求める緊急の経済対策を纏め、同党政策委員長の田村智子氏が記者会見で「新自由主義やアベノミクスによって脆くて弱い経済になってしまっている」「優しく強い経済への抜本的な政策転換が必要であり、直ちに補正予算の編成を検討すべきだ」と政府与党を批判したとの事。参議院選挙は6月22日に公示、7月10日に投開票を行う方向で調整中と聞く。
科学技術の分野で優れた業績を挙げた研究者に贈られる「日本国際賞」。独逸企業、BioNTech社の上級副社長で、「メッセンジャーRNAを医療に応用する道を開き、COVID用ワクチンの開発に大きく貢献したKarikó Katalin氏等が今年の受賞者に選ばれ、昨日にカリコ博士がNHKの取材に応じた由。「変異ウイルスが出現する事でワクチンを接種しても再び感染してしまう」「一生に渡って保護される訳では無い」と云う事が分かり、今後はウイルスとの共存、其の為のワクチン開発が重要になるが「我々は様々なコロナウイルスに共通する部分を標的にしたワクチンの開発を試みて」既に動物実験が進行中で、「科学者として実現可能だと信じている」と述べた由。本日に開かれた受賞者会見でも、カリコ博士は改めて「元々はワクチンを作ろうとしていたのではなく、メッセンジャーRNAを医薬品に使いたくて研究を続けて来た」。「ワクチン開発は利益の為では無く、倫理的な義務感からだった」と語り、共同で研究を行い、共に受賞したPennsylvania大学教授のDrew Weissman氏からも「様々な変異ウイルスに効果の有るワクチン」の開発に関して「数年後には完成しているだろう」、「未来はとても明るいと考えている」との発言有り。希望に満ちた御意見だが、既に人生を勝ち抜けした者のみが吐ける楽観論とも思えるのは僻目か。
4月16日(土曜)
本日は全国で4万7598人の新規感染と48人の死亡。東京都で6797人、大阪府で 3644人、沖縄県では1439人の感染が新たに確認される一方、山梨県の新規感染は156人と比較的少ないものの、同県知事の長崎幸太郎氏の感染が報じられた。氏は3回目のワクチン接種を終えていたが、本日に37度台後半の発熱。県内の医療機関でPCR検査を受けた所、COVID陽性を確認。詳細は不明だが「掛かり付け医の指示」に基づいて県外の医療機関に入院する事となって、公共交通機関を使わずに車で移動したとの事。
感染第六波の終わりが見えぬ中で、今月から厚生労働省は2億円の予算を投じて「後遺症の実態の把握」と「新型コロナが医療態勢に与える影響」の調査を開始。具体的には、国の研究班が、今後の流行も踏まえて「オミクロン株の感染後にどんな症状が続いているか」「引き起こされる合併症」「其の要因」等を調べるとの事。COVID後遺症全般に関しては、WHO=世界保健機関が「発症から3か月後から始まり、少なくとも2か月は続く症状」と定義しているものの、COVID後遺症を調べる国の研究班の代表を今年3月迄、務めた高知大学医学部の教授、横山彰仁氏からは、オミクロン株感染の後遺症に就いては「未だ詳しくは分かっていない」。しかし、「オミクロン株に感染した人は其れ以前に比べて格段に多い」故に「後遺症を訴える人も増える恐れが有る」との指摘有り。
また横山教授に依ると、息切れや筋力低下等と感染時に重症を呈した者に生じ易い後遺症が有る一方、「倦怠感」「嗅覚異常」「味覚異常」等の後遺症はCOVIDの重症か軽症化を問わず出現する可能性有り。「軽症が多いとされるオミクロン株」の感染に於いて、後遺症が出る頻度自体は比較的低いと考えられるが「患者の数は極めて多い」。従って「後遺症が出る人も非常に多くなるのではないか」と考えられ、「実際に後遺症に苦しんでいる人も出ていて軽視は出来ない」。オミクロン株は「比較的若い人でも多くの人が感染」していて「現役世代にも非常に大きな影響を及ぼしている」が、今後は「後遺症の症状を登録して実態を把握」し、「起きる仕組みを出来るだけ早く明らかにする為の研究を進める」事が重要。また海外からは「ワクチンを打つと後遺症の頻度が減る」と報告されて居り、矢張り「ワクチン接種も重要だ」との事。
今週11日の時点で日本銀行が公表した地域経済報告に依ると、全国9地域のうち、北海道、東北、北陸、関東甲信越、東海、近畿、四国、九州・沖縄の8地域で前回報告より景気判断を引き下げ、中国は前回から据え置いた由。「自動車関連等で半導体等の部品供給不足が続く」「感染拡大で飲食や宿泊等を中心に消費が落ち込んでいる」等が理由とされ、個人消費に就いては、全地域で判断が引き下げられた由。米国で金融の引き締めが加速する事への懸念から、今週12日の東京株式市場は幅広い銘柄に売り注文が出て、日経平均株価は一時、400円以上、値下がりした事も報じられた。
一方で大手百貨店3社が発表した今年2月迄の1年間に於ける決算は、コロナ禍で大規模休業を余儀無くされた前年の反動から売り上げが回復。最終的な損益は高島屋が53億円の黒字、大丸松坂屋百貨店を運営するJ.フロント リテイリングが43億円の黒字を計上するも、そごう・西武は88億円の赤字に終わった由。コロナ禍以前は例年、百万人以上が訪れていた新潟県長岡市の花火大会は、感染対策を実施した上で、今年8月に三年振りの開催が決定。しかし、三菱重工業は国産のジェット旅客機「三菱スペースジェット」の開発体制を縮小し、米国西部に構えていた飛行試験の拠点を先月末で閉鎖。先述の如く中国で感染拡大、電子機器部品不足が続いている煽りを受けて、自動車生産会社のマツダは今月21日と22日、25日と26日の合計4日間に渡り、広島県の本社工場と山口県の防府工場の操業を停止。
来月の大型連休に於ける新幹線指定席予約状況は、去年よりは増加した反面、コロナ禍以前と比べると凡そ5割に留まる。日本航空は業績予想を下方修正、最終赤字1770億円となる見通しなれども、数年に渡って停止されていた布哇への旅行企画の販売を今月に観光各社が再開等と、世間からは景気の良い話も悪い話も聞こえて来る。布哇は行きたくて堪らぬ地の一つでは在るが、世間一般よりも厳しい感染対策を求められる職業柄、再訪が叶うのは何時の日になるやら不明。
4月17日(金曜)
本日は全国で3万9291人の新規感染と26人の死亡。東京都で5220人、神奈川県で3234人。大阪府で2707人、埼玉県で2568人、北海道で2113人。千葉県で1911人、福岡県で1996人、愛知県で1854人、兵庫県で1598人、沖縄県で1315人、広島県で1085人の新規感染が報告された由。
中国の上海/Shanghaiでは今週も連日、感染者数が過去最多を更新。14日は前日より減少するも、2万3072人と過去最悪の水準が続いた。市内各地に隔離施設の確保を急ぐ上海市当局が「集合住宅の一部を隔離施設にする為に住民に退去を求めた」事に住民が反発。「警察と書かれた防護服を着た人々」が「叫びながら抗議する住民と揉み合いになる」14日の光景を撮影したとされる動画がSNS上で拡散するに至った。内陸部に位置する陝西/Shǎnxī 省、其の中心都たる西安/Xi'anでも「今月2日から15日までに43人の感染者が確認された」事から、地元当局は昨日から今月19日迄の四日間、約1300万人の全市民に外出を制限する措置を始めた由。
露西亜軍に包囲されている烏克蘭南東部の港湾都市、Mariupolで、今週11日に「露軍の操るdroneから烏軍及び市民へ何らかの有毒物質が投下され、市民達が呼吸不全に陥った」と烏国側から発表有り。露軍が化学兵器を使用した可能性が高く、同地の市長はAP通信の取材に応じて「街路には遺体が絨毯のように敷き詰められている」と訴え、全体の死者数は2万人を超える恐れが有る模様。露軍は2014年に併合した烏克蘭南部のCrimea半島と、東部Donbas地方のDonetsk州、Lugansk州と云う親露派武装勢力支配地域とを連結させる事を目指しているものと見られ、烏国大統領のVolodymyr Zelensky氏はドンバス地方で露軍がマリウポリよりも「更に大規模な作戦」を計画していると発言。
露西亜大統領のVladimir Putin氏は、12日にAmur 州の Vostochny宇宙基地を視察した際、「欧米によってウクライナが反ロシアの前線基地に変えられていた」と語り、其の後の記者会見でも「ウクライナで起きている事は疑いなく悲劇」だが「他に選択肢がなかった」と抗弁。ウクライナの首都近郊Buchaでの住民殺害に関する他国の報道は「虚偽だ」と断言し、自らの関与を否定。しかし、米国大統領のJoe Biden氏がBuchaに於ける露軍の行為を大量虐殺と非難し、13日に露西亜のDmitry Peskov大統領報道官が「容認出来ない」と反論するも、同日に加奈陀首相のJustin Trudeau氏も「露西亜が行っている事、ウラジーミル・プーチンが行った事に就いて、より多くの人が話題にし、genocideと云う言葉を使う事は、絶対に正しい」と断言。
しかし同じく13日、仏蘭西大統領のEmmanuel Macron氏と独逸首相のOlaf Scholz)氏はgenocideの表現を回避。マクロン氏は国営放送、France 2の取材に対して「露西亜は一方的に残忍な戦争を仕掛け、今やロシア軍が戦争犯罪を行ったと認知されている」「今起きている事は狂気の沙汰で在り、信じ難い程に残忍だ」と認める一方、「私は事実を見つめ、此の戦争を止め、平和を取り戻す為に出来る限りの努力を続けたい」「非難の言葉を強める事は其の助けにならないのではないか」と述べた。更にマクロン氏は「烏克蘭と露西亜人は兄弟の様なもの」と述べたが、此の発言をZelensky氏が非難。独逸では「Frank-Walter Steinmeier大統領がウクライナ訪問を希望するも受け入れられなかった」との事件も起こり、ショルツ首相は「丁寧に言っても、此の件は稍腹立たしい」と怒りを見せたが、独の日刊紙Bild-Zeitungは「シュタインマイヤー氏が露西亜と緊密な関係に在り、露西亜産天然気体燃料を独逸へと運ぶ輸送管、Nord Stream 2を長年支援して来た」事が訪問拒否の理由だと報じた。
更に14日、ゼレンスキー大統領はBritish Broadcasting Corporation、略称BBCの取材に応えて、欧州連合(European Union; EU)が対露制裁として検討している露産原油の禁輸措置に就いて「独逸と洪牙利に阻止されている」と名指しで批判。そして昨日、露国防省は「マリウポリの市街地からウクライナ軍を完全に排除した」と発表。製鉄所の地下に残る烏国兵に対して「日本時間の17日正午から午後7時までの間に投降すれば命は保証する」と通達すると同時に、露軍は東部等でも攻勢を強めている模様。烏国の戦火は止まず。