令和4年4月第2週
4月4日(月曜)
本日は全国で3万157人の感染。大阪府で7人、東京都で7人、兵庫県で5人、千葉県で4人、愛知県で4人、秋田県で2人、群馬県で2人、宮城県で1人、富山県で1人、山口県で1人、岩手県で1人、広島県で1人、愛媛県で1人、栃木県で1人、熊本県で1人、神奈川県で1人、福井県で1人、福岡県で1人、静岡県で1人、鳥取県で1人、鹿児島県で1人の合わせて45人の死亡の発表。人工呼吸器や集中治療室等の治療を受ける重症COVID患者で505人で、先月31日に行われたPCR等の自主検査を除いた速報値で6万7724件との事。
東京都内では新たに4384人の感染が確認されるも、先週月曜日より160人減。本日迄の7日間平均は7607.4人で前週の115.9%となり、7日連続の100%超となった。確認された4384人を年代別に見ると20代が最も多く、全体の20.9%にあたる916人。65歳以上の高齢者は199人で、全体の4.5%。感染経路が判明している者は1518人で、「家庭内」は1041人で最多。「会食」で感染した38人のうち20代が19人と最多。都の旧基準で集計した人工呼吸器や人工心肺装置を使っている重症の患者は、昨日より2人減って29人。大阪府では1241人の新規感染が報告され、前週同曜に比して100人程度の増加。重症者は昨日より2人減って67人。
本日に政府が公表した最新状況に拠ると、国内でCOVID用ワクチンの3回目接種を受けた者は5381万2255人で全人口の42.5%。またワクチンを1回接種した者は合わせて1億262万1870人で全人口の81%、2回目の接種を終えた者は1億73万9899人で全人口の79.5%。このうち5歳から11歳の小児を対象にした接種で1回目を受けた者は53万3629人、2回目完了者は7万640人。
北海道では1回目を終えた者が426万6925人で81.64%、2回目完了は418万5198人の80.07%で、3回目は219万2630人の41.95%。秋田県は1回目が83万7076人、86.18%と国内最高で、2回目は82万1855人、84.61%。3回目は39万7003人、40.87%。東北から関東甲信越、北陸は80%超の県が多く、其の中では稍低いものの、東京も1回目を終えた者が1118万7962人、80.82%。2回目完了は1098万8518人、79.38%、3回目完了は604万61人、43.63%と比較的高い。しかし、西へ移動すると愛知県では1回目を終えた人が596万469人、即ち78.85%と下がる。2回目完了は582万5784人の77.07%で、3回完了は312万2160人の41.3%。京都府では1回目を終えた者が201万3479人、即ち79.57%。大阪府では1回目を終えた者が685万8965人で77.59%等と80%に届かない府県の方が多くなり、最も低い沖縄県は1回目を終えた者が104万8969人で70.63%、2回目完了は102万5627人で69.06%、3回目は47万1630人で31.76%と低い。
若者を中心に新規感染者が増加傾向に在る事態を踏まえて、政府は「3回目のワクチン接種の呼び掛けを強化」「飲食店での感染を防ぐ為に気をつけるべき事を周知する」等と若者向けの対応策を検討。感染者が増加する事も想定して、医療提供体制の確保も進めていく方針との事。NTT DATA社が纏めたTwitter情報を基に、東京大学生産技術研究所教授の豊田正史氏を含む研究者達が「ワクチンについて一定回数以上投稿している者」の「ワクチンへの態度の変化」を、人工知能(Artificial Intelligence; AI)を用いて判定。去年6月から10月迄の期間中に「ワクチンを接種するか悩む」等と態度が明確ではない状態から、肯定的なものへと投稿内容が変化したとAIに判定された者は1万6044人。彼等が肯定的投稿を始める前後10日間のretweet対象を調べると、新聞社やテレビ局、公的機関等に並んで「上位20位迄の半数」を「医師個人からの情報発信」が占めた由。豊田教授曰く「去年、ワクチンの接種が進んだ背景には、多くの医師に依る草の根的で地道な情報発信が重要だった可能性が有る」との事。
COVID後遺症を訴えて後遺症専用の窓口に相談し、昨年5月から1月に掛けて医療機関を受診した者等230人の症状を、東京都が分析。複数回答可で後遺症の症状を尋ねた所、最も多かったのが倦怠感で93人、次いで息切れが44人、頭痛が38人、嗅覚障害が37人等となり、65%が二つ以上の症状を訴えた。後遺症が発症した時期は「全体の54%がCOVID発症から2週間未満」「46%が2週間以上」で、半数近くがCOVIDから回復した後に後遺症の症状が出た模様。症状の持続期間に関し、確認可能な125人を分析した所、「3ヶ月以上、6ヶ月未満が25人、6か月以上1年未満が6人、1年以上が1人と、後遺症が長く続く人も目立つ結果が得られた。都は「後遺症はコロナ感染時よりも症状が重くなる事も有る」、「後遺症が疑われる場合は無理な活動は避け、かかりつけの医療機関や都立病院、公社病院に設けたコロナ後遺症の専用相談窓口に相談して欲しい」と呼びかけている由。
日本対がん協会は、国が推奨する胃癌、肺癌、大腸癌、乳癌、子宮頸癌の検診を受けた人の数を全国各地の支部で調べた結果を発表。昨年1年間に癌検診を受けた者は五つの癌種を合わせて537万6500人程度で、一昨年より102万人以上の回復を示すも、略600万人だった2019年に比べると未だ62万人近く少なかった由。2019年と比べて減った割合は胃癌が13.2%、肺癌が11.0%、乳癌が9.9%、大腸癌が9.0%、子宮頸癌が8.0%。受信が途絶えた後、進行した状態で癌が発見される事例の増加が懸念される等とコロナ禍の健康に対する影響は多岐に及び、協会からは「検診機関は感染対策を確り行っている」「今年度は是非、受診して貰いたい」との声明有り。
4月5日(火曜)
本日は全国で4万5684人の新たな感染者と64人の死者が発生。東京都では6968人の新規感染者が確認され、先週火曜より900人近く減るも、7日間平均7482.0人で前週比104.2%。8日連続の百%超となった。大阪府では4347人の新規感染が確認されたが、前週同曜と著変無し。
2月に北京五輪が閉幕した後、中国ではオミクロン株の感染が各地で拡大。先月の市中感染者数累計は10万3965人に上り、先週3日には中国全土で新規感染1万3137人との報告有り。特に同国最大の経済都市たる上海では、4日の一斉PCR検査で無症状者を中心に1万3354人の感染者が確認された。「市当局が隔離施設を相次いで設置」、医療体制の逼迫に対して「全国15の省から医療関係者3万8000人余を上海に派遣」等が実行されるも感染拡大に歯止めが掛からず、先月28日から今週5日までとされていた外出制限を更に継続する事も決定。上海でおよそ150店舗を運営するセブン‐イレブンを筆頭にユニクロ、無印良品、ローソン、ファミリーマート、サイゼリヤの休業。電機業界ではソニーグループが上海に在る工場の操業停止を余儀無くされる等、上海に進出する日本企業にも影響が広がっている模様。
4月6日(水曜)
本日は全国で5万4884人の感染、66人の死亡。東京都は8652人、大阪府は4896人の新規感染が確認された由。今月から新たにワクチン接種を担当することになった官房長官の松野博一氏は、本日午後に全国町村会の会長を務める熊本県嘉島町の荒木泰臣町長と回線接続形式で会談。「新年度を迎え、進学や就職により県境を越えた人の動きが活発になっている時期」に「コロナ感染の反跳が懸念されている」が、「3回目のワクチン接種は発症や重症化の予防の要」にして「最優先課題の一つ」。「各自治体でも特に若年層の人が接種しやすい環境の整備や情報提供に協力を頂きたい」と協力を求めた長官に対し、荒木町長は「感染拡大防止対策の徹底と社会経済活動の両立を図って行かなければならない」。「3回目接種の促進も急務で、国と心を一つにして全力で取り組んでいる」一方、「現場には課題も有る」ので「要望等もして行きたい」と応じた由。
本日に厚生労働省の諮問委員会で発表された所に拠ると、昨日迄の1週間に於ける新規感染者数は全国では前週と比べて1.08倍。先週に続いて増加し、前週より増加した地域は34の都道府県に上った。現在の感染状況を「人口10万人当たりの直近1週間の感染者数」で見た場合は、沖縄県が全国で最も多く495.54人。次いで東京都が372.83人、埼玉県が335.52人、茨城県が303.77人、福岡県が302.05人。全国は258.56人となり、やはり前週より増加している模様。
諮問委員会は「全国では感染者数が増加傾向」、「横這いの地域も有る」が「秋田県や新潟県、鹿児島県等は新規感染者数の1週間平均が既に第六波の頂点を上回る」等と「地域に依って感染状況に差が出ている」と指摘。感染者数は「全年代で増加に転じた」が、特に「10代から20代での増加が顕著」。「感染場所が飲食店」の割合は全年代では約2%だが、20代では約7%と増加傾向に在り、過去の感染拡大に於いて「若年層から高齢者へと感染が波及する」傾向が見られた等を指摘。昨今の感染者数増加には「接触機会の増加とBA.2への置換」の影響が考えられるとし、「花見や歓迎会の時期に夜間の繁華街の人出が増える」「新学期が始まり学校での小児同士の接触機会が増える」等の要因にも注意を要すると警告。現時点で「昨夏第五波の頂点より新規感染者が多い」状況が続いているが、反跳でアsらに増加する可能性も懸念されるとして「ワクチンの追加接種を更に進める」、「外出時に密を避け、換気が悪い場所を避ける」「不織布マスクの正しい着用と消毒や換気を行う」等、基本的対策の徹底を改めて呼び掛けた由。
同じ専門家会合で、国際医療福祉大学教授の和田耕治氏を含む専門家17人が連名で纏めた見解も報告。昨夏に起きた感染第五波が「過去の流行に比して急激に収束した」原因を調べた結果、「ワクチン接種の推進に因る免疫の獲得」、「市民の間で病床逼迫への懸念が強まって催事や会食等への参加が減り、対人接触機会が減少」等が想定されるも「要因は単一では無く複合的」。其々の要因がどの程度、収束に影響したかを数値で示すのは難しいが「引き続き様々な専門分野の観点から分析を行い、今後の対策に役立てる」との事。
会合後の記者会見で、諮問委員会座長の脇田隆字氏は「所謂、第6波では感染の頂点が高くなかった地域、特に人口規模が小さい所で感染者数の増加が見られる」。「第6波で感染が小さかった所では免疫の獲得が少ない」事から「斯う云った差が生まれているのではないか、と云う議論が有った」等と語ると同時に、オミクロン株のBA.1とBA.2の間で生じた組換に依って氏発生したと言われる「新たな変異株、XE系統が海外で報告された」件に関しても言及。「此の系統は英国で多く確認」され、「増殖力がBA.2に比べて10%程度高いという評価が出ている」。従って「今後、感染が拡大する可能性も有る」。「重症度との関連に就いては未だ良く分かっていない」が、現時点で「国内では見つかって居らず、英国でも広がっている状況では無い」「今後の状況を確りと見て行くと共に検疫でのゲノム解析を引き続き続けて行く事が必要だ」と述べた由。
日本医師会の中川会長も「リバウンドの兆しは十分に有る」。「様々な行事が予定されている」新年度に於いても「第七波を招かない為には緊張感を持って感染対策を続ける事が大切だ」等と語ったそうだが、未だ第六波が収束して居ない以上、第七波への心配は早かろう。
4月7日(木曜)
本日に総理大臣の岸田文雄氏が政府分科会の会長、尾身茂氏や厚生労働省諮問委員会の脇田座長等の専門家と面会。感染者数が増加している若い世代にワクチン接種を促す方策について意見を求めたのに対し、尾身会長は「ワクチンによる重症化予防効果は間違い無く有る」「感染の予防効果も一定程度有る事が分かっている」と説明。「感染すれば後遺症が出る場合も有るので、自分の健康を守る為に接種する様、声明を出して貰いたい」「社会の為に打つ訳では無いが、結果として家族や友人への感染防止にも繋がる」との助言を与えた由。
更に山際担当大臣等の関係閣僚と今後の対応を協議した後、岸田総理大臣は記者団に「足元で新規感染者数は全国的に下げ止まっていて、若い世代を中心に増加傾向」。「再拡大の兆候が見られる地域も有り、BA.2への置き換わりにも注意が必要だ」。「第六波への対応として準備した医療体制を堅持しながら、オミクロン株の特徴に合わせて強化して行く」と語り、若年層に早期接種を呼び掛けると共に、接種促進に向けて「自治体や大学等が連携して行う大規模会場での接種に対し、必要な費用を国が支援する」意向を表明。今月からワクチン接種を担当している松野官房長官に対し、「若者への接種促進に重点を置いて広報を強化する」様に指示したと説明した事も語られた。
続いて「旅行支援のブロック割は3回目のワクチン接種か検査が利用条件」となっているが、今後は「都道府県の判断」で、例えば「5人以上の会合でスマートフォンの接種証明を活用する」事等も考えられる。各都道府県に対しては「今月時点での医療体制を点検して報告する」事を求め、報告が纏まり次第、公表する。「高齢者施設で感染した軽症患者を施設内で療養した場合に支給する最大30万円の補助金」の対象を「緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の適用地域から全国に拡大する」と共に「今年7月末迄、延長する」。抗原定性検査キットに就いては、国が必要な買い上げ保証を行い、今後6か月間で「3億5000万回分を確保」した等と説明。「本格的な感染再拡大を阻止しながら社会経済活動を取り戻して行く」為に、改めて「マスクの着用、手指消毒、換気、三密の回避と云った基本的な感染対策の徹底をお願いする」と述べ、国民に協力を求めた由。
本日に東京都内の感染状況等を分析するモニタリング会議。昨日時点で新規陽性者の7日間平均が7248人と、前週から高水準の儘で推移。先月28日迄の一週間に於ける都のスクリーニング検査でBA.2疑いの割合が67.8%となり、其の前週が52.3%、二週前は39.6%だった事を鑑みると、2週間で30ポイント近く上昇した。斯様な情勢を踏まえて、会議場に居並ぶ専門家達は「感染の再拡大の危険性が高い」「流行の主体が置き換わりつつ在り、急速な感染の再拡大に厳重な警戒が必要だ」と指摘すると共に、都内感染状況の警戒水準に関しては最重症の評価を維持。医療提供体制に関しては「救急医療体制に深刻な影響が残る中、入院患者は減少傾向から横這い」「60代以上が凡そ70%と依然として高齢者の割合が高い」「通常の医療が制限されている状況」等と評価され、警戒水準は4段階のうち上から2番目で維持。
モニタリング会議に於いて東京 i CDC専門家ボードの座長を務める、東北医科薬科大学特任教授の賀来満夫氏は「BA.2は感染力の高さに加えて、最初に感染した人が次の人に感染させる迄の期間が短いと言われて居り、より短い時間で多くの人に感染を広げる可能性が有る」と指摘。BA.2系統感染が疑われる者の割合が上昇している現状も踏まえて「今後、感染が急拡大するか如何か、重要な局面を迎えている」「新生活が始まり、人の移動や人と人との接触機会が増える季節になるが、感染をこれ以上広げない為にも改めてワクチン接種とともに基本的な感染対策の徹底が大変重要になる」と述べた由。
今週5日の時点で都内の3回目接種率は、全国平均より0.9ポイント高い44.4%。年代別で見ると、65歳以上の高齢者は82.2%と8割を超える一方、12歳から19歳は6.8%、20代は25.6%、30代は30.2%と若年層では低値。全国と同様の課題に対し、都は都庁展望室等の大規模接種会場の一部で「企業や大学等を対象にした団体接種」を開始。10人以上ならば「会社の部署」「大学のサークルやゼミ」等の小集団から受ける事も可能となり、従前は高齢者施設等を中心に対応していた接種専用車両、所謂「ワクチン乗合自動車」を「大学の合宿所や学生寮等にも派遣」する等で対応して行く模様。
本日10時頃、COVID用ワクチンの接種に反対する内容のビラを所持する集団が東京都渋谷区の診療所に侵入。行われていた接種を妨害し、大声で騒いだ事から、警視庁が建造物侵入容疑で4人を現行犯逮捕。診療所の周辺に数十人が集まって警察官と怒鳴り合い、警察官に引き摺り出される女性も居た等と現場は一時、騒然となり、1時間程に渡って接種が中断した模様。容疑者達は駆調べに対して容疑を認め、「ワクチンの接種を止める為に遣った」という趣旨の供述をして居り、反ワクチンを標榜する団体「神真都Q」の構成員と見られる由。
拙作でも既報の通り、同団体は公式サイトで「コロナウイルス自体、存在しない」、「ワクチンには身体に悪影響を及ぼす病原体が入っている」「ワクチン接種は人口削減計画の一環」等の荒唐無稽な主張を展開しつつ、今年1月には東京、神奈川、札幌、福岡等の全国各地で同時多発的に反ワクチンの街頭活動を行っている。NHKの取材に応じた診療所の院長は「六七人の男女が突然、診療所に侵入して来た」「ビラの様な物を配りながら大声で『子供にワクチンを打つのは反対だ』「直ぐに止めろ』等と主張していた」「診察中で対応出来ないと伝えたが、診察室の中に迄、入って来たので警察に通報した」「突然の事で驚いたし、子供達もとても動揺していた」と訴えたとの事。狂信者の妄動に対し、当局には断固たる処置を望みたい。
4月8日(金曜)
各都道府県の医療逼迫に関する指標として「医療提供体制等の負荷」5項目と「感染の状況」5項目の情報を内閣官房が発表。今月3日、5日、7日の何れも政府の分科会が示す「対策を強化すべき水準」を上回る自治体は無かった由。しかし、新規感染者数を1週間平均で比較すると全国では先週に続いて緩やかな増加傾向で、32道府県で前週より増加。首都圏等では横這いとなる一方、九州等は増加の幅が比較的大きく、感染状況に地域差有り。
東京医科大学の特任教授、濱田篤郎氏曰く「感染の再拡大が顕著な自治体と然うで無い所で濃淡が見えて来ている」。追加接種率等に自治体毎の差は少ない筈だが、「既に感染した人が多く、自然に免疫が付いて感染の拡大が抑えられている」大都市圏よりも「此れ迄、比較的、感染が少なかった」地域で「改めて広がって来ている可能性が有る」。世界的な動向を鑑みると、今後に「オミクロン株は、感染力がより強いとされるBA.2系統のウイルスに置き換わって行く」可能性大。新たな脅威とされるXE系統に関しては「検出数が少なく、まだはっきり特徴が分かって居ない」が「感染力はBA.2よりは稍強いだろう」。「基本的には此れ迄の対策で十分防げる」筈だが「新たな変異ウイルスを国内で検出出来る体制は早急に整えて置く必要が有る」との事。
本日は全国で51953人の感染、69人の死亡。人工呼吸器や集中治療室等の治療を受ける重症患者は484人で、一昨日に行われたPCR等の検査は自主検査を除く速報値で7万3198件。東京都の新規感染8112人は先週金曜より130人多く、直近の 7日間平均は7451.9人で前の週の97.7%。品川区の昭和大学病院では、全てのCOVID入院患者に対してBA.2感染か否かを解析。同院検査で陽性となった164件のウイルスを分析した所、先月2日から5日に掛けてBA.2の比率は1割以下だったが、先月13日からの1週間では約5割、先月27日からの1週間では8割に増加と、3週間余で一気に置換が進んだ模様。大阪府の新規感染は3908人で、前週同曜日に比して200人余の増加。
本日に政府の新型コロナ対策分科会の会合。記者会見で尾身茂会長は「今後、急激な感染拡大が起きた場合に社会・経済活動を再び制限すべきか否か」の課題に関して、本日の会合でも一部委員から「重症化の予防に重点を置いて感染の拡大を或る程度は許容すべき」との意見が出た一方で「急速な拡大が起きた場合は高齢者等、亡くなる人も増える為、対策が求められる」との意見も有り、「市民の議論を反映して分科会の中でも意見が大きく分かれている」と説明。「斯うした中で無理矢理、同意を得ると云うのは不健全」で「具体的な対策は如何なるのか」「どんな事態が起き得るのか」を整理して「なるべく早く提言として纏めたい」。「其れを踏まえて最終的には国が方向性を決める」と語る一方、「感染が再び急拡大した場合に蔓延防止等重点措置等を出すべきか如何か」に関しては「絶対に遣らないとは言えない」とも述べた由。
更に分科会は本日、緊急声明を発表。海外で「経済活動が再開」、「マスク着用等が緩和」される中で「感染再拡大や入院患増加」が見られ、日本国内でも「蔓延防止等重点措置の解除後に夜間の人出が増加」「感染再拡大の兆候が見られる地域も有る」と指摘。「今後は高齢者に感染が広がり、重症化や死亡に至る懸念が有る」として急激な感染拡大を防ぎ、社会経済活動を続ける為の感染対策を改めて呼び掛けた。具体的には「ワクチン接種は高齢者だけでなく、若い世代でも種類に関わらず時期が来れば早めに行う」。「子供や高齢者との接触が多い物は特に接種が推奨され、疑わしい症状が出たときには早めに検査して自宅待機に入る」。「マスク着用や換気、密を避ける等の基本的な対策を徹底」しつつ「年齢に関わらず少しでも具合が悪ければ検査を受ける」等を呼び掛けた。医療機関や自治体に対しては「高齢者施設で感染の疑われる者が出た場合、早期に医療が介入する」「施設で普段から感染対策を行う為に手厚い支援をする」等が求められた由。
今夜に回線接続で、“The Gavi COVAX Advance Market Commitment Summit 2022”開催。途上国でのワクチンの普及に取り組む国際団体GAVI(旧称Global Alliance for Vaccines and Immunization)や主要7ヶ国(Group of Seven; G7)議長国の独逸等の共催で、米国のAntony Blinken国務長官や加奈陀首相のJustin Trudeau氏を含む24の国と地域の首脳級や閣僚級、国連事務総長のAntónio Guterres氏、WHO事務局長のTedros Adhanom Ghebreyesus氏を含む国際機関の代表、Bill & Melinda Gates 財団等の民間団体代表等と並んで、我が国からは岸田総理大臣が参加。
岸田総理は「新型コロナウイルスの危機に直面してから2年有余」となる間に「我々」は「ワクチンと云う強力な手段を手にし」たが「今尚、世界にはワクチン格差が残されて」居り、「此の感染症を真に克服する」為にも「世界の諸有国や地域で、ワクチンへの公平な利用を確保」して「誰の健康も取り残さない事が鍵となります」。「今こそ我々の結束を行動で示し、危機を乗り越える為の更なる一歩を踏み出さなければなりません」と語り、日本が既に行った「COVAXへの合計10億弗の財政支援」「4300万回分以上のワクチン供与」、先般に表明した「感染症流行対策革新連合(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations; CEPI)に対する3億弗の新規拠出」に加えて、COVAXに対して新たに「最大5億弗の拠出を行う」旨を宣言。「今後とも、我が国は関係国や機関と緊密に連携」して「゛Universal health coverage“の達成」や「新型コロナの克服に向けた国際的な取組を牽引して行く決意」と語り、演説を終えた由。
日本電気株式会社(NEC Corporation)が本日に回線接続で会見。「SARS-CoV2や其の変異株を含む100種類以上のCoronavirusに対応する次世代のワクチン」開発に乗り出す旨を宣言した由。コロナウイルスの遺伝子情報に対して人口知能等の技術を駆使して「ウイルスの変異に強く、免疫が長期間持続するワクチン」を作り出す事を目標とし、感染症流行対策革新連合(CEPI)から約6億円の資金援助を受ける事も決定済。今後2年間、諾威のOslo大学病院等と連携してワクチンの設計や有効性の確認を進め、将来的には製薬メーカーとワクチンの製品化を目指す模様。NECの遠藤信博会長は「最先端のAIを活用する事で、既存の方法では却々(なかなか)実現出来ない次の世界的大流行に対応するワクチンを開発したい」と述べたとの事。
似た様な発想は世界中で提出されている筈で、畑違いのワクチン開発は不織布マスク生産の様に容易くは行かぬものと思われる。しかし、「人智に伴う盲点を回避出来る」点も含めて人工知能の可能性には端倪すべからざる所が有り、或いは比較的短期間に目覚ましい成果を上げるかも知れぬ。「COVAXが有効に機能し、途上国にワクチンが分配されるか否か」も含め、ワクチン関連の世界的状況に於いて新局面が切り開かれぬ限り、今回の世界的大流行が真に終結する日は遠いのでは無かろうか。
4月9日(土曜)
本日は全国で5万2741人の感染。大阪府で15人、東京都で6人、神奈川県で4人、京都府で3人、群馬県で3人、佐賀県で2人、千葉県で2人、埼玉県で2人、愛知県で2人、滋賀県で2人、茨城県で2人、兵庫県で1人、北海道で1人、大分県で1人、愛媛県で1人、栃木県で1人、香川県で1人と総計49人の死亡に関する発表有り。国内で感染が確認された者は空港検疫等を含めて700万1018人、客船の乗客や乗員が712人で総計700万1730人となり、遂に七百万を超えた。死者累計は国内で感染が確認された者が2万8653人、客船の乗船者が13人で合計2万8666人。人工呼吸器や集中治療室等を用いた治療を受ける重症COVID患者489人で、一昨日に行われたPCR等の検査は自主検査を除く速報値で8万7615件。
東京都は新規感染8102人を確認したと発表。先週土曜より707人増え、本日迄の7日間平均7552.9人は前週の99.1%。8102人のうち最多の年代別は20代で、全体の20.9%に相当する1691人だが、65歳以上の高齢者は442人で全体の5.5%。都の旧基準で集計した人工呼吸器や人工心肺装置を要する重症患者は、昨日より1人減って29人。大阪では新たに4200人の感染が確認され、前週同曜に比して530人余の増加。重症者は2人減って52人。
日本プロ野球の東北楽天Golden Eaglesでは先月27日以降、選手8人と一軍投手指導者1人の総計9人の感染が発表され、今月2日と3日の試合が中止。更に今週5日に弓削隼人投手の感染が公表。以降も今週6日から8日に横浜DeNA BayStarsから15人、7日から9日にORIX Buffaloesから6人と他のチームにも感染者が続出。昨年度中の予定が若干延期となったものの、東京Disney ResortではToy Story Hotelが開業。人気映画を基に315億円を投じて建築され、国内5番目となるDisney Hotelの営業開始を祝って、今週5日に記念式典が開かれた由。東京の夏の風物詩として知られる隅田川花火大会は、「十分な感染対策が難しい」との理由で3年連続の中止が決定。
流通業界の雄、AEON株式会社が昨日に発表した今年2月迄の一年間に於ける決算は営業収益8兆7159億円で過去最高。最終的な利益は65億円で700億円余の赤字だった前年から一転、二年振りの黒字を確保するも、最終的な黒字額は感染拡大前の水準200億円から300億円には届かず、社長の吉田昭夫氏は「感染が収束しなかった事で外出を控える動きが続き、苦戦した1年だった」と語った由。社会経済活動は一進一退、何方かと云うと未だ停滞が目立つ情勢か。
感染第六波に於いては、オミクロン株が猛威を振るった今年1月以降に「老人を中心とした社会福祉施設の入居者が感染しても入院出来ず、施設で療養せざるを得ない」事例が急増。厚生労働省の報告に拠ると、2月下旬には当該事例が6110人に上ったが、多くは高齢者施設の利用者で、施設療養中に症状が悪化する者が相次ぎ、死亡者も発生。此の人数は昨年の第五波に於ける最多期の30倍以上で、「感染の急拡大」と「時間経過でワクチン接種の効果が低下」との要因が重なり「病床が一層逼迫したのではないか」と分析した厚生労働省は、従前の「感染した高齢者は原則入院」との方針を見直し、「高齢者施設に医師を派遣して治療等を行える体制」を目指す様、今週に全国の自治体へ通知。今月22日迄に体制確保の進展に関して報告を求める等と感染再拡大に備えて医療体制の整備を急いでいる由。
施設への医療者派遣に先鞭を着けた医療機関として「東京都東村山市の総合病院、多摩北部医療センターがCOVID専門の医療チームを今年1月以降、6か所の高齢者施設に派遣」。地域との連携として、同じく東京の品川区で「地元の医師会が中心になり、重症度の診断基準や投与薬の種類を纏めた診療の指針を作成」、「施設への往診に指針が活用される」等の実例も示されている模様。大半の施設は介護以外に取り組む余力が無く、病床が逼迫した総合病院側には外回りをさせられる人員が居らず、医師会は時に抵抗勢力とも為り得る実情から想定すると、机上の空論かとも思える。しかし、病床が逼迫すれば背に腹は代えられず、苦肉の策でも用いるべきなのかも知れぬ。
国立国際医療研究センターでは全国700余の医療機関と共同で、COVID入院患者の情報を分析する研究を進め、現時点で6万3000人以上の資料が登録された。此の情報を基に「症状の推移や治療の状況等の情報を簡明に纏めた」websiteを同センター等が公開された由。国内で初めてSARS-CoV2感染者が確認された一昨年1月から現在迄に「重症患者数がどう推移したか」。「主な症状、其れに対して如何なる治療が行われたか」等の情報が図式で提示され、期間や都道府県等の選択表示も可能。情報は随時更新予定との事。我が国の叡智を結集させて第六波を終わらせ、第七波を最小限に防ぐべく、微力ながら当方も働く所存。
4月10日(日曜)
日本政府が「観光目的を除く外国人の新規入国」を再開して、先月1日には一日当たりの入国者数の上限を5000人、14日には7000人に緩和。「検疫体制等が拡充され、更に入国者を受け入れる準備が整った」として、更に本日から入国者数上限を一日当たり1万人に引き上げる由。今後も段階的に上限を引き上げて「外国人留学生や技能実習生、商取引客の往来を増やす」一方、「孰れは観光客の新規入国も再開し、社会経済活動の回復に繋げたい」との政府意向なれども、国内の新規感染者数は再び増加傾向の現状。国内外の感染状況を見極めつつ、入国者数上限を引き上げる時期や規模を慎重に判断して行く事になる模様。
国立感染症研究所が「国内の検査会社2社を対象にした抽出調査」の結果から「全国のオミクロン株全体に占めるBA.2系統の割合」を分析。今月6日に開かれた厚生労働省の専門家会合で、同所の感染症疫学センター長、鈴木基氏が報告した研究結果に拠ると「来月の第1週には93%がBA.2に置換」、更に「6月第1週には100%が置換される」と推定された由。鈴木センター長は「次の第7波はBA.2が主流になる見込み」「オミクロン株は重症化率が低下しているとはいえ、高齢者では3回目の接種を更に進める事や4回目の方針に就いても決めて置く事が必要だ」と述べた由。世界的にはXE系統の危険性が取沙汰され始めた昨今、氏の予想通りに事が運ぶか如何かは少々疑問だが、接種に関する検討や決定の重要性に就いては異論無し。
今月2日の時点で烏克蘭軍が首都を含むKiev州全域を奪還するも、露西亜軍は撤退時に多数の地雷を設置し、住民の帰還を妨害。更にキーウ北西に位置するBuchaで「住民は恣意的な処刑に遭い、後手に縛られた儘で殺された者達も居た」「遺体は通りに散乱していた」と烏克蘭国防省が世界へ伝え、同市の市長は「280人を集団墓地に埋葬した」、烏国の検察当局は「Buchaを含むKiev近郊で410人の犠牲者が発見された」と語った。対して、露国の国防省は「烏国側が発表した写真や映像は新たな挑発行為に過ぎぬ」と主張。遺体の映像は烏国や欧米側が捏造したものだと反論するも、4月2日の時点でAFP通信の撮影技師がBucha市街地に入り、民間人と思われる約20人の遺体を確認。更に米国の宇宙企業Maxar Technologiesが「Buchaを撮影した高解像度の衛星写真」をNew York Times紙の調査班が検証した所、「露軍が街を支配していた3月9日から11日に、BuchaのYablonska通りに、少なくとも11人の遺体と見られる影が出現」していた由。
世界中から「残忍な戦争犯罪」と非難された後も、露国に「特別軍事作戦」を断念する気配は無く、烏国の東部や南部を標的に空爆を継続。「戦略を見直して、新たに東部の掌握を目標とする」「旧蘇緯埃が第二次世界大戦で勝利した戦勝記念日に合わせ、来月9日に勝利宣言を行う予定」との情報も有り、烏国民が血と涙を流す状況は続く模様。