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幻想郷の新たなる異変

ちょっとグロと言うか、非人道的かも?


ショッキングな話なんで不快を感じるかも知れませんので、ご容赦をばm(_ _)m

 それから数日後の幻想郷。


 その世界にある人間の里で謎の人物がお菓子が配っていた。


「おじさん、これな~に?」

「これはチョコレートと言うお菓子だよ」

「ちよこれいと?」

「チョコレートだよ。私はそのチョコレートの工場を持っていてね。

 まあ、まずは私のこの味を味わってくれたまえ」


 そう告げると赤いモジャモジャした髪に帽子を被った人物はチョコレートを子供達に手渡す。


 それを口にして子供達はその甘いチョコレートに魅了される。


「甘くて美味しい!おじさん、ありがとう!」

「礼には及ばないよ。

 チョコレートはまだまだあるから、良かったら大切な人にも上げなさい。きっと、みんな、喜んでくれるよ?」


 そう言うとチョコレート工場の主を名乗る人物は優しく微笑む。


 それが恐るべき殺戮の前触れとも知らずに。


 ーーー


 ーー


 ー


「へえ。幻想郷にあの話が入って来たのね?」


 現在の超能力少女であり、夢を通して幻想郷に入った宇佐見菫子うさみ すみれこはそう呟くとそのチョコレート工場の主を遠くから観察する。


「ん?」


 それを見て、菫子はふと、不審に思う。


「あの工場が幻想入りしたなら、話題になる筈だよね?

 なんで新聞記者が来ないのかしら?」


 疑問に思った菫子はチョコレートを配り終えたその人物が去った方角をこっそりと追う。


 人気のないところまで後を着けるとまるでその人物は神隠しにでもあったかの様に消えた。


「消えた?」


 菫子はその人物の消えた後に近寄り、空間に微かな歪みがある事に気付く。


「え?え?なにこれ?

 まさか、さっきの奴は自分から幻想郷に来たって事じゃん!?」


 菫子は嫌な予感を感じ、人里を上空から観察する。


「あいつ、絶対、変だよ!何かある筈だよね!」


 そう呟いた瞬間、人間の里で爆発が起こる。


 ーーー


 ーー


 ー


 竜人であるユイは魂魄妖夢こんぱく ようむと共に里を歩いていた。


「ああ。終わっちまったらしいな」

「そうですね。チョコレートを配る謎の人物も何処かへ行っちゃいましたし」

「ーーったく、天狗も知らせるのが遅いぜ。

 バレンタインでもあるまいし、美味いチョコレートを子供達に配るなんざ、どんな奴かと思ったんだがな」

「まあまあ、ユイさん。子供達が喜んでいるだけ良いじゃないですか」


 そんな話をしていると子供の一人が二人に駆け寄って来る。


「剣士のお姉さん!」

「え?私?」


 子供は妖夢に近付くと照れ臭そうに笑い、チョコレートを差し出す。


「これ、この間のお礼!」

「あ、チョコレート」

「おじさんが大好きな人に上げなさいって言ってたから……」


 それを聞いて、妖夢が困った様に笑い、ムスッとした顔のユイに視線を移す。


 何を隠そうユイと妖夢は恋人同士である。


 そんなユイの前で子供が妖夢に告白などしたら、ユイからすれば面白くもない。


「ユイさん」

「解っているよ。俺だってガキじゃないんだ。これ位で嫉妬するかよ」


 そうは言いながら、そっぽを向くユイに苦笑すると妖夢はチョコレートを差し出す子供に向き直る。


「ありがとうね。お姉さん、嬉しいよ」


 そう言って妖夢が子供の頭に手を乗せて撫でようとした。


 次の瞬間、子供が爆発し、妖夢の身体が宙を舞う。


「ーーえ?」


 返り血にまみれたユイはキョトンとした顔をするとドチャリと肉が潰れる音を立てながら血まみれの妖夢に振り返る。


「ああああああああぁぁぁーーっっ!!」


 しばし、呆けた後、何が起こったのか理解したユイは絶叫すると重傷の妖夢に駆け寄り、抱き抱えた。


「妖夢!しっかりしろ、妖夢!」

「…………う……っ……」

「待ってろ!今、治してーー」


 ーー刹那、再び爆発音が響く。


「きゃああああぁぁぁーーっっ!?」

「アリスウウウゥゥゥーーッッ!!」


 どうやら、次の犠牲者はアリスだったらしい。


 かくして、子供の姿をした爆弾が幻想郷を恐怖のどん底へと叩き落とす。


 ーーー


 ーー


 ー


「くっくっく。ロシアンチョコレートで今頃、幻想郷は恐怖のどん底でしょう」


 チョコレートを配った人物ーー境夜はそう言うと変装を解き、元の姿へと戻る。


「子供にチョコレートを配り、爆発させるとは何とも残酷な発想の話があったものだ」

「まあ、ロシアンチョコレートとは言っても貴方の能力で一定以上の力に反応すると爆発する仕掛けなんですけどね?」


 境夜は内なるキトラにそう呟くと残忍な笑みを浮かべながら、キトラの会社にある社長室の椅子の上で、ふんぞり返る。


「やがて、あのチョコレートを食べた親兄弟も爆弾と化す。

 人間がいつ爆発するか解らない以上、人々は互いに不信感を抱く筈です」

「そこを私の兵が攻める訳か……」


 その言葉に境夜は頷く。


 内なるキトラは境夜の顔で笑う。


「後は妖怪だけと言う事か。さて、どう攻める?」

「そうですねえーーっ!?」


 境夜がキトラに次の手を話そうとするとノイズがよぎる。


「……今のは?」


 境夜の中にいるからかキトラにも見えたのだろうか、境夜に問う。


「いえ、なんでもありません。

 少し記憶が混濁しているのでしょう。

 それよりも今ので思い出したのですが、彼の力を借りようと思います。

 いえ、正確には彼女でしょうか?」


 二人が話し合っているとキトラの秘書がやって来る。


「キトラ様」

「お前か。何用だ?」

「キトラ様にお会いしたいと申す者が来ております」

「私に?」

「正確にはキトラ様の依り代にされてます境夜様にです」

「俺にですか?名前は?」

紫乃宮杏雅しのみや きょうがと名乗っていました」


 その言葉を聞き、境夜が笑みを浮かべる。


「噂をすれば、何とやらですね」

「ほう。そいつが君の言う協力者かね?」

「目的が一致しているだけで協力者とは違いますね。

 何より、彼は性格に難があります。

 まあ、危険ではありますが、彼を通して下さい」

「ふむ。いいだろう」


 内なるキトラは境夜の言葉にそう答えると秘書へ視線を移す。


「お通ししろ。丁重にな」

「かしこまりました」


 キトラの言葉に秘書は一礼すると踵を返して出ていく。


 しばらくすると勾玉の首飾りを首に掛けた黒髪の男が入って来る。


「久しぶりだね、境夜」

「お久しぶり、と言うよりも此方では初めましてですかね?ーーようこそ、杏雅さん」

「地獄で派手に暴れたらしいじゃないか?

 今、幻想郷では大罪人達の霊魂が溢れ返り、生者に取り憑いて悪逆の限りを尽くしているそうだ。

 君のお蔭で俺の計画がパアだよ」

「いいえ。幻想郷には妖怪の有力者達がまだ残っています。

 それも兼ねて、貴方のーーいえ、貴方の娘に協力して貰いましょう」

「くっくっく。まだ何かあるのか?

 愛しい愛しい俺の醒邏を壊す位に?」

「ええ。きっと気に入って頂けると思いますよ」


 境夜は笑みを浮かべると杏雅も笑う。


「ところで貴方はどうやって此方に来たんですか?」

「勿論、無理矢理に決まってーー」

「なんだと!?」


 それを聞いて、境夜の中のキトラが叫びながら立ち上がった。


「だから、言ったでしょう?

 彼には性格に難があると?」

「成る程な。だが、そうなるとーー」

「申し上げます!何者かが侵入しました!」


 駆け寄って来た秘書の言葉を聞いて、境夜の中のキトラがうんざりする。


「やってくれたな、狂人め。貴様の失態は後で償って貰うぞ?」


 キトラはそう呟くと境夜の身体を竜人の細胞物質へと書き換え、来るべき侵入者へと備える。

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