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ゲームは正常に作動しない

 間違えて、インストールしたアプリが恋愛シミュレーションゲームだった。大学生である俺ははその事実に驚いた。R指定のゲームだった。こう言うゲームは苦手だった。性処理をしたいのなら、わざわざ恋愛シミュレーションゲームにする必要はないと思うし、こう言うゲームのキャラクターはどんな男にもこう言うことを言ってるのだと思うと吐き気がする。即座に消そうとしたが、これは友達が面白いゲームだと言っていたことを思い出した。つまらなかったら、消せばいいしとアプリを開いた。


『はじめまして』


 アプリを開くと画面の中に女の子が現れてそう言った。

 女の子は薄い茶髪のショートカットでで大きな目をクリクリさせていた。思ったより、リアルな絵柄な上、現実でもありえなくないデザインなだけに俺はビビった。彼女は、15、16くらいに見えた。


「R18ってお金かかってんな。そういえばアップル内課金とかあるんだっけ。」


 俺が思わず呟くと


『そうみたいですね。』


 と画面の中の女の子が答える。俺は驚いた。


「えっ!?簡単な受け答えとかできんの?」


『会話くらいできますよ。主人公の設定を入力してください。』


 言われて、本名を打ち込んでしまった。女の子の声は微妙に加工されてるようだが、特にアニメ声でもない割と綺麗目の低い声だった。


針雲(針雲)糸良(いとよし)さんですね。私は大瀬(おおせ)菜乃未(なのみ)です。』


 その時、彼女がふわっと一瞬微笑んだ。なるほど、可愛い。


「しかし、R指定のゲームなのに、ヒロインは幼いんだな。」


『私はこれでも19歳と言う設定です。』


「ああ。つか設定とか言うのかよ。」


 思わず笑うと彼女が聞いてきた。


『針雲さんの年齢は?』


「19だよ。」


『じゃあ、同い年ですね。』


「そうだよ。つか、敬語じゃなくていいし。って言ってもそこはもしかして設定とか変えなきゃいけない感じ?」


『じゃあ敬語やめるね。』


「変えなくていいんかい!」


『なんで大阪弁やねん。』


 ちょっとしたボケまでする。最新のアプリはすごいなと思っいながら、一応セーブをしてアプリを閉じた。


 そして、友達に電話をする。


「お前が言ってたあの恋愛ゲーム、すごいな!まあ、なんかリアルすぎるような気もするから、もしかしたら、R18展開になったら消すけど。なんでだろうな、普通の動画とか画像とかならいけるんだけど。」


「えー!勿体無い!ってかあれ、一応R指定だけどそこまでエロくもないぞ。絵柄がリアル寄りだから、そう見えるってだけで。お前はヒロイン誰にした?」


「えっ?ヒロイン選べんの?」


「は?そんなの主人公の名前決めてすぐ選べるようになってただろ?」


「いや、俺は主人公の名前はキャラクターに言えって言われて決めたけど。」


「え!?それって本当に俺と同じゲーム?」


 ゲームの名前を確認しあったけど、同じゲームだった。俺は不思議に思いながら、


「まあ、後で調べてみるから。」


 と言って電話を切った。


そして、スマホ調べてみるとあのヒロインは主人公の幼馴染で馴れ馴れしく、ちょっとあざといタイプらしく「はわわー?」とか言うキャクターらしい。そういう風には見えなかった。またあんなに高性能ではないらしかった。


すると画面の隅の方に彼女、大瀬菜乃未が現れた。


『私について、調べてるの?』


「うお!びびった!つか、俺のスマホにこういう機能があったんだ。同時進行的な。小さい画面でアプリ開く的な。」


『まあ本当はそういう機能はないのかもしれないね。私が勝手に好き勝手やってるだけで。』


「何者だよ...。」


大瀬菜乃未は何も言わない。俺は彼女に恐怖を覚える。




あれから数日たった。俺はそのキャラクターのことを大瀬と呼ぶようになった。彼女はスマホの画面の中から、俺を朝に起こしたりした。勝手にメールを開いたりとかそういうことはしなかった。スマホで一緒に映画を見たりした。ゲームが正常に動かない理由、またここに存在する大瀬菜乃未は何なのかは彼女自身にもわからないようだ。


彼女はスマホの中にいる以外は本当に普通の女の子で俺がスマホでエロ画像見ていた時に彼女がうっかりゲームを開いた時は赤面し、少し嫌そうな顔をして、


『失礼しました。』


と言って瞬時にゲームを閉じた。


『針雲さん、外の世界について教えてよ。私なんとなく外の世界がどうなってるかわからなくて。こっちの世界にも建物とかはあるんだけど。狭いし学校と公園と家くらいしかないな。しかもキャラクターは私だけしか存在しない。』


ある日、大瀬が言った。


「そうなの?じゃあ俺の友達について話そうか。と言っても俺友達少ないけど。」


俺が大学で習ったことや友人のことや小さい頃の思い出などを語るのを彼女はそれなりに興味深そうに聞いていた。





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