段87……山奥への出張依頼
僕はこのお守り根付をコートの中に着ている防具のベルトに通してみたよ。
「ところで『外因性』ってどんなのが当たるんですか?」
「……不意な攻撃を受けての怪我とか、意外なところで毒とか食あたりも外因性に当たるな。
精神干渉や病気は内因性だ」
なるほどサバイバルに見合ったお守りになって良かった。
後日仕事に来たソニカさん、ジグさんにお守りを渡したら喜ばれた。
団長さんにもお礼の言葉と共に渡してくれるように頼んだ。
本当に二人にはお世話になった。
ソニカさん達と仕事で一緒に出掛けるのも今日で最後になるらしい。
あとは準備して出発するだけだとか。
また旅の空か。
「僕も家の無い旅人だし、またどこかで会えるかもしれませんね」
そう言って別れる。
寂しくなるけど僕は僕で午後も頑張ろう!
そんな気合いを入れた僕がボーテックスの事務所に着くと、明日の午前の荷車はある山奥の湧水を汲みに行くので朝一のみだと聞かされた。
その水に特定のハーブを漬けると聖水が作れるとか。
ハーブの名前はプードスピコー……ん?
「水につけて灯りにする花ですか?」
と聞くと頷かれた。
聖水作りは夜限定で、昼に作っても聖水の獣除けの効能が出ないのだとか。
獣除けになるとは、なるほどキャラバンにはなくてはならない灯りだったんだね。
街の生活用水には一カ月に一回決まった量の湧水が投入されるのだとか。
他には商人に販売もしているという話。
自分の個人の水入れに入れても良いか聞いたら、山奥に言った者の権利だから構わないと言われた。
良し。
こっそり【影室】の中に空樽を用意して貯めよう!
聖水の材料なんて一人で集められないだろうしね。
そうそう、僕の影室は少し広くなっているよ。
僕のイメージで作られている部屋なので、イメージ通りの透明な棚が平面に並んでいる感じになっていて、長い物は奥に突き入れる事で小スペースで保管してる。
鏡に手をかざす際にイメージする事で目的の物の前に鏡をつなぐ事も出来る様になった。
――――――――――---‐814字・権利はもれなく活用するものです!
これを使って鏡から樽に直接湧水を注ぎ込む。
【夜鏡】は内緒だけど、鏡を浄化しているように見えるはずだ。
それから~仕事の内容をもう少しよく確認。
午前用の荷馬車三台と、商人が直に収集するという馬車が三台の合計六台のキャラバンになりそう。
朝に出て街に戻るのは夕方になる予定だとか。
リーダーによると車に乗せない分は個人の売り上げとして計算してもらっていいそうです!
自分の全取りになるなら喜んで運ぶよ!
そうすると一樽ではもったいないね。
会社の既定のサイズが決まっているから後で背負子に複数積む方法を考えてみよう。
一樽の単価が小判貨一枚と聞いて皆も喜んでたしね。
考える事は同じだね。
その代わり源泉を汚すような行動は厳禁って注意がされてた。当然だね。
でも今日の仕事は今日のなのでキチンとやるよ。
ここまでの考察も荷馬車の横を歩きながら出来る事だからね。
忘れないように書き留める事は忘れないけど。
街に戻ってまずは事務所で空の樽を借りて背負子に積み重ねる研究。
樽は縦横はぼ同じ高さだったけど縦だと二個以上積みは危なすぎる気がする。
縦でも横でもあまり幅は変わらないけど、横向きだと問題は膨らんだ形かな。
これって中に入った液体から外側に掛かる圧力を分散させるためみたいだけど、こうなると俵型の方が良かった。
そう思って事務所に聞いてみたら、俵型の樽もあるそうです。ラッキー!
そう言って出してもらった俵型の樽で積み実験。
ん、背負子自体を寝せて背もたれ部分に二つ並べる形で三個積み、さらにどうにか増やせないかバランスと重心を考えて頭の方にもう一樽が限界かな?
もう一つどうにか考えたけど上手く縛れなかった。結局四樽で決定。
背負子の立てた柵を外さないで積もうとしたからこんなもんだろうね。
――――――――――---‐727字・ここでの俵型は桶型ではなくドラム缶型です。




