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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
ジルミ
75/187

ル75……根を詰めると来るのは突撃

 木工道具は指定されなかったし手持ちの土のナイフでいいね。

 切れ味を上げておいて良かった。


「言っておくけど、曖昧なままの技じゃないスキルで削っても自分が思い描いた効果が出ない場合があるから、そこのとこは覚えておいてね」


「……はい」


「あと技スキルは込めるのも大変だよ? 効果を発動させるイメージをしつつ表には出さないで物に込めるんだからね」


 そう言いつつリーフさんの手は動き続けている。

 色々難しい部分もあるんだね。


「でも上手く技スキルが付与出来たら高く売れるらしいね」


「でしょうね」


 僕は勧められるまま木の輪っかと土属性のナイフを手に工房机の隅に座り、土属性の低難易度スキル【変化】をナイフに纏わせるようにして木の表面を削ってみる。

 ……削れないとかはなさそうだけど、木工に慣れてないから細かい作業は時間が必要かもしれないかな?

 おまけにスキル使用は疲れるし。

 これでスキルがついてくれればいいんだけど……


「あ、そう言えばスキルが付いたかどうかって削っていてわかるものなんですか?」


「ああ、スキルが付くと削りづらくなるね。そうしたら工房に備えてあるスキル判定石で確認するよ」


 工房に常備してるんだ。

 でも、そういえばこういう判定とか確認とかって『石』ばっかりだね。

 ギルドでも見たし。

 商人さんも持ってた。


 前にリィシフルさんに聞いた灰色の呼玉の使い方の一つなのかもしれないね。

 それにしても、いつでも誰でも鑑定できる魔法は一般的ではないみたい。

 異世界転生ものだとよくあるんだけどな~。

 個人情報保護法? まさかね(苦笑)


 考えながら削っていて内側はナイフでは削りずらいのがわかって、リーフさんに湾曲した刃を持つデカイ彫刻刀みたいなのを借りて削って行った。


 ――――――――――---‐710字・鑑定持ちは囲われているか、隠しています。


 ……黙々と続けて見たけど、さすがに疲れたと顔を上げたらリーフさんに食事に誘われた。

 え?


「ずいぶん頑張ってたね。もう夕方だよ?」


「ええ!?」


 せっかくの休日が工作で終わってしまっただと――――っ!!

 もっと街の中を見て回ろうと思ってたのに!

 心の中で叫んでいたはずなんだけど、顔に出ていたのかな?リーフさんがお気に入りだと言う店に連れてってくれた。


 食堂で出されたのは、何かの輪切り。


 見た目は薄茶色の太巻き。

 中には細かく刻んだ野菜と肉、そして若干の穀物っぽいものが詰まっていた。

 食べて見たら周りの丸い部分はイカだった。

 イカ飯じゃん!


 中身が米じゃない分栄養バランスが良い気がするね。

 あ、だからと言って元祖の醤油でしっかり味が付いたイカ飯を否定する気は毛頭ないけど。

 こっちじゃ醤油ないしね。

 代わりにトマトとイカを煮詰めて作ったらしい(味がそんな感じな)ソースが掛かっているよ。

 工夫は称賛するべきだよね。


「モリヤさん、あの木の輪と工具をお貸しするんで、U字加工はもう少しお待ちくださいね」


「まあ中途半端な仕事になるよりいいですよ。よろしくお願いします」


 夕方から夜の時間の時間配分を考え直さないとね。

 ・夕方図書館によって魔法を探す。

 ・宿に戻ってまずは水を操る為にスキルの訓練。

 ・それから木の腕輪の削り作業。

 ……よく考えたら両方とも土スキルの【変化】の修練になってしまってたのは偶然だね。

 打ち込み過ぎないように、オピに町の鐘をきいて目覚まし代わりに僕の顔に突撃してもらうことにしたよ。

 そんな事を心配するくらい生活が充実している。(笑)

 仕事以外の趣味?あるのって良いかもしれない。


 良い所で止められることもあるけど、次回のお楽しみと思えばね。

 そうして仕事と木工と水を操る練習。たまにお休みを取る生活を送って行った。


 ――――――――――---‐745字・オピよ……突撃の際は刃物に気を付けて

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