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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
ジルミ
74/187

|74……スキル付与のヒント

「出来る事には対応する。鎧にお揃いの紋章を付けたいとかよくいるな。形からなら詳しい相談が必要だし、材料がどちら持ちかで値段も変わってくる」


「そうですか」


 そうか~材料か~こっちに来てから石の採取はやってなかった。

 草なら形を覚えて森に入れば何とか出来るかもしれないけど、植生に詳しくないと群生地を見られないから効率は悪いはず。

 石となればさらに難易度は上がる。

 鉱山はあるかも知れないが色ぐらいでしか見分けがつかないだろうし、僕がとなると鉄と石炭は「黒い」位しか分からない。


  ※鉄鋼・酸化鉄なら赤錆さびをまとっていて赤いです。黒銀色に輝いている場合もあります。


 これは買うしかないかな?

 高いのかな?

 でもまずは確認だね。


「既存の物で手の指や関節を守る防具はありませんか?」


 それを聞いた親父さんがゴテゴテした重鎧用の手甲を持って来たので、僕は慌てて首を横に振った。


「鎧ではなくて軽くて動きやすいのが欲しいんです」


「そうか。良い物なんだがな……」


 残念そうに手甲をしまい、革製品を出してくる親父さん。

 革の手袋に部分的に金属が付けられているようだ。

 指の甲側に金属が付いたもの。

 それに加えて手の甲にも金属が付いたもの。

 前腕にも金属付きで小盾代わりになる物が見せられた。


 もうナックルじゃないね。

 金属の硬さや強度を聞いて、手の甲部分が固く出来ていて小盾代わりに緊急時の受け身に使えると言う手袋を選んだ。

 スキルは付いてないけど。(残念)

 ちなみにお手入れは鍛冶屋で良いって。


 その後は背負子の手入れにも行かないといけないんだけど、まだ連絡来てない。

 どうしたのか心配ではあったので『スィーバーツ』に寄って見る事にしたよ。


「来ちゃったんですか!?」


 木工職人のリーフさんは手にしていた作りかけの木工品を握ったままうろたえていた。


 ――――――――――---‐746字・リーフ久しぶりの登場


「どういう反応ですか……まさか全然手を付けていない状態とか?」


「手は出してるよ。うん! でも時間ください!」


「じゃあ今どの程度なのかお聞きしても?」


「わざと水を含ませて弾力を持たせて、さらに湯に投じて器具で引っ張ってく。この工程で湯を切らさず徐々に曲げて行って、木に自分は曲がっている木なんだと覚えこませるのに時間がかかってるんだよ」


 木は生きている。の精神から来ている製作工程みたいだね。


「今は待っている状態だから、他の仕事を並行してやっているんだよ?」


「そうですか。それで何を作っているんですか?」


 リーフさんの手元には小さな木の板。表面に半立体彫りで何か作っていたらしい。


「お守りだよ。木属性の【阻害】を付けるようにしているよ」


 なんてことだ!

 こんな近く、日常的にスキル付与が使われていたなんて!


「背負子の方はゆっくりでいいです。僕にスキル付与の仕方を教えてくれませんか?」


「え? 僕がかい?」


「工程が分かれば応用とかは自分で何とかします!

 弟子にしろとか言いませんので、どうかお願いします!」


「え~やり方って言っても、仕事道具にスキルをまとったまま削り続けるだけだよ?

 でもってどのタイミングで付与されるかは運任せだよ?

 完成させても付かない時もある」


「そうなんですか……」


「試しにやってみる?」


 そう言って渡されたのは真ん中をくりぬいただけの木の輪っか。

 中を切る為に入れた切込みがあって完全な輪ではなかったけど。


「これをキレイに削って腕輪とかチョーカーとかにするんだ。大きいものだと髪飾りにする人もいるね」


「はあ……」


「まずは表面と裏面を滑らかに削ってみて? そこでスキルが付けば飾り彫りをするよ」


 このサイズなら半分に折って手袋の手首部分に縫い付ければいけるかもしれない!


 ――――――――――---‐734字・まだ諦めてはいけない!

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