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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
ジルミ
73/187

ボ73……ヴァクツミット再び

 その後はオープニングにいた旗の人達が出てきて舞いを見せ始める。

 止まらない舞いの風の中、あの恰幅の良い男が舞台の上に歩み出してくる。

 その左腕には大きな鳥が乗っている。キレイな緑色の羽根をしている。


 旗の形をした風たちがザーッと左右に割れて止まり、男が右腕を上げて客席に手を振る。


「本日は当一座の公演をご覧いただきありがとうございます。

 今回の公演は以上になります。

 本日から三日間は同じ演目を行いますので、ご近所様お誘い合わせていただけましたら幸いです。

 本日は最後までありがとうございました」


 男が上げた右手を礼の為に胸の前に下げ、左腕を横に上げる。

 それを待っていたように鳥が舞い上がり、客席の上をぐるりと飛んでいく。

 それを口を開けて見上げていると、通った後のテント窓が順に開いていく。

 知ってる人は知っていると思うけど現代のビニールハウスも同じ構造で、地面から立ち上がる部分と天井の湾曲部分は別のシートで出来ていて、その境目を開ける事で換気できる作りだよ。

 僕がいちご狩りに行ってイチゴじゃなくそっちを丹念に見ちゃったのは内緒。


 テント内に密閉された空気が外に逃げていく事で、客達の心を平常に戻す効果を果たしているみたい。

 どことなくホッとした空気の中、舞台の上の男は戻って来た鳥を左腕に停まらせて、再び深く頭を下げる。

 するとテントの出入り口が開き、中の灯りが暗くなっていく。

 終わったみたいだ。


 客達が思い思いに立ち上がりおしゃべりしながらテントを出ていく。

 街の喧騒のようだね。

 なかなかおもしろかったし、これはソニカさん達がいない回も見てみたいかもしれない。

 その後街を散策してサーカスを意識した品揃えの露店が多い事に笑ってしまった。

 商魂たくましいね。


 ――――――――――---‐716字・サーカス観戦……鑑賞か?


 そんな中で僕が目にとめたのは穴の開いたリストバンドのようなもの。

 作るのが細かい指の部分を省いた手袋だね。

 寒い時は指が冷たいんじゃないのか? 肝心の部分がないってどうなんだ?

 と思った事があるけど、防具としてなら指の付け根のMP関節を保護してるからいいのかもね。

 ナックルとかメリケンとかの武器はこの関節がなかったら手が握れないから威力半減だしね。


 そうだよ!

 ナックル作ろうかって思ってたんだったね。

 水のスキルの鍛錬を夜にやってたから時間がなかったんだよ。

 忘れてたんじゃないよ。

 水は練習の回数待ちな感じだから鍛冶屋に行ってみようかな。


 そうして街中で見つけた店は『ヴァクツミット』……フィロープと同じ名前の鍛冶屋があった。

 個人の店だと名前が被る事は確かにあるかも知れない。同じようなネーミングセンスって事で。

 でも同じ名前だと思うと安心感が違うよね。

 本当は違っても。


 行ってみた『ヴァクツミット』は普通の店。

 鉱石油のにおいが漂うフィロープと同じ感じの鍛冶屋だった。

 店の親父さんは別人だし、品揃えも川があるからか槍やもりが充実していた。


 手持ちの土のナイフの研ぎをお願いして、休みだからと防具を置いて来たのを失敗したなと考えていた。

  一人なのに危機感が低い日本庶民です。(作者

 まあ、そんなに戦ってないし、気にするべきは酸化かな。年中身に着けてるしね。

 でも今は外してる……タイミング悪すぎ。

 だからって替えの防具を買うほど裕福じゃないしなぁ。


 つまり見るだけ。

 でも戻って来たナイフは切れ味が戻っていたし、ルバラートにいるうちはここでお世話になる事にしようかな。

 手入れにはまた来よう。


 ナイフを受け取りついでに店長に質問をぶつけてみる。


「こちらではオーダーメイドの防具とか作ってもらえますか?」


――――――――――---‐706字・素人は何でも聞く!

フィロープの『ヴァクツミット』は22話に出ています。

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