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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
ジルミ
67/187

す67……スキルを使うと疲れる ☆★彡風

 午後の荷車の最高積載数二十六個で済ませて僕は押し要員に回る。

 背負子しょいこはオピの入った袋が乗っているだけ。


 二十六×四=百四÷六=十七余り二ダル。

 がめつくしないで、のんびり行こうと思う。


 帰り道。

 ソニカさんと例の水を浮かすスキルの話になった。


 風のスキルは

 難易度低【拡散】

 難易度中【停滞】

 難易度高【真空】

 なので、浮かせるのは【停滞】になる。


 まだ使えないが【真空】は圧縮なので逆の膨張も可能。

 でも【拡散】とはまた違う。

 爆発って感じかな?


「空中に水を浮かせたいのよね?」


「そうです」


「【拡散】は空気を動かすスキルだから、速度を付けたり意識を乗せたりすることで名前のある魔法系スキルになるけど、物を浮かせるなら【停滞】の方だと思うわ」


 そう指摘して来たけど、【停滞】は難易度中。少し難しい。


「【停滞】はその場の空気を固定するスキルよ。でも問題は、地面につながった物を一緒に固定しないと自然の風に流されてしまうところね」


「さらに重量のある物を一緒に固定すると地面に落ちてしまうのよ」


 試しにとソニカさんはわざと口に出してスキルを使って見せてくれた。


「水蒸気・手の平サイズ・【液化】。水を覆え・【停滞】」


 ソニカさんの手の中に水の塊が現れ、次の瞬間にはブヨブヨしていた部分が固まり、地面に落下した。

 むむむ~何かには使えるかもだけど、僕がやりたい事には不向きかな?


「ご覧の通り、浮かばないわ」


 水の玉を拾って僕に渡してくる。

 意識的に指でつついてみると弾かれた。

 水風船みたいな状態みたいだし、これも僕の考えてる条件と違う。


「っ!」


 もらった水玉を【拡散】の風の渦で浮かばせてみて、その水に触ろうとしたら指先に切り傷が出来た。

 こっちでも触れないか……風ではダメなのかな?

 青い呼玉で効率を上げてやってみるしかないかな……目標が遠のいた感じ。


 ――――――――――---‐756字・違うっ!これじゃない!


 その日は宿に戻ってからもチャレンジしていたら仕事とは違う疲れが出て来たので、早めに休んだ。

 急ぐ必要はないしね。


 翌日も普通に仕事をしたけど、やっぱり背負子の出番はなくて、仕事終わりに役所に行って木工職人を紹介してもらった。

 よくわからないので『アドバイザー』さん任せだけど、修理の話をしたのでそれに見合った店のはずだよ。


 薦められたのは『スィーバーツ』と言う工房で、店主さんはリーフさんと言うそうだ。

 最近独り立ちしたそうで、研究好きと言う話。

 僕の背負子を見たらどんな反応をするんだろうね。


 到着した店はこじんまりとしていて、小物専門なのかな?と思われる感じだった。

 でも話を聞くと、店の地下に温水を使う加工場を持っているらしい。

 木は無理に曲げると折れるので、水を加えて熱処理をすると形を覚えてくれるのだそうだ。


「時間はかかるけれど、それでも良ければ」


 リーフさんはそう言った。

 そして依頼について話を詰めていくことにした。


「材料は何にする? 指定があるなら聞かせて」


「何の木でも大丈夫でしょうか? 僕も詳しくはないので……でも長持ちしてほしいです」


「それなら最適な材料を調べて見るよ」


 そう言ってリーフさんが持って来たのはカードサイズの木の板がたくさん入った箱。

 木材見本かな?


 背負子を部屋の中央に置くように指示してきて、その背負子の周りに木の板を放射状に並べていく。


「じゃあ、背負子に使っている木を助けるように働いてくれる木を、相性で見てみる魔法をかけるね」


 相性診断か!


「……分相木ブンソーモク!」


 円の外に立つリーフさんから魔法が放たれると背負子が輝いて、その光が広がって木の板の円に触れるほど広がると背負子の方の光が木の板の円に吸い込まれて円が輝きだし、ルーレットのように回転を始めた。


 ――――――――――---‐755字・分相木ブンソーモクの解説は次回で

スィー=種

バーツ=芽

リーフ=葉っぱ

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