底62……新しいバイト
「それにはやっぱり仕事だよね~」
独り言に返すものはなく(オピも無言)商店街をぶらついた後に、見つけて置いた教会の裏手の公園みたいな広場で休憩だ。
広場の隅の方に東屋っぽいのがあったんだ。
東屋と言ったけど、言葉で連想する可愛らしい感じではなく、キャンプ場なんかにある柱と屋根だけの建物の中にテーブルと椅子があるだけ。
歩きっぱなしは辛いし、かといって食べる気がないのに喫茶店もな~と思って来たのがココ。
早速役所でもらった求人の紙を出す。
ちょうど僕のひざの辺りに光が差していてオピは日向ぼっこしている。
どこかに走って行かれるより安心なので、そのまま紙に目を通す。
1、キャラバンの品を卸元に運搬する仕事。
2、川の水を生活用水に変える工場への水を運搬する仕事。
3、納税用作物の徴収運搬する仕事。
1はおそらく旅人証に履歴でも残っていたんだろうね。
2は人力の給水車かな? あっちみたいにポンプで引き込むとかは出来ていないんだろうね。
3は村々を巡るのは楽しそうだけど、面倒事も付いて回りそうかな。数が足りない!とか僕に振られたら最悪だよ。
起こり得る事がわかっているからか、給金が高い!
金額は3>2>1だね。
求人紙を一通り見たので今度はテーブルに地図を広げる。
地図と言っても観光ガイドMAPだけど。
それぞれの店or会社の位置を確認して見学ツアーを計画する。
でも……計画とか言ってみたけど、結局1、2、3の順になった。
偶然です。
まずは西の発着場。
求人出してる店前にキャラバンが停まって商人が紙の束を渡しているのを見た。
あれが金の束でなく納品書だと言うのはわかったので、こっそり付いて行って従業員の働きぶりを観察する。
近付きすぎると従業員と勘違いされる可能性があるので(経験者は)注意する。
運搬連携はおおよそフィロープと同じようだ。
――――――――――---‐753字・宿でのつもりが街中での検討に
次に水工場に向かうけど、ここでワザと卸運搬の会社の人に道を尋ねる。
これで地理の理解度を測る。(偉そうなだけの小心者)
話によると町をまたぐ大きな川にかかる橋の南側の東半分はその水工場らしい。
これなら距離的にはあまり運ばなくてもいいのかもしれない。
なんて思ってたのは甘かったみたい。
規模が違うよ規模が!
川の近くではあるけど接しないような位置に大きな池があった。
周りはキレイに刈られた芝があり、こじんまりとした建物にボーテックスと書いてあった。
この建物にこの池のサイズはおかしい……池の縁にある柵をつかんで中を見ると水は半分ほどしかなく、しかも池の内側は土壁ではなく石壁になっている。徹底的に水が濁らない装置。
なんて近代的なんだ!
「物を投げ込まないでくださいね」
池の周辺は徹底的に人の出入りを管理しており、僕も求人見て見学したいって言って、案内社員同伴で来ているくらいだ。
「ほら、向こうに集まっている人達の仕事が求人に出しているものですよ」
今いる場所から少し離れた縁に荷車で水を運んできた人達が見えた。
樽を一つ一つ縁に運んで逆さまにしていく様子はまさに重労働!
……ルバラートを知る為にはキャラバンの荷運びが良いかもだけど、こっちも気になる。
池の前を離れて最後に納税品運搬の会社の場所へ。
と思って来たけど、あれ?
その店先には黒いベース型の旗が掲げられている。場所はプリークレットのお隣。
しかも中の従業員も同じ前掛けをしていた。
納税の会社ってプリークレット?
名前は違うから別動隊?
いろんな部門に手を広げているのかも知れないね。
確かにここなら上からの信用度は納税に関わってもおかしくはない。
でも、やっぱり僕には責任が重いから出来そうにないかなあ。
どれにしようか。ジルミは水の国らしいし水工場にするか。
――――――――――---‐744字・その国らしい仕事を選択
渦=ボーテックス




