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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
ジルミ
61/187

の61……装備鑑定

 僕がテールラビットを撫でていると、『ビギナー』さんに小さな石を渡されて

 「名前の登録をお願いします」と言われた。

 そうだよね。ここからが本番でした。


 名前か……やっぱり見た目からかな。

 最初の印象は消えるもんじゃないみたいだし、石黄オーピメント鶏冠石ラルガー……赤と黄色のバランスからいうと石黄オーピメントなんだけど、略して「オピ」かな?

 うん、良いかもしれない。


「オピ。でどうかな?」


 対して嫌だってイメージは届かないから大丈夫かな?

 『ビギナー』さんに指示されて顔の下あたりの毛皮に小さい石を押し当てる。

 この辺りは毛が短いね。


「いきますよ。……従親木音ジューシンモコン


 『ビギナー』さんがテールラビットのオピの上に手をかざして唱えると、石がオピの体にくっついて石を押さえていた僕の指の爪に赤い~線が現れた。

 これが印? 不思議だね。


 これでクリップを外しても平気とか……室内で万全の態勢を整えてそーっと外してみる。


「どう?」


「キュ?」


「こちらの声が聞こえているか確認するよ。その場で二回まわって耳を上げて見て」


 オピは二回まわって片耳をビシッと掲げ上げて見せた。

 おお! バッチリだね!! 思わず拍手しちゃうよ!


「改めて僕はモリヤ。これからよろしくね、オピ」


「キュイ!」


 精一杯胸を張る姿に口元を緩めてオピの背中を撫でてしまう僕だった。


 無事登録が済んでクリップが外せたので、次は旅の装備の点検整備しないと。

 こんな時は雑貨屋だね。

 特に背負子しょいこの修繕が必要か見てもらう為。

 僕にとってはたった一つの商売道具。

 途中で壊れたりしたら目も当てられない!


 商店持ちの人は偽物をつかまされないように鑑定技能が必須らしいから、それで劣化状態を確認してもらうつもり。

 部品交換とかが必要かすぐにわかるはずだ。じゃないと困る。


――――――――――---‐751字・可愛いぞオピ!


 とりあえず手近に見つけた鞄屋を覗く。

 同じ背負う物だから共通点があるかと思っただけ。


「確かに少し劣化は見られるが、自分には修理できないね」


 しかし店の人はそう言った。

 それは鞄屋だからかな?


「専門は木工職人になるかもしれないが、この背負子は君の固有道具だろう? そうなると部品を売ることは出来るが修理は自分で行うしかないね」


 何と! 固有道具になった弊害がこんなところに!

 僕が落ち込んでいると、店の人は修理箇所だけ教えてくれた。

 それは板の上に湾曲させて立てていた棒の部分だった。

 他の部分と違って本来にない角度に強制的に曲げて付けた分、劣化が早かったのかもしれない。


「何なら木工職人紹介しようか?」


「えっ!?」


 いきなりな展開に少し引いちゃったよ。

 表情がカモを見つけた狼みたいな黒い顔なの気付いてないんだろうか?


「どうして突然?」


「知り合いにやっと独り立ちした奴がいてね。仕事あるって聞けば喜んでやるだろう」


「……」


「その際に、うちの店で紹介されたって強く行っといてくれればいい」


 あ~これは紹介って「恩」を着せようって話だね。

 あの表情を見ると、とても親切には思えない。


 あ、もしかしたら逆に腕はいいので面倒くさい仕事を押し付けようって事かもしれない。

 失敗したとこに難癖付けに行くタイプかな?

 そしたら僕も手下その一じゃんか!

 良かった!

 気付いて良かった!!


「いいです。自分で何とかします」


「そうかい?」


 あ、表情が愛想笑いに戻った。

 さっさと店を出た僕は店から十分離れてから溜息をついた。


 『アンドゥ―・バッグ』

 店の名前は覚えておこう。

 何かに巻き込まれたらシャレにならない。


 もし本当に部品調達が面倒くさい事なら時間もかかるだろうし、この町での拠点を作らないといけないね。


――――――――――---‐721字・森谷君の危機管理能力は高いようです。

魔法解説

従親木音ジューシンモコン

従属契約の為の正式な合成魔法。

心(音)から(親)に(従)う木魔法。

木が付くのは低スキルの『阻害』の影響を持たせているため。逆らわなくなる。


『アンドゥ―』

ぼろもうけと言う意味です。

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