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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
ジルミ
60/187

ル60……ペット登録(迷子防止)

 ちょっと追加で言っていたけれど、大きくて役所に連れて来れないような子の場合は役所の裏にある広場で受け付けるらしい。

 僕は今回窓口で済んで良かった。


「登録よろしくお願いします」


 カウンターの上にテールラビットを乗せて僕の旅人証を持たせて『ビギナー』の受付さんに差し出させる。

 座っていたお姉さんが微笑んだ。


「ペットの登録ですね。かしこまりました」


 僕のカードを見た『ビギナー』さんが、普通のペットでも住民からのクレーム対応の為に登録は重要だと言っていた。

 登録なしのペットだとモンスターとして殺されても飼い主は文句を言えないんだそうだ。

怖いね。


 ちなみに職業が傀儡師くぐつし獣魔師じゅうましだった場合は使役している子が成長して姿が変わる度に申請が必要だけど、ただのペットはそこまでは必要ないみたい。

 面倒だけど強い子を連れてた場合の事も考えると相応の対応かもしれない。


「では、本人の意思の確認をしていきますね」


 そう言って『ビギナー』さんが出して来たのは角の取れた平べったい石。色は白。

 あ、嘘鑑定石だ。

 イフェリオちゃんと形だけだけど護衛をして森に行った後に、事実確認に役所で使われた道具を思い出した。

 イフェリオちゃん元気かな~


 『ビギナー』さんは石をテールラビットのおでこに当てて顔を見ていた。


「私の声が聞こえますか?」


 石が青色に変わった。YESが青だとか。

 『ビギナー』さんが頷くと石は白に戻った。


「人の言葉の意味はわかりますか?」

                →青色

「今回捕まるまでもわかっていましたか?」

                   →赤色

「人はみんな優しいですか?」

             →赤色

「今一緒にいる人は信用できそうですか?」

                   →青色

 あ、ちょっと嬉しい。


 『ビギナー』さんはテールラビットの耳に付けてあるクリップを触って顔を見た。


 ――――――――――---‐724字・嘘鑑定石は便利!


「今はこの道具で逃亡防止していますが、外してもこの人と仲良く出来ますか?」

                                    →青色

「今日このまま飼い主として従属登録をすると命令されると逆らえなくなりますが、登録してもいいですか?」


 あれ? 今度は色が変わらない。

 答えられないって事かな?

 迷っているのかな。


「あの~」


「はい?」


 つい『ビギナー』さんに声をかけてしまった。

 良いのかはわからないけど、このままじゃあ納得されて飼い主になれないかもしれないって寂しいよ。


「僕が問いかけてもいいでしょうか?」


 どうぞと言われたのでテールラビットを見る。

 石は『ビギナー』さんが持っている。

 ぼくとはクリップで意識が繋がっているので触れなくても会話出来るとか。


 「ん~人は今も怖い?」

          →青色

 「それは僕も?」

       →赤色

 「それでも迷ってるのは理由があるんでしょ?」

                     →青色

 「不安な事……従属についてかな?」

               →青色

 「言葉分かるんだし、もう少し説明してもいいかな?」

                        →青色

 よしっ聞いてくれるなら教えるよ。

 僕は傀儡師じゃないんだ!!


「わかった?」

      →変化なし

「あれ?」


 動物も物のように扱う『傀儡師』じゃないよ。では通じない?

 従属登録も僕としたら迷子防止のような気でいるし、ガチガチな命令なんてしないよ。

 普段から放してても逃げないで仲良くしてほしいんだ。

 どうしてもの時はお願いって形で命令する事は了承してほしいかな。

 僕が君の言葉を理解できないのは申し訳ないんだけどね。


「キュイ!」

     →青色

「えっ?!」


「登録した子との意思の疎通はある程度可能ですよ?」


 『ビギナー』さんの微笑みを伴った一言がトドメだった。


「じゃあ、登録してもいい?」

             →青色

 良かったっ!

 僕がカウンターに這いつくばってホッとしていると、テールラビットに擦り寄られた。

 か……可愛い奴だな!


――――――――――---‐742字・何とか意思の疎通が出来ました!

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