段57……ルバラート到着
普段通りで、なんにも大層な事してなくても時間は過ぎていくもので、しばらく平地が続くと先に壁らしき物が見えて来た。
ジルミの主要都市の一つルバラート。街の真ん中を大きな川が横断している変わった町だ。
……と思っていたけど、ジルミではこの川橋型の町づくりが基本型らしいです。
最初に見えた外壁は害獣対策で高くされているけど、外壁から市街地までが遠い。
それまでは沢山の畑が広がっていた。
外壁の内側の道も石が敷き詰められていて隙間をセメントみたいなもので埋めてある石畳。
セメントなんかの粘土質の土が多く取れるのかな?
畑の中にぽつぽつとある家は、回りを低木で囲っている家が多い。
家の地盤を塩害で傷めない為の対策かもしれない。
植物による自然の力を借りる、良い感じの町のみたいだね。
そうして市街地に入っていくと、やっぱりキャラバン用の停泊地があり運搬専門の会社との打ち合わせがすぐ始まった。
僕および護衛さん達は、キャラバン馬車が空っぽになって、プリークレットにビスコースさん達が帰るまでがお仕事だそうです。
「こっち積んでくれ」
料理長に言われて馬車に乗せている売り物でない食料の残りを背負子に出来るだけ積む。
その傍らには見習いのホーとロウが走って行って持ってきた荷車があって、そこに馬車の棚箱をそのまま積み込む。
「まだあるからな。まずは一回行ってこい」
「「はい」」
元気に返事をする見習い二人に付いてプリークレットまで歩く。
平地の町なので高い建物がスゴイ目立つ。
馬車の管理塔は東西にあるみたいだね。よく見える。
町の中心部に行くほど建物が高くなる傾向にあるみたい。
町全体で言えることだけど、蔵みたいな漆喰の白壁の建物がすごく多い。
でも低い建物ほど黒い壁が多い。黒い壁は炭化した木の板を貼っているみたいだ。
モノクロで渋い印象。
――――――――――---‐755字・家の周りの低木はおそらくハマナス
目的のプリークレットの店舗は高さ的には中くらい、見事な四階建ての南向き。
道に沿って店舗があるがその両側に搬入用の横道があって、僕等はそこに入っていく。
奥の門扉を開けると中庭になり、その回りの四面が軒付きの廊下になっていて、前後と右に当たる壁にドアが並んでいた。
見習い二人の話だと、今横を抜けてきた建物が店舗で奥と右が倉庫。倉庫の上が住み込みの従業員の部屋らしい。
左の壁は別の持ち主がいる店舗なので叩かないように注意された。
しませんって。
とにかく僕は後ろを付いて行って倉庫の一つに食料を下ろす。
最終確認はすべて揃ってからだそうで、すぐ馬車に踵を返した。
もう一回運んで他の馬車の積み込み分も無事に運び終わると、乗り込んでいた全員(護衛込み)集められて報酬が配られた。
成功報酬ですね。
若干の戦闘報酬が追加されているそうです。
羊と兎の分だね。
これで一応は依頼完了で僕自身は自由になったわけだけど、どうしたもんかな。
まあ、まずは拠点を決めないといけないね。
……ここの役所かな。アドバイザー頼り!
場所は見習い二人に聞いた。
プリークレットより背の低い二階建てでした。
代わりに横に長い。フィロープより規模が大きい気がする。
遠慮なく入って見回す。
もちろん内心はドキドキしてるよ。当たり前でしょう!
よし、町の見取り図を探そう。フィロープでも観光ガイドMAPがあったから期待してる。
あった。
壁にでっかい見取り図が貼ってあって、その前に置いてあった。
良かった、あって。
主要機関はやっぱり大きく書いてある。
MAPの表には縁の四方に丸が描かれていて、どうやらジルミの主要都市はこの図の通りに四つあって、ルバラートは北西の都市みたいだね。
「手頃な宿を探さないとね」
「キュイ!」
新たな拠点での生活が始まるよ。
――――――――――---‐739字・黒い炭板壁は塩害対策です。
二つ目の国に着いたので一応簡単な地図を載せておきます。
ジルミは右下です。
ルバ=川
ラート=群れ
首都(青い★の位置)は名前ギャドリン=集まりの予定。出ないかもですが(苦笑)




