こ50……果実は梨に近い
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割り込みすると閲覧数がガクンと減るのを知りました。これからは気を付けます。
『……こちらはプレゼントですわ』
一呼吸おいて樹上からボトボトと木の実が降ってきた!
呼玉持ちの木から落ちて来た木の実にモンスターかと瞬間的に身構えると、こずえに乗ってささやかな笑い声が聞こえた。
『大丈夫ですよ? 私が果実を食べていただくために作った実なので口を持っていませんし、核である呼玉もありませんからどうぞお持ちください』
「え? もらっていいんですか?」
というか食べていいんですか?
ん~と足元の木の実を見ていると、子犬が木の実の一つに食いついた。
外皮は少し硬いようで、牙ではがして前足で器用に抑えて中の果肉をシャクシャクと食べ始める。
しっとり系の果実ではないみたいだね。
試しに一つ手に取り子犬が食べた実を参考に、外皮が切れるようにナイフでぐるっと切り込みを入れる。
ナイフは仕舞って、切れ目を挟んで皮をそれぞれの手の平でつかむようにして捻る。
これはマンゴスチンの皮むき方法だけど試してみたかった。
……やっぱりかなりの抵抗がある……
でも無理やり切り込みを広げてみると、ペリペリと若干の音がして二つに割れちゃった。
失敗……これなら実まで切った方が良かったかもしれない。
切れた部分から果汁があふれて外皮のへりに表面張力ギリギリな状態で溜まったのを見て本能的に口にしてた。
「甘い!!」
甘さに驚いたよ!
釣られて果肉をかじると、こっちは梨みたいな歯ごたえ。
「本当にこれ、もらってもいいんですか?」
『栄養価が高いのは存じております。皮が硬いので旅の食料によろしいかと』
「ありがとうございます!」
樹上を見上げてお礼を言い、木の実を鞄の中の夜鏡の奥(つまり影室の中)に入れていく。
十個以上あったので非常食としてかなり活躍しそうだね。
……あれ?パンパンになるかと思ったら全部すんなり入ったね。
いつの間にか容量が増えてた?
その後、子犬の案内で村に戻ったけど特に何も起こらなかったね。
だからと言って精霊の鈴を外して試してみる気はないけど。
その日はおとなしく村の宿舎に入ったよ。
ベッドで寝れる時は寝ておくべきだからね。揺れない寝床は安心だよ。
――――――――――---‐857字・密かに影室が進化
翌日。
この村では丸太を仕入れていて、表面は凸凹しているけどツルツルだった!
大きな家の大黒柱に皮むいただけの凸凹してる木が使われたりするよね。あんな感じ。
きちんと滑り止め用楔のある荷車に乗せて、買い付けは予定されていた様子だね。
「精霊が多い風鳴峠で精霊の加護の元育った木を支柱にして家を建てると、家妖精が住み着きやすくなって家の守りが強固になるらしいからな。人気の木材だ」
積み込んでいる人がそう言ってた。
そんな様子を眺めていたら腰のあたりをポンと叩かれたので振り向くと、昨日見た男の子が子犬とともに立っていた。
「僕パルコ。お兄さん。これ買ってくれない?」
男の子が平たいザルを僕の前に差し出したので見ると、ザルの上には草木染されたらしいカラフルな房飾りが並んでいた。
糸と言うか細かくした繊維をくしけずって作ったと思われる、手作り感あふれる飾りだね。
「この森の木の皮から作っているから、お守りにいいと思うよ!」
「ほう。何のお守りになるのかな?」
「この森の精霊樹・マザーウッディーの葉の芯を結び紐にして木と月の加護を強めているからね、森で迷いづらくなるし夜のモンスター近付きにくくなるよ」
お守りだからにくくなるだけだね。
わかっているセールストークに頬がゆるむ。
「いくらなのかな?」
「小貨3枚でいいよ」
うん。これはお小遣い稼ぎだね。
頑張れ少年。
「じゃあ、この橙色のをもらえる?」
「ありがとう、お兄さん」
★☆
そんな男の子と子犬に見送られて無事に風鳴峠を抜け、さらにいくつか小さな村を通り過ぎると領界門でなく国境門が見えてくる。
フィロープの北の砦と同じ作りだけどかなり大きい。
今回は手形のあるキャラバンとしてなので、すぐに門が開く。
なんか優越感?
砦の上に兵士達がいたので手を振ってやると振り替えしてくれた。
平和だなあって思ってたら、早馬担当の護衛が各馬車を回り始めた。
馬車が走りながらの伝達によると、この先で最近モンスターの群れの横断が頻発しているらしい。
やっとジルミに入ったのに、この国はモンスターが活発なのかな? 物騒だね。
――――――――――---‐881字・風鳴峠の資源は大切
梨は水分が豊富です!
軽い風邪、疲労回復、二日酔いに効くそうです。




