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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
リルミド
49/187

ど49……メグルと周《めぐる》

割り込み投稿その2

「うおん!」


 子犬は一声吠えてタッと駆け出し、少し行って振り向くともう一度「うおん」と吠えた。

 その二度目の声を聞いて、僕は首をかしげる。

 すると何を思ったか子犬が戻ってきてグルグル僕の周りをまわり、また「うおん」と吠えて走り出した。


 さすがに付いて来いだとわかったので追いかけて、せっかく抜けて来た森にまた入る事になった。

 いったいどこまで行くのか……そう思っていると子犬が「わん」と言って止まった。


 一見普通の森の中。


「わん」


 子犬は一吠えして一本の大きめの木の幹に後ろ足で立って寄りかかり、しっかりと僕を振り向いた。

 え?!

 

 何となくやらないといけない気がして、僕は子犬が寄りかかっている木に手をついた。


『ようこそ。同族の使者よ』


 いきなり話しかけられて思わず子犬を見ると頭に草が生えていた。

 ええっっ?!!

 びっくりして木から手を放すと子犬の頭の草は見えなくなった。

 え?! 幻?


 おそるおそる木に手をついて子犬を見るとやっぱり頭に草が一本生えていた。

 僕が子犬ばかりまじまじと見ていると、また声が聞こえた。


『その子は私の協力者です』


「私?」


『使者殿が触れているのが私です』


「ええっっ!!」


 さっきまでは心の叫びだったけど今度は声に出して叫んじゃったよ!

 僕が触ってるのって、それはつまりこの木の事だよね?


『使者殿は、私の同族の羽根になってくださっているのでしょう?』


「……は?」


 え~と、ちょっと待って。

 木が声を出してないけどしゃべってる。これはイフェリオちゃんが聞いていた声では?

 しかも木属性の素養の無い僕に声を送れるという事は、かなりの上位精霊の可能性があるんじゃ?

 ここで粗相があると、もしや呪われる?!

 恐ろしい考えになって僕があわあわしていると、声がなだめてきたよ。


『落ち着いてくださいませ使者殿』


 ――――――――――---‐740字・ファイリィが寄生しています(任意)


「ごめんなさい! 森に入ったから怒っているんですね。料理に使う薪を集めていただけなんです!!」


 先手を取って謝って置くに限るよ。


『誤解されているようですが、薪を取るくらいで怒ったりしませんよ?』


「そうなんですか?じゃあ何で?」


『もう一度お伝えしますね。貴方は同族の羽根をされている使者殿ですか?』


「その言葉もさっぱりわかりません。同族って何のですか?」


『同族とは私と同じメグルの木の事です。お会いになって何か託されているでしょう?』


 僕は思わず種の入っているコートのポケットに手を当てていた。


『私が見える範囲の呼玉持ちの子の事は把握していますが、そちらの気配は存じ上げませんでしたのでお呼びしました』


「わん!」


 子犬が元気に返事をした。そうだぞ!とでも言いたのかもしれない。


『それでこの森を住処に?』


「それは決めてません。実際にどんな場所が良いのかわからないので」


『種からでしたら森の中のような肥沃な土地がよろしいですよ。そのような土地は地下水も豊富なはずですから』


 僕がポケットを抑えた様子から預かりものが苗でなく種だと瞬時に把握されてしまったみたいだ。

 洞察力がすごいなぁ。


「さすがこの森の精霊樹様ですね」


 そうそうイフェリオちゃんが言ってたんだ、リルミドの植物モンスターは自我が芽生えた上位精霊である精霊樹に管理されているって。

 この木を前にしたら納得しちゃうね。ここは下手したてに出るしかない。


「僕は森谷周モリヤ・メグルです。旅人です。お招きありがとうございます」


『まあ! お名前にメグルの名をお持ちなのですね! まるで家族のようで嬉しいものですね。私は峠の村の人達からはマザーウッディーと呼ばれています。同族の子を私からもよろしくお願いいたします』


――――――――――---‐723字・マザー登場♪

注意・ファイリィの根は毛に絡まっているだけです。

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