は48……風鳴峠
肝心の風鳴峠の部分を書き忘れると言う失態!!
途中挿入でスミマセン。もう二話分くらいかかるかもです。
村を出てしばらく行くと、平地の道が段々と坂道になってくる。
「そろそろ精霊の鈴を身に着けて置けよ」
料理長が言ったよ。
リィシフルさんが言っていた風鳴峠が近いのかもしれないね。
僕はすぐに鞄の中から鈴を出して腰に掛ける。カランと軽い音が空気を鳴らした。
……と身構えていたのだけど、山を登るため馬たちは大変そうでも特に変わったことはなかった。
左右が深い森に変わっていき時折鳥の鳴き声がするくらいの穏やかな時間。
「こうしてると自然に森林浴出来ていいですねぇ」
「何も起こらなければな」
食料馬車の護衛がつぶやいた。
そんな風に言われると怖いんですが!!
若干萎縮しつつ外を眺めていると、木で出来た標識が立っているのが見えてきた。
『左=リルミド。右=この先・エイボカーイ。』
やっぱり風鳴峠が近いみたいだね。
少し行くと森の右側が拓けて家がいくつか並んでいるのが見えた。
村……と言うより集落って感じで野営地に家が建っているみたいな規模だね。
「今日はここに泊まるからな。商隊長に確認してくるから待ってろ」
広場に停まった馬車から料理長が降りていく。
その間に見習いの二人・ホーとロウが、この風鳴峠の村は真っ当なキャラバンなら必ず通る中継地点らしく、邪な者が入り込むと精霊の力を取り上げられたりするのだと教えてくれた。
ここをキチンと通って村の教会から印をもらっていくと先にある町での信用がグンと上がるそうだ。
「こんにちは!」
馬車から小さな村を見回していると、下の方から声がかかった。
見下ろすと子犬を連れた男の子が立っていた。
「お兄ちゃんたちのキャラバンは何でも屋さん?」
このキャラバンの星は七つだから「何でも屋」でいいのかな?
でも屋台販売機能のある馬車は同行していなかったはず。
「欲しいものがあるなら商隊長に聞くといいよ。在庫を把握しているはずだからね」
後ろから顔を出したホーが言って、教会に向かって歩いて行く商隊長と料理長を指差した。
――――――――――---‐817字・やっと本編の現場を通過
「ありがとう」
男の子は教会に向かい、キャラバンの商人たちは馬の世話やら、馬車の手入れやらを始め、ホーとロウは食材の低温保存用の魔法道具のチェックを始めた。
ここで動かなくなったりしたら最悪の事態になるそうだ。
「どんな?」
「お前、腐った野菜とか見たことないのか?」
「形をほとんど失い、土の色と草の色が混ざったような色で、凄い臭いにおいを放つんだ」
う……冷蔵庫の中で蕩けたほうれん草を思い出した……。
確かにそれはまずい!
「まあ、精霊の怒りを買わなければ大丈夫だとは思うけどな」
「そうそう」
そんな話をしているうちに料理長が戻ってきて、見習い二人に宿舎の厨房の掃除を命じ、僕には森に入って薪を集めて来るように言った。
途端に見習い二人から、こいつで大丈夫なのか? 的な視線が飛んでくる。
そんな事言われても困るよ。
とにかく僕は背負子を背負って森の中へ。
鈴はちゃんと付けてけ。と言われたけど、それはもう付けてる。
入ってみてもそこまで暗くもないし、そんなに怖そうな感じではないけど、どんな精霊がいるんだろう。
森だからフィロープの回りみたいに動く木とかかな。
考えつつここに住んでる人が整地していると思われる下草が整った部分を避けて、落ちている薪を集めていく。
上を見上げれば伸び放題の枝が沢山見えるが、乾燥用の水や木の魔法がからっきしの僕は手を出せない。
精霊だって一方的に人を嫌いななるわけじゃない……と思うし、いきなり入ってきて枝切ってくような暴挙に出なければ大丈夫だろう。と言う打算も少しあって、僕は落ちてる枯れ枝だけを集める。
結構落ちてるから早く終わりそうで良かった。
何も起こらずホッとして森から村の敷地に戻ると、そこには僕が出てくるのを知っていたように子犬がお座りして待っていた。
「わん」
――――――――――---‐742字・「わん(おかえり)」




