段42……火のない世界の光
なかなか話が進まないのはキャラクターがしゃべりたいことを全部しゃべらせようとしている為です。
読みづらかったらスミマセン。
そんな中、ほろの上の人は何か果物を食べていた。
周りを見渡すがキャラバンの周り以外は闇に沈んでいる。
鞄から、スプーン状の石が何枚も重なった蓮華花形のクラスターを出して掌に乗せ、手持ちの水を数滴垂らしただけで手元を照らす光を生み出していた。このクラスターは良い物のようだ。
そんな馬車の周りを水ランプを持ったキリトピオルさんが見回りする。と言うので僕は付いて歩いていた。
「初日なんだし、もう休んでもいいんだぞ?」
「逆にテンションが上がってて疲れが見えません! 何でも楽しいので付き合います」
「あとから疲れがどっと出る予感がするが、そう言うならゆっくり付いて来るといい」
「はい!」
キリトピオルさんが持っている水ランプの中には銀色の皿があり、皿の中には鈴のように膨らんだ形の花が一輪沈められていた。
ランプを覗き込んでいる僕にキリトピオルさんが笑った。
「そんなに珍しいか?」
「町で暮らすには特に必要がなかったので構造とかじっくり見たことがないです」
砦とかにはあったかもしれないけど、よく見てなかったしね。
「この花はプードスピコーと言ってな。日中太陽光を貯めて夜に水を含むと発光する花なんだ。キャラバンでは御者台の横にこの花の植木鉢を常備しているぞ」
「それは気が付きませんでした!」
「これの群生地が夜の霧雨で覆われると、それはそれは美しい光景だぞ」
水での発光の上、霧雨に光が反射して辺り一面が光り輝くのだそうだ!
それはぜひ遭遇したい光景だね!
想像だけでも美しい光景なのが分かる。
「しかもこの光を浴びた一定量の水は薬の材料になるとかで、ランプを作る時に商人に厳重に注意されたよ」
「それも知りませんでした!」
そんな話をしながら一周終わると、手に光を持ったリィシフルさんが立っていた。
――――――――――---‐739字・プードスピコーは英語を並べただけです。プード(ためる)・スピコー(まく)。
彼は手の平から白い光を溢れさせている。光源は石のようだね。
「お疲れ様、キール」
「リシル戻った、特に何もいなかったぞ」
「それなら良かった。私の番はまだなので皆のとこに戻りましょう」
入れ違いで別の護衛の人が水ランプを受け取り外に出て行った。
そしてリィシフルさんが白い光で僕らを明るい場所に誘導してくれる。
さっきのやり取りが何だか夫婦みたいだな。とか勝手に思ってしまった僕は、場の雰囲気を変えようとリィシフルさんに声をかけた。
「リィシフルさんが持っている石って白い光が出る物なんですか?」
「これですか?
このベニトアイトは属性判定石の小型版で、持っている星の力の強さに応じた色を発するので灯りにも使われるんです。
私は音属性が強いので白光で、よく見ると光の粒子が舞っているのも見えるはずです。
この粒子は風属性の色です」
ほうほう。近付いて見ると確かに何かキラキラしたラメみたいなのも見える。
だとしたら僕も興味がある。
「僕もやってみたいです。貸していただく事は出来ますか?」
「それは構いませんが、普通は属性を秘密にしたい人の方が多いのに珍しいですね」
「秘密とか気にしてなかったし、率直に言えば僕にも出来るのかやってみたいんです」
「それなら……こちらにどうぞ」
リィシフルさんは皆が集まり暖を取っている中心ではなく馬車の一つに案内してくれた。
これは二番馬車。護衛達が乗っている馬車だね。
「今なら皆外にいますし、目立つことを外でやる必要はないでしょう?」
「スミマセン」
リィシフルさんの手早い気配り対応にビックリ。
僕の事を考えて馬車の中でやってみようって提案だね。
馬車の中は護衛達の荷物があるくらいで結構広く感じた。食料馬車とは違うね。
「どうぞ」
リィシフルさんから光が消えた石を渡される。
僕だとどんな色が出るんだろう。少し楽しみ。
――――――――――---‐754字・ベニトアイトは三角(または六角)錐を二つ貼り合わせて角を取ったような不思議な形をした結晶原石の青い宝石です。硬度は六半。紫外線で光ります。現実的にレア度高いです。
……蓮華石は1998年に発掘され、2001年に新鉱物として登録されたヒスイの仲間で深い緑色をしています。本来の結晶は単斜晶系(角が取れた四角柱)なので作中の形は空想の産物です。
……ルミノーバは人工蛍光染料の名前です。
……クラスターとは集まった塊の事です。




