★40……キャラバン管理方式
「そうか、ならいい。旅用の荷物は馬車に先に積めるがどうする?」
「それなら、僕がお世話になる商人さんに前もってあいさつしておきたいです!」
二人に了承してもらい馬車の隊列がある場所に向かう。
僕は目の前の広場を見回す。
広場は円形で、荷下ろしが済むと連なった馬車の長さが長いほど円の外側に並べられる。誘導はすべて広場中心の管理塔による。
荷下ろしの会社はたくさん有り、得意先や推薦などによりバラバラだが馬車自体は管理塔で一括管理されるので安心らしい。
噂では広場全体に不審者感知の結界を張っているとかいないとか。
まあ、小さい町だと宿で管理するらしいけど。フィロープは大きい町だからね。
管理塔も一ヵ所じゃない。
大通りの切り返しの位置が管理塔になっていて、おかげで方向転換は容易になっている。
僕らが向かったのは三段目の管理塔にいるプリークレット・キャラバン。
プリークレットは各国の首都に構えられ、そこからキャラバンで輸出入を行っているらしい。
僕がお世話になるキャラバンはジルミから北のゼルカとティルダを経由してリルミドに入り、風鳴峠を通ってジルミに帰るところらしい。
フィロープ(は首都ではなく国境近くの町)からジルミに入るのに二週間と聞いた……これまでの道程を思うと輸出入って大変だなぁ。頭が下がる思いだ。
で、目的の馬車周辺では持ち帰る商品の積み込み作業に負われていた。
「すみません。商隊長はどちらですか?」
「後ろの方にいるはずだ」
「ありがとうございます」
馬車の列をたどって行くと管理書類と格闘している人達がいた。
「あの丸い帽子被ってる人ですね」
リィシフルさんに言われて見ると確かに面接してくれたビスコースさんだ。
でも……忙しそうだ。
――――――――――---‐716字・円の外周には荷降ろしと配達の会社と休憩施設が並んでいます。
「声、かけづらいですね」
「明日出発だから確かに仕事は押してる感じかな?」
「俺達にはよくわからないな」
護衛扱いの二人は中身まではわかっていないようだ。
「こんにちは」
声をかけるとすんなり顔を上げてくれた。
「こんにちは。何か有りましたか?」
あ、あの顔はクレームか不備の報告だと思ってる!
疲れてるんだね。スミマセン。
「明日からよろしくお願いします」
「ああモリヤくんですね。こちらこそよろしくお願いしますね」
「僕はどの馬車に乗る事になりますか?」
話を聞くと、従業員だけが乗る車は前後にすぐ対応出来るように真ん中だけど、僕は食料を積んでいる馬車にとお願いされた。
護衛扱いの二人は前から二つ目らしい。
え?! リィシフルさんも戦うの? 強いの? ビックリです!!
謙遜するリィシフルさんに、ただの荷物持ちの僕は尊敬します!!
と話が離れてしまったけど、明日出発は変わらないようなのでとにかく荷物カバンだけ預けると早めに休もうと宿に戻り、明日から町を離れる旨を伝えて宿代を精算しとく。
一ヶ月……本当にお世話になりました。
「寂しくはなりますが新しい世界はいい刺激になるでしょう」
スコッチさんもポジティブ派のようだね。
こちらの罪悪感が減るので助かります。
「出発は明日の日の出です。お代はお支払いしますのでお弁当をお願いできませんでしょうか?」
僕的には昨晩の残りを詰める位でも全然いいと思っていたんだけど、アイリッシュさんが「任せなさい」と胸を叩いて言った。
お弁当を頼まれる事は結構多いらしい。
「お任せしますのでよろしくお願いします」
☆★
まだ暗いが翌朝。予定より早く目が覚めちゃったよ(苦笑)
お弁当は三つ用意されていた。
ちゃっかりキリトピオルさん達も頼んでいたらしい。ふた付きのカップがあるならスープも持たせたいとありがたい申し出も有り、買ったばかりの角水筒に入れてもらう。
お礼を言って僕らはプリークレットのキャラバン馬車に向かう。
――――――――――---‐799字・弁当持って遠足♪(違う)




