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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
リルミド
30/187

ル30……オーチェン雪崩

 オーチェン……僕のつたない英語知識ではわからない名前だった。

 トゲだとハリネズミとか?

 砦と街中半々に仕事をしているお兄さんもいて情報はいろいろ集まったが、いまいちわからなかった。

 でもお金は必要だし、僕にも砦への運搬の仕事を回してもらえるようにペリーさんにお願いしてみた。


「お前もか!」


 嫌な顔された。

 僕は現状の生活状況を話し、何とか週一回だけ行ける事になった。

 まずは経験だからこの位でいいかも。


 ペリーさんの店はキャラバンからの受取専門で、町の資材と人員の搬出は商店主たちが兼用で管理している馬車で行うらしい。

 そうして並んで走る馬車から外を見た僕の目に砦が見えてきた。

 左右を森にはさまれた崖に向かっているのかと思っていたら、その崖自体が人工的な石壁だった!

 正面に当たる真ん中辺りの壁が盛り上がっていて、そこにいくつもの窓が見えた。

 あれが砦なんだね。


 オーチェンはこちら側では発生していないので搬入は楽らしい。

 向こう側は他領主の土地らしいが、背中合わせの砦には多くの人員を集めていて、資材を渡せばいいんだって。

 壁は両方の領地の共有財産の扱いで修理には協力する決まりがあるみたい。

 見張る砦でなく境を明確にするための壁らしい。


 こちら側まで突き通る穴は少ないので、修理の人員も向こう八のこっち二。って感じ。

 でも壁の上まで一度上げての引き渡しは結構重労働だった。背中より足に!

 大きな門が一応あるけど、偉い人が通る時以外は開けちゃいけないのだと言ってた。

 結構不便だね。


 えっちらおっちら。僕は底辺が段ボールサイズの長い袋に詰めた石を背負子しょいこで運ぶ。

 搬入数は数を数えず人数で山分けなので安全第一! 急がない。少し余裕があった時に向こう側を見てみた。

 風景的にはこちらと同じ。左右が森で街道が平地に伸びている。

 砦の左右に伸びる塀の上は共用らしく、咎められはしなかった。


――――――――――---‐780字・安全第一!


 下では沢山の人が壁を直す作業を行っていて、モンスター避けか木材でやや離れた外周に柵が作られていた。

 なるほどと眺めていた僕の耳に、至近距離でドラを打ち鳴らすような大音響が突き刺さった。


 何事かと耳をふさぐと、傍の兵士が前方を指差して何か叫んだ。

 その先に僕は、実体のない影だけが動いているような、黒いじゅうたんが波打っているようなものを見た。


 何だあれ!? とつい耳をふさぐ手の力が抜けてしまった時、僕の耳にドラの音とともにオーチェンの名前が飛び込んできた。


 あれが!?

 僕が何とか見える位置の柵辺りを見ていると、黒いじゅうたんは柵に当たり止まったけど、そこで積み上がってからジャンプして乗り越えた個体を見ることが出来た。

 それは、ウニだった。


 そう、海にいるのとそっくりなウニ。

 海のとは別の生態系だという話なのであれは陸生なんだろうね。

 そうか~ウニはオーチェンっていうのか~。豆知識だね。(違う)


 ある程度柵で止められているうちに作業員たちは砦内に避難を完了していた。

 追いかけるように黒いオーチェンじゅうたんの先頭の一部が砦の壁に激突する。

 うわっ! 結構揺れる!


 そんな中、砦の門の前に仁王立ちする兵士が数人。

 誰かと傍の人に聞くと、オーチェンを素材として扱う専属のハンターらしい。

 門を死守して報酬をもらえて、オーチェンは自分たちの物に出来るので人気職らしい。


 その人達と比較して、オーチェンがハンドボール位の大きさなのが分かった。トゲを含めると三倍の大きさになるけどね。

 そのトゲは陸生ゆえか固くて、矢尻や槍の先などに加工されるらしい。


 僕は彼らの動きを観察してみた。

 先頭で戦っているのは剣士。

 トゲを受け流し、わざと剣をトゲの根元まで滑らせて根元を抉る。


 ――――――――――---‐732字・オーチェンと遭遇

オーチェン……私も苦手な部類です。

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