|29……ホームレス選択を迫られる
連休中の3日と5日には投稿します!
頑張ります!!
次は効果があるかどうか。
『手を突っ込んでもう一枚から手が出るか』
『手を出したまま鏡を移動させられるか』
『使用距離の確認』
『鏡の先でつかんだものを、鏡を通して引き寄せられるか』以上の検証が必要だった。
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そうこうしてバイトとスキル等の鍛錬で一月が過ぎようとする頃、僕は役所から呼び出された。
僕がここに飛ばされてきた原因の調査がやっと終わったのだと思った……のだが、違った!
何と! 調査結果は『不明』と知らされた。
暴発と思われる魔法残滓も発見されず、国外までの探索は出来なかったらしい。
これ以上調べても進展しないという事で、一か月での決定報告と言う訳だね。
この決定を受けて今後どうしたいか、僕は選択を迫られた。
選択肢は三つ。
『フィロープで住民権を取る』
町に家を買って、ここで働きながら生活するスタイル。
『旅人になる』
基本宿屋暮らしで、好きな拠点を持って好きな仕事をしていくスタイル。
『町守人になる』
家と食費を町で負担する代わりに町の固定兵士になるスタイル。しかしかなりの低賃金。
今までは宿代を負担してもらっていたからかなり気軽だったけど、ここで選択か……。
一つずつ潰していくにしても、住民権はまったくお金が足りないので無理。
旅人は宿代を自力で稼がないといけないから、かなり頑張らないといけない。
そして守人……言葉は優しいが何だか胡散臭い……低賃金の兵士なんて何をさせられるか、わかったもんじゃない。
嫌な言い方をすれば、やる気の無い人形への強制労働……飼殺しの囚人枠な気がしてきた。
突っ込んで聞くと、「強制はしませんよ。それでも良いという方だけにお願いする。」と返ってきた。
それでも望んで兵士になる人も少数はいるという事かな?僕は全力で遠慮したい。
――――――――――---‐738字・町の支援が切れた!
そうすると選択のしようもなく『旅人』に決まってしまう。
働かないと寝る場所も確保できないその日暮らしだけど一か月で少しは蓄えがあるから、本来の宿屋の金額を確認して拠点を決めないとね。もちろん仕事は続ける!
僕は覚悟を決めて、役所にゲストカードを返した。
これが無くなるといきなり厳しくなるだろう生活に不安に押し潰されそうな気持ちになるが、生きるって事はそういう物だと気持ちを引き締める。
こうなると速攻で覚えたくなるスキルが見えてきた。
中ランクの【影室】。
低ランクの【夜鏡】は固定の倉庫などから物を引っ張り出すための空間干渉スキルだが、基本の倉庫が無いと使えない。僕には使い勝手の悪いスキルになってしまった。
それを補う為に倉庫代わりに使うのが【影室】になる。
これは基本的に僕の影の中に存在する部屋なので夜鏡さえあれば日用品を運ぶ大きな鞄は必要無くなる。熟練度が高くならないと大きなものを取り出せないから練習は必要だろうけどね。
希望は持てる! がんばろう!
でも始めのうちは【影室】は内緒にしておこう。また商人に付け狙われたら適わない。
でも仕事の開拓はしたいな。
そして僕は現状をペリーさんに報告して、割のいい仕事を聞いてみた。
出て来たのは今も従業員を何人も回している砦の資材運びの話だった。
砦への約二十kgの資材運搬賃金は危険度込みで小貨十五枚。
そんな運搬をする原因なった、砦の壁に穴をあけるモンスターってどれだけ大きいんだろう。
大量発生とか言ってたけど……という事は大きさより数による連撃かもしれない。
小さくても数で雪崩を起こされたら逃げようがなくなりそうで怖い。情報が必要かな。
早速トランスポートのお兄さん達に聞き込み。
「あいつらはボールのように転がって移動するんだ」
「沢山のトゲが生えている。かなりトゲは固い」
「擬態能力があって動かないと見つけづらくて誤って踏んだりつかんだりする事もある」
「叩き割った中身は食える。でも好みが分かれる味らしい」
「海にも同じ形の生物がいるがモンスターではないらしい」
「モンスターの名前はオーチェンだ」
――――――――――---‐872字・生活の改善にはスキルが必要?




