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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
リルミド
25/187

25……バイト開始(笑)

3-12、0407投稿初日ユニ数15人。4/15までのアクセス数24回、ユニ数17回。

3-13、0409投稿初日ユニ数18人。4/15までのアクセス数30回、ユニ数22回。

3-14、0411投稿初日ユニ数16人。4/15までのアクセス数25回、ユニ数22回。

 旗は白い生地に目立つように灰色の星が五つ描かれている。確か白はシルムだったね。

 店前でペリーさんが忙しそうに皆に割振りしているところだった。


 まずは声はかけず、シルムの持ってきた商品を見てみたい衝動を優先することにした。

 運ばれているのはどうやら鍋や楽器、金属製の武器や防具のようだ。


 星が五個のは金属製品を運んでいるみたいだね。

 ふむふむとキャラバンの馬車の陰から見ていたら、僕を見つけた商人らしき人に肩を掴まれて馬車の前に連れて行かれた。


 え? あの……ちょっと!


「君はここの係りなんだろ? 遠慮してたら仕事がなくなるぞ!」


「ぼ、僕は、いいです!」


 だってまだ雇ってもらってないから。と言おうとしたのに、依頼書も確認しないで僕の背負子に束ねた鍋を勝手に積み始める商人さん! ちょっと待って!!


 ペリーさんに内緒で見学しようと離れた馬車の傍にいたので助けも呼べない……。

 どうしよう……と固まっていたら、ちょうどこの馬車目的らしい従業員の皆さんがこちらに向かってきた!

 天の助け!


「すみませんっ! 助けてっ!」


 か細い声でも聞こえたらしい。

 背負子に鍋を山盛りにされた僕を見て、あっけにとられた顔をしていた。


「ちょっと待て主人。こいつはうちの者じゃないぞ。他の業者とブッキングか?」


「え?」


 商人のおじさんが真ん丸になった目で僕を見た。

 勝手に積んだのは商人さんだ。僕のせいじゃない。


 僕が無言でため息を吐くと、やっと自分の間違いに気づいたみたいだ。


「そんなつもりじゃ……私は係りの人が来てくれたのだとばかり……すみません」


 正直に謝ってくれたので、僕はトランスポートの納品表を持っている人に役所から出してもらった求人票を差し出す。


「これをペリーさんに。すぐ使ってもらえるなら、ここの人員に加えてもらってください。そしたらこの積んでしまった鍋も降ろさないで済みます」


――――――――――---‐764字・間違われた見習い


 求人票と僕を交互に見たお兄さんは、頷くと急いで店に戻りペリーさんの前に行ったのが見えた。

 話を聞いたらしいペリーさんは大笑いしつつサインをすぐしてくれたようで、お兄さんはすぐ戻ってきた。


「OK取れたぞ。ここの商品は一階層の家庭雑貨の店行きだから荷車は使わない。気張れよ!」


「はい。よろしくお願いします」


「……すみませんでした。本日もよろしくお願いします」


 僕とお兄さんの話の流れから自分が問われないとわかった商人のおじさんは、神妙な顔でお願いしてきた。

 お兄さんも笑って手をひらひらさせるだけで済ませた。


「今回は、うちの店長のとこに行く途中のバイト君を主人がいち早く見つけたってだけだ。俺らの担当はこれだ。さっさと運び始めるぞ」


 商人のおじさんに納品表を渡しお兄さんが催促すると、商人のおじさんは馬車の中に踵を返し、該当の商品を馬車の端に集め始める。

 その箱をを片っ端からお兄さんたちが抱えて運び始める。


「ほら、モリヤだったな。お前もそのまま背負ってついて来い。店を教えてやる」


「あ、はい!」


 僕は呼ばれて腰を上げ、鍋の山を背負ったまま付いて行く。

 今回雑貨屋の納品に行くのは僕以外にお兄さんが三人。意外と少ない。

 それぞれ段ボール位の箱を二つ以上持っているのに。


「今回は納品場所の数が多いんですか?」


 前を歩くお兄さんに尋ねると首は横に振られた。

 昨日見た大部屋にはかなりの人数が待機していたはずだ。一か所にこれしか回せないのはちょっとおかしい。


「でも運ぶ商品数の割に人が少ないんじゃ……」


「その分割り当ての金額が多くなる。皆も気張るさ! 足はシャキシャキ動かせよ。もう一往復するからな」


「えっ!? これで終わりじゃなかったんですか!?」


「当り前だろう? キャラバンはそんなに頻繁に来ないからどこの店も大量に注文して買い溜めするからな」


――――――――――---‐756字・意外と大変な見習い


「そうなんですか……」


 そう言われてみたらその通りかもしれない。

 車や飛行機があるわけでも貨物列車があるわけでもない世界で、荷物を運ぶのは確かに大変だと思った。


 納得した僕は、付いて行くことで知ることが出来た雑貨屋の前でお兄さんが納品表を店長に見せているのを確認。そのまま倉庫に直に置くために全員奥まで通された。

 僕は倉庫内の低い箱の上に背負子しょいこを下すと肩を外し、中の鍋を下しにかかる。

 いったい何束乗せてくれたのか、把握できていなかったんだから仕方ない。一度床にでも並べて数えないと納品させてもらえない。


 あれ? 鍋に手をかけて不思議な感覚に襲われた。

 鍋が大量に乗っていた背負子状態と、今手にした鍋を紐で五個と束ねたものが同じくらいの重さに感じる。

 背負子ってこんなに運搬が楽になる道具だったんだ!

 使った事ないから知らなかったよ!(注・個人的な感想です)

 並べてみたら七束あったよ!

 一束小貨六枚×七束=小貨四二枚。往復なのでさらに倍の小貨八四枚(8400円)。

 何これ! キャラバン一回でこんなにもらえるの??


 ウハウハで店長さんを呼んで鍋の数を確認してもらう。

 そしてその数に驚かれた。


「どうやってこんなに一度に運んだんだ?」


「どうって……普通に背負子に乗せて背負ってきましたけど?」


 他に説明のしようもなく正直に答えたが、なかなか信じてもらえなかった。なんで?

 僕と店長の話が平行線なのを見て、お兄さんがため息を吐いた。


「店長。次に持って来る時に積む数を確認して運ばせてみる。今度は降ろす時から確認して見てくれないか? 一度目の七束分も二度目で納得してくれたら加算してやってくれ」


 仲裁してくれたお兄さんのおかげで、ここで足止めを食って時間を無駄にせずに済んでほっとした。


――――――――――---‐727字・初バイトでウハウハ

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