す187……呼び鈴
変異株オミクロンと言う名前で、これまで12回も変異しているという事に驚きを隠せません!
今年ももう12月です。過ぎてみると早いものです。
個人の近況は背中が重いです。寒いです。(風邪ではない)
娯楽で買っていく人が大多数なんだから、そんな専門知識いらないよ!
そう叫びたいけど堪える。
「お客の相手は僕がするから、調べた笛と似てる音と工夫で出せる音だけ教えてください。説明書として付けますから!」
僕が前に先生のリメイク服に付けたような小さめの木の板を数枚渡す。
板を笛の前に立てかけて使い、売れたら板も渡せばいいしね。
学者さんもそれで何とか納得してくれたが、新しく作る時は見せなさいと言われた。
「この町にいる間なら」
「行商人だったのか」
納得しかけた顔が歪んでたけど、検品が終了したら速攻店から追い出した。
店主に謝って手伝いを続ける。
木札のある笛がいくつか売れた。ワニのあくびとかよくわからない音のも。
そんな音を知っている学者にビックリだ。
僕的にはゲコゲコ言うのが面白いと思うのだけど、この笛にはフロークの鳴き声と木板に書いてあって短く吹くと求婚の鳴き声になるらしい。このゲゲゲゲゲッがねぇ。
フロークの生息域で使わなければ大丈夫かな?
そこな店も昼過ぎにはお暇する。今度は子供が親子で買い物に行くだろう市場の方へ移動する。
子供はやっぱりどこでも珍しい物が好きだからね。
開いている店に何件か手伝いを対価に委託交渉。
ある小さな屋台飯屋で笛を目に止めてもらえた。
でも四つあるテーブルの上に置いて、叩くと鳴るように出来たら置いてもいいと言われる。
ふむ。
レストランでの呼び鈴だね。
叩いて空気を送り込むという事は、アレだ。
家庭用ビニールプールやビーチボールに空気入れるポンプ!
弾力があって形が戻る素材と言うと、丸いアバ肉、饅頭型?
それと中が空洞だと潰れたままになってしまうので形を維持するために薄い金属の板をくの字型にして立てて入れる。上から押すと板が横に伸びて潰れるけど、板が戻ろうとする力を利用して中にまた空気を取り込める。
――――――――――---‐756字・アバをアコーディオン化出来れば良かったんだけどね。
あとは空気を取り込む穴に片向き弁が必要だね。
ん~タテガミヘビの鬣鱗がいいかな?
片側に穴を塞ぐように鬣鱗を取り付けた円形の筒を、鱗が内側になるようにアバ肉に差し込む。
既にくの字バネを中に入れた時に筒の反対側に笛を突き刺してあるのでこれで完成だ。
ちなみに円形の筒はタテガミヘビの食道製。伸びがいいので笛の吹き口に付けるチューブ代わりになったりする。
試しに押してみるとピヨヨヨと鳴いて周りから歓声が沸いた。
ビックリして振り向くと、店の踏み台を作業台にして隅っこにいた僕の後ろに何故か人ごみが出来ていた。
「こんなに簡単に作っちゃってスゴイ!」
そう言ったのはこの店の息子さん。
僕よりは年下っぽいけど体格はいいのにDIY好きみたいだ。
僕の場合は技能の『DIY』と『見立て』が働いて何を使えば一番良いかひらめくし、組み立ても設計図みたいのが頭に浮かぶんだよね。
材料をじっくり観察すればより正確に精巧に作り方が浮かぶので、その通りに組み立てているだけなんだ……何だかいたたまれない。
とにかく、音違いの笛を用意しておいて完成した方を息子さんに渡すと、早速テーブルにいる客に自慢げに説明を始めた。
注文したい時に押してもらい、代金は料理が来た時に引き換えにするので会計の呼び出しの手間が無いようだ。ビーチルシチューが一番人気らしい。
材料のビーチルを狩ってきて一定量以上店に持ち込むとシチュー三食無料券がもらえて、素材は報酬として返してもらえるシステムがあるようだ。
一度に大量に持ち込んでも無料券は増えないので小数を定期的に納める人が多いとか。
ちなみに、ビーチルは蜂の子です。
料理には絞り出した体液を使うので形が苦手な人でも食べやすい。
店は順調にお客を呼び込んでいるけど、(本当は始めの一つは入店時の確認ベルのつもりで作った)後三つも催促されたので店の隅で作りながら店も見回してみる。
少しだけど子供連れもいて笛のあるテーブルで何回も押そうとして親に止められていた。
これも特許出しとこう。
――――――――――---‐831字・作者も蜂の子は食べた事ないです。
●ビーチル
蜂の子。蜂+子から。
シチューのルーの一部に使われている。




