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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
リルミド
17/187

17……弱い火魔法の秘密

2-16、0305投稿初日ユニ数25人。3/13までのアクセス数43回、ユニ数30回。

2-17、0307投稿初日ユニ数26人。3/13までのアクセス数48回、ユニ数30回。


「すべて……と言う話ですと、口頭よりも歴史書でご覧いただいた方がしっかり学べます。今日は世界の歴史の中で一番新しい事件。世界規模で火魔法が弱まった件についてお話しさせていただきます」


 シスターが神妙な顔をした。


「この世界では魔法を精霊の力を借りる事で行使する事が出来るのは、精霊そのものを見るすべを持たない者達にとっても周知の事実です。

 精霊は強くなるに従い明確な自我を持ち、大きな姿を形作ります。

 そして生き物すべてに【星】と呼ばれる精霊が宿っていると言うのもよく知られている事ですが、その内なる精霊が強いと魔法を強く、多く行使する事が出来ます。

 ここで登場するのが【銀燐石】の精霊です。

 我がリルミドにおいて多くの樹木が星の固形化した【呼玉よびだま】を内に宿す事で自我を持つように、呼玉を宿して生まれた銀燐石は自我を持ち精霊の姿を形作る事で、人と関わってきました。


 ここで確認ですが、【星】は基本的に魔法の種類を選びません。しかし万能では無く、属性を持たずに魔法を行使するために【呼玉】を使用する事があります。

 モンスターの内から取れる呼玉は一つの属性しか使えないのですが増幅する機能があるのです。


 話を戻しますが、

 銀燐石の精霊は今は無きタータという国の守護精霊で月属性の呼玉を持っていました。

 一番大きな力を持った銀燐石の精霊は、紫色の上質な筆のように流れる髪に黒い瞳の美しい女性の姿をしていました。


 その銀燐石の精霊を見初めた者がいたのです。

 それは、火を司るカルルヒの守護精霊でした。

 しかし彼女にその気は無く、友人としてシルムの守護精霊とよく仲良くしていました。

 それを見て嫉妬したカルルヒの守護精霊は彼女の気を惹こうとタータの民に干渉していきます。

 それは自国の民を使いタータへの侵攻と言う形になり、民を疲弊させていったのです。

 その干渉がタータの王族にまで及び、結局タータ国を滅ぼす形になったカルルヒはタータから絶対的な拒絶を受け、それはカルルヒの力の減少につながったのです」


 ――――――――――----826字・カルルヒの守護精霊の自爆話でした。(笑)


 ああ~自爆?

 おそらく外堀を埋めようとしたんだろうけど、陰でコソコソはストーカーだよ!

 しかも国ごと拒絶されて凹んだのが世界に影響を与えたってどんだけ!!


「今でも銀燐石のすべての精霊が石に閉じこもったままなので、石が見つかってもその力が人に対して恩恵を与えてくれる事はいまだにありません。寂しい事です」


 でも折角自分が守護してた国が壊されたら、怒るの当たり前だよね。

 人間だって嫌な思いしたら気持ち引きずる事やっぱりあるし……時間の概念があんまり無さそうな精霊だったら長引くのは当然って言えば当然かも。

 もうこれは復讐が形を変えた呪いだね。


「ですので世界規模で火の魔法が使い辛くなっています。代わりに光の恩恵の強いシルム、ジルミ、ティルダの魔法が用途に分けてよく使われます」


 ああ~自爆の上に敵に塩を送る結果に……なんか哀れになってきた。


 まあ、話はわかったけど一庶民の僕にはどうしようも無い話なので受入れるしかないかな。

 覚えてだけは置こう。


「お話ありがとうございます。それで、魔法とかスキルとかの使い方の教本とかはあったりしますか?」


「学校で配るような本でしたら、図書館にありますね。どなたかの研究成果なども中には閲覧出来る物があるかと思います」


「そうですか。ありがとうございます。行ってみます」


 魔方陣の部屋から出てシスターに見送られ教会を後にする。

 僕の隣にはファイさん。


「またやらなきゃいけない事が増えちゃったわね」


「そうですね。仕事の合間にやってみますよ。急いでるわけじゃないですから」


 僕が軽い調子で言うとファイさんもそこまで重くは取らないでくれたようだ。

 そんな話をしながら、魔法を視野に入れつつ僕は町から出る門をくぐっていた。


 ――――――――――----710字・こんな秘密でごめんなさい。

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