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段ボールの底はどこですか?  作者: きりみっ
リルミド
16/187

16……僕の魔法属性

2-14、0229投稿初日ユニ数19人。3/13までのアクセス数35回、ユニ数25回。

2-15、0303投稿初日ユニ数29人。3/13までのアクセス数52回、ユニ数36回。


「森の探検はどうだった?」


 歩きながら聞かれたので、僕は正直に「おっかなびっくりでした」と答えた。


「僕が住んでた所とは何もかも違います。モンスターとかも住んでませんでしたし、魔法もなかったです」


「見た感じ適正はありそうだけれど? 調べてもらった事は?」


「ないです」


「そう……じゃあ外に行く前に調べてもらいましょう」


 ファイさんに促されて向かったのは、教会に似た白くてとんがった建物。

 調べるのは役所じゃないのかな?


 こちらには十字架を掲げる風習は無いみたいだ。

 あ、あれはキリスト教だからだね。

 貼り付けになったキリストを簡略的な造形物にしたのが、確か十字架だったはず。

 じゃあこの世界の宗教象徴は?


 両開きの入口の両扉とその上の壁に図形が描いてあった。

 二重丸の上に五芒星。

 ん。簡単な魔方陣みたいなのだった。

 外円と内円の間だけ緑色に染めてあり、あとは白いままだ。

 壁の五芒星の前には立体的な葉っぱのモチーフがくっつけてある。

(下から見ているから立体的なのがわかっただけ) 


 葉っぱ。つまりリルミド(リ国)は植物を象徴にしている国なのか。

 道理でイフェリオちゃん木々の意思を尊重していたはずだ。


 中に入ると両サイドからのステンドグラスの光が降り注ぎ、床を花畑のようにしていた。

 しかもステンドグラスの下には壁沿いに花壇が造られていて、とても室内の環境とは思えない規模だった。


「ようこそ、我が教会へ」


 僕達が入って来たのに気付いて、花壇の草むしりに勤しんでいたシスターがあいさつをしてきた。

 ファイさんが軽く手を振る。


「こんにちは。ちょっとこの子の魔法属性を調べて欲しいの。頼めるかしら?」


「はい。承ります」


 僕はシスターに促されて、床にあの魔方陣が大きく描かれただけの小さな部屋に来た。

 この魔方陣に色は無く、白い床に黒い線のみ。


 ――――――――――----745字・お花畑な教会


「陣の中央にお立ちください」


開霊風カイレーフー


 言われるまま僕が真ん中に立つと足元の魔法陣の黒い線がぼんやり光り始める。

 怖々見ていると光の色が変化している部分が見え始める。

 外円と内円の間から紫色の光が。

 五芒星の先三本からそれぞれ白、黄色、輝く粒子の光が。

 五芒星の中央が赤、青、緑のマーブル模様の光が。

 逆さまなオーロラのように立ち上がっていた。


「土と音と風が中。そして珍しいですが月が大。ですね」


 あと中央にしか出ない色の属性は生活に使う程度にしか伸びないそうだ。

 僕の場合は火、水、木は弱いらしい。


「火魔法が弱いのは、世界的な規模なのであなたのせいでは無いと思われますが。

月属性を強くお持ちの方は本当に珍しいです」


 シスターがとても興奮している。

 僕はよくわからないので、ついファイさんの顔を伺ってしまった。


「月属性は夜魔法と言ってね、今は無くなってしまったタータという国の人が多く持っていた属性なのよ。黒い髪の人が持つ事が多いわね」


 そう言って僕の顔を見た。

 あ、前髪?

 見えないだけで後ろも黒いのはファイさん知ってるしね。


「月属性は持っていると【夜目】、【夜の祝福】(夜間の危機回避上昇)に、【予知夢】(夢のお告げ)【夜鏡】(空間干渉)など現在の生活ではとても使い勝手が良いスキルを多く習得出来るのです!」


 シスターの興奮はなかなか冷めないようだけど……「現在の」ってどういう事だろう?


()は違ったんですか?」


 僕がぽつりと漏らした一言でシスターがハッとした顔をした。

 聞いちゃいけなかったかな?


「この子ね、辺鄙なとこに居たみたいでよくわかってないのよ。出来たら教えてあげてくれるかしら?」


 ファイさんがやんわりと告げると、シスターも落ち着きを取り戻したようで頷いた。

 何だか表情から察するに重い話みたい。気を引き締める。


 ――――――――――----758字・タータの夜魔法!会話だけですが登場です!

●魔法解説

開霊風カイレーフー

体内の【星】の精霊に働きかけ、内在する属性を風魔法で魔法陣の上に顕現させる魔法。

【星】については次話の解説回をご覧ください。

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