14……兎尾玉
2-10、0221投稿初日ユニ数23人。3/13までのアクセス数60回、ユニ数35回。
2-11、0223投稿初日ユニ数47人。3/13までのアクセス数87回、ユニ数59回。評価7
「次は形の加工するから、警戒しながら休めるとこ移動」
しかもさっさと行っちゃうし……
付いた先は大きな岩のある場所。
確かに、この上に居れば何かが近づいて来ても余裕を持って対処できそうだね。
「動物の気配は気配感知で見つけるけどモンスターと混同するから、危機感知でモンスターの気配と判別する。
だからここで違いを覚えると良い。あたしは魔法に入る」
ここに来て実地訓練って……未だに先生気分が抜けていない?
まあ、やった方がいいのはわかるけどね。
魔法使うって事は役所の人みたいに集中するんだろうし、その間僕に警戒して欲しいって事だね。
「了解です。警戒して見てます」
僕が言うとイフェリオちゃん頷いて岩の上に二本の枝を置くと両手をかざす。
「整体木」
言葉の発音ではどんな漢字を当てているのかわからない場合もあるけど、この言葉はわかりやすかった。
整体ってあの関節ボキボキやって身体の歪みを解消する奴の事だろう。
つまり対象の歪みを消し、形を整えるんだろう……と思う。
生きている枝にしか使えないって言ってたから、無機物の変形は別の魔法なんだろうなぁ。
そんな事を思いながら眺めていると、自然な湾曲を描いていた枝が強制的にまっすぐになり、残してあった横枝がうまいこと形作って僕が求めていたL字型の棒になった。
おお~っっ!! 密かに欲しいと言っておいたL字の端の爪もしっかり付けてくれていた。嬉しい。
「すごい……」
僕のつぶやきに一度顔を上げたイフェリオちゃんは、周りを見回してからおもむろにリュックから空の糸車を取り出した。
今度は何を?
「糸化木」
左手で糸車を持ち右手の人差し指の平を、まっすぐになった枝に触れてイフェリオちゃんがつぶやき指を離すと、指に糸のようなものがくっついてきた。
その糸を糸車に引っ掛けて回し始めると、枝から際限なく糸が取れていく。
不思議な魔法だ。
――――――――――----780字・魔法が二つも出てますが話の中で説明されます。
先に『際限なく』と思ったが良く見ると、枝の表皮が糸の取れるごとに薄くなり消えていっていた。
まるで綺麗に表皮をはがして加工している様子だ。
それと一緒に枝に残っていた枝葉が枯れ落ちていく。
制作と破壊が同時に起こっているように見える……何だろうこの感じは。モヤモヤする。
そんな考えを巡らせていたらガサッと音がしてビクッと振り向いた。
いけない! 僕は今、見張りだった。
警戒した先にいたのはソフトボール大の毛玉。
ネズミ?
にしては毛足が長い……こっちの限定動物か?
しかもあの色は……全体は琥珀のような黄色なのに毛先にかけて赤くグラデーションがかかっている。
まさに石黄色。僕の知識で行くと石黄はヒ素の塊。つまり毒物だ!
まずは動物かモンスターかの判別だけど……わからない(汗)
「あれはウサギ。種類はテールラビット」
テールは確か「しっぽ」だったね。
ってか魔法使用中でもしゃべれたんだね。僕も聞かなかったけど。
でも……あいつしっぽ無いみたいだよ? ウサギらしい耳も無い。
「あるけど毛の中に隠れてる。ウサギだから足は大きいモンスター」
「えっ?」
今モンスターって言った?
小さいけどこれもモンスターなのか……って事は人を敵視するのかな?
見た目はかなり可愛い部類なんだけどな。
「テールラビットは雑食だから何でも食べる。もちろん肉も」
イフェリオちゃんサラッと言ったね!
そこでやっと僕はテールラビットの視線に違和感を覚えた。
これってもしかして……獲物として見られてる!?
僕はすでに硬直して上手く動かない自分の足に動揺しつつ、手持ちの武器を構えた。
僕は刃物ではなく、節くれ立った竹の根っこのような形の棍棒を持って来ていた。
仕方ないじゃないか……包丁ならともかく斬り殺すために刃物を持つ事が怖かったんだから。
「キィ!」
鳴き声と共にテールラビットがジャンプの勢いで突進してくる。
――――――――――----775字・小さいけどモンスターとの初遭遇です!
●なんでしっぽのないウサギがテールラビットなのか。
名前の由来はウサギのしっぽみたいに丸い。という安直なものです。
(命名なんてそんなもの)
こんな警戒色丸出しの生き物にする予定はなかったのですが……体が小さい分警戒することで危険を回避する自然な進化と思ってください。
カエルとか蛇にも現実にそういうのがいますよ。




