ル105……スキルによる攻撃と防御について④
なかなか話が進まないのはキャラクターがしゃべりたいことを全部しゃべらせようとしている為です。
読みづらかったらスミマセン。
僕の目線の先には大の大人が足の痺れに悶え唸る様子が繰り広げられている。
正座した自分の表面に反射をかけると発生する弊害だね。
そうしてそれを防止しようとすねの下まで覆うと第二の事案が発生する。今も一人叩かれた拍子にひっくり返って頭を床に打ち付けて悶えている。
僕だってあのまとい方じゃ床と設置面に反射が働いてしまい転ぶ。
おもいっきり転ぶ。
だから僕は膝から下、足先までは反射をまとっていない。
これで上手くいくとお尻が少し浮く。
これですねが痺れることはない。床との設置面が擦れるのは我慢するべき些細な痛みだ。
他に注意するのは叩かれてスキルが散る事くらい。
「そこで即再発動しないと練習にならないだろう?」
ぬう、そうだよ!
これはそう言う練習だよね。
「転んだ子も即発動出来れば痛い思いをしなくて済むじゃないか」
どんなに瞬間的な物でも、「あ」と思う瞬間ってものがある。
その「あ」の時にスキルを体に広げると言う作業らしい。
そう言いつつ先生は反射をまとわせた警策を僕のひざの下に滑らせる。
あ、再発動は間に合わず見事に転ぶ。
先生の顔がスゴイ楽しそうなんだけど……見返したい。
あんまりコロコロ転がってしまうので先生のテンションが上がり過ぎな気がしてきた。
参加者たちも何とか持ちこたえようと奮闘している。
そういう僕も、何回か繰り返しているうちに転んだ瞬間に武器である棍棒を床に立てて踏ん張れるようになった。
「武器を使う余裕があるならスキルを広げなさい!」
「あ」
棍棒を払われて、結局転ばされる僕。
でも全身に一瞬でスキルを広げるのはかなりの難易度になると思う。
だから今度は棍棒に反射をまとわせてみた。効果を反作用で!
反射しろじゃなく、反射するなとイメージして自分の前の床に立てる。
棍棒と言う杭一本で身体を支えている状態だけど、他のみんなみたいに飛ばされないで済んだみたいだ。
――――――――――---‐793字・寺の座禅って住職が楽しそうなのは気のせい?
「スゲーッ!」
転んだ他の参加者が僕の踏ん張っている姿を見てつぶやいた。
その人等は転んで滑って壁側のクッションに埋もれた瞬間に反射で跳ね返され、元の位置に戻ってきていた。
先生の作ったトラップは中々面白い。
「少し休憩するよ」
そう言った先生の鞄から大きさの合わないバスケットが取り出され、全員が目を丸くした。
あ、あれは、【上級影室】!
思わずにじり寄っていると、先生に笑われた。
「月の属性が高くないと技スキルの【夜鏡】と【影室】は作れないよ。スキル的にも【無効】が必要だからね」
「でも先生。【夜鏡】は初心者教本にも載ってます」
参加者の一人の言葉は僕も思う処だね。
先生も「そうだね。」と頷いた。
「教本に載っている【夜鏡】だけど、載せているのは読んでいる人達の興味を引くことが一番の目的さ。
容量が多い鞄は誰でも持ってみたいという欲求を後押しして使える人材を増やそうという策略とも言えるね。
まあ、属性の適性が高くないと作れないんだけどね」
む、本を信じて覚えた【夜鏡】だったけど適正が高くないと作れないものだったのか!
……作れたからいいけど、かなり危険なんじゃ?
「実際、教本を読んで【夜鏡】を作って意識を失ったりする者も少なくないね」
「え!?」
「【夜鏡】を使うのには『無効』で空間を飛び越えるからね。
実際あれは初心者教本に書かれるような技スキルではないよ」
先生の話ぶりは「初心者に覚えられる技スキルではない」という事なんだろうけど、僕は使えてるし、鏡のせいで枯渇したことはない。(おそらく)
「じゃあ、先生みたいな上級に上がるのにはいったい……」
「苦労する事かな?」
「はい!?」
「鞄に収まらない大きさの獲物を、盗賊や野生動物の襲撃から守って町まで担いで帰る……懐かしいね」
――――――――――---‐827字・修練に苦労はつきものです。




