|104……スキルによる攻撃と防御について③
高の場合は身体強化の更なる強化版の耐性一時獲得に当たり、敵に使われると全ての状態異常を無効にされる。
恐ろしい。
距離と空間の概念も無効になっているので、移動術の元になっているスキルらしいよ。
こうして見ると月のスキルは近接戦闘用の補助スキルっぽいね。
講習が終わったら危険察知の瞬間にこの【無効】のスキルを纏えるようになっていた。
先生の威圧訓練はかなりのスパルタだった……。
見えない角度からの不意打ちに対応出来るようにだろうけど。
今のところはそんな場面には遭遇していないけど、緊急用に必要なんだと先生もわかっているらしく苦笑していた。
おまけに珍しがられて月(のスキル)持ちは年齢関係なく攫われやすいと言われた。
僕を含めた参加者が先生から一歩引くと、苦笑した。
「今回の講習の講師は参加者のスキル非公開が契約に入っているから安心していいよ」
そんなのが契約にされるくらい危ないのか!
対策を考えないといけないかな?
「月以外で適性の高いスキルがあれば、そちらを鍛えて月は緊急時以外は人前で使わないのも手でしょう」
確かに人前で使ってなければスキルは持ってることはわからないってことになるよね。
月も使い方によっては他のスキルだと誤魔化す事も可能かな?
身体を覆うパターンと見える攻撃なら影で弾けばそらせる。
相手側にははみ出さないので他属性に偽装可能そうだね。
「でも、そんなに月は危ないんですか?」
「危ないと言うか便利すぎるんだよ。
反射の付いた防具は劣化が少ない。
停止の付いた鞄の中身は腐らない。
無効が自在に使えれば何にも傷つけられず、移動もスキルで行える。
その力を正しい者が導けば賢者にもなれるだろうが、利用しようと近付かれて傷つけば歪んで……人間不信で最悪、魔王にだってなってしまうかも知れない」
――――――――――---‐747字・人の悪意と闇は相性が良すぎます。
「魔王はさすがに言い過ぎじゃあ……」
「いい例が怒りを爆発させたタータ国の守護精霊だよ」
あ、教会で聞いた話だね。
しつこい男にキレて月の力を撒き散らしたガーディアナだっけ?
(真実は違います・プロローグ参照)
規模は小さいながらも僕の身にも起こりえる事態ってことか。
怒らなければいい?
あ、怒る理由を見せないのが月のスキルを隠すって事か!
「教本に乗るような技スキルは特に重宝されるものなので、載ってるからと安易に覚えて見せびらかして消えた者も実は多くいます」
ギクッ
「どうやら何人か心当たりがある様子だね。
さっきも言ったように、契約にあるので私が告げ口する事はないです。
『明日は我が身』です。皆さんもお互いに秘匿する事!
今回の参加者は適性は低いがやる気だけはある子達という事で報告します。
わかりましたね?
こんな話を聞けたって事が参加して良かった点になってくれたら嬉しいな。
役所もわがままな上流階級から民を守る側なので、隠している事まで探ったりしない。
どこまで信用するかは個人の気持ち次第だけど、余り頑なになって欲しくはないね」
ホントにどこまで信用したらいいんだろうね。
「私はタータの生き残りの人々とも交流を持っていますが、
ここの全員にその村の情報を与えたいとは思えませんし、とにかく月スキルの修練は低と高は身にまとう事。
中は採取した薬草にかけて鮮度持続時間を延ばす事から始めるべきです」
そうして反射をかけた身体(肩)を警策で叩く訓練。
痛くてスキルが散ったら失敗。
散っても痛くなければ最低限の成功みたいだ。
僕は平気だった。
それを予防する意味合いのまとい方をしていたからね。
そうでないと他の参加者と同じ末路だ。
僕の目線の先には大の大人が足の痺れに悶え唸る様子が繰り広げられている。
正座した自分の表面に反射をかけると発生する弊害だね。
そうしてそれを防止しようとすねの下まで覆うと第二の事案が発生する。今も一人叩かれた拍子にひっくり返って頭を床に打ち付けて悶えている。
僕だってあのまとい方じゃ床と設置面に反射が働いてしまい転ぶ。
おもいっきり転ぶ。
――――――――――---‐897字・月スキルの話もうしばらく続きます(苦笑)




