★100……恐怖の『威圧』疑似体験
★彡祝100話★彡
ここまで来ても、いまだに情けない部分のある主人公をこれからもよろしくお願いします。
その後はペットショップのエサやりのバイトを一日やって基本戦闘講習に参加。
「武器によって自分に合ったものがあるものです。
ここでは身の丈に合う武器の選定をしましょう。
武器の使い方は種類が多いのでそれぞれのベテランが教官になった講習があるので参加してみてください」
今回は戦闘講習なのに教官が女性だね。
沢山の武器をテーブルの上に並べて参加者に手に取ってみるように勧めてくる。
僕は持ってみた結果、棒術らしい。
切りかかる戦いは得意じゃないから良いかもしれない。
今のマイ武器の棍棒は長い付きあいになりそうだ。
「今日行うのは武器を使う以外の戦闘の基本です」
風上と風下そして【負荷】や【阻害】を使った獲物の集め方、散らし方。
こちらが相手を把握できていない場合、逆に威圧や風に乗って来た臭いなどで状況を把握する事が必要。
それが出来ないと奇襲を受けたりする危険があるそうだ。
危機感知、または気配察知の技能がないと初心者の冒険は危ないって。
「そう考えると自分の実力をわきまえてこの講習を受けに来てくれたあなた達は見所があるとも言えます。
今日は危険を感じる実体験をしてもらいます。
えーと、動物やモンスターを連れている人は出しておいてもらえるかしら?」
何かわからないけどオピを袋から出して抱っこする。
ん~ふわふわのサラサラだね。
「準備が出来たらその場で私に背中を向けて立ってくださいね。行きますよ~」
全員の準備が出来たのか声がかけられた瞬間! オピの全身の毛が逆立った!
手触りの変化がスゴイ。
毛が立っているから指を通すと肌に直に触れることが出来るよ!
その肌がブルブル震えている。乗せている腕にかかる足の爪に力が入っている。
恐怖でいつでも逃げられる体勢だね。
――――――――――---‐713字・オピのオーチェン化(笑)
他を見ると主人にしがみついて震えている子。
逃げ出して主人が慌てて追いかけている子。
何事もない様子な子。
そしてオピのように身構えている子。
「今のが技スキルの『威圧』です。
これは相手が怒っている時に発生します。
動物は変化に敏感なので、連れているだけでも危険を回避しやすいです」
そうかもしれないね。
怒って殺気放っている強者の傍に居たら、どうなるかわかったもんじゃないもんね。
「しかし主人である皆さんが威圧に無自覚では危ないので、これから少しずつ威圧を強めながら放って行きます。
今怯えている子は補助職員の風海の中に置いてあげてくださいね。
皆さんも怯えて震えるまでの我慢はせず、威圧を感じたら座ってください」
姿を見ないでも殺気を感じろって事ですね。難しそうだ。
僕はオピを部屋の隅にいる職員さんに預けて、言われるまま教官に背中を向ける。
そうするとオピのいるところが良く見えた。
「始めますよ~」
教官が後ろからそう言った途端、風海の結界の中のオピの毛が再び逆立った。
あれって結界の意味がないんじゃないのかな?
結界の中のオピが毛を逆立てるのをやめてブルブルしながら不貞寝を始めた(ように見える)頃には僕の傍にいた人達は座り込み、僕の事を信じられないものを見るような目で見上げ始めた。
そんな目で見られても、わからないものはわからないんですってば。
内心困っていると、肩に手が置かれた。
何気なく振り向いて、僕は物凄い憤怒の形相の教官とご対面した。
「あ」
顔を合わせた途端に足がガクガクして座り込んでしまった。
これ、腰が抜けた?
それを確認して平常のビジネススマイルに戻った教官が、ポンと僕の頭に手を置いた。
「視覚からの情報に感覚が偏っているようですね。
疑似体験も視覚を伴わないと経験に反映しづらい体質ですね。気を付けて訓練してください。
今日の威圧体験はちゃんと経験になっていると思いますので、落ち着いたら確認しましょうね」
「は、はい……」
――――――――――---‐805字・腰が抜けたの二回目(笑)




