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違和感
朝目を覚ますと不思議な感覚に襲われた。
まるで体の中に自分のものではないものが流れているような。
しかしその違和感も一瞬で、自分の体を見ても何も変な所はなかった。
俺は初春知希、普通の高校二年生だ。不思議なことや非日常などとは全く縁がない。
時計を見ると八時前だった。
家から学校までは二十分、結構ぎりぎりだ。
急いで支度をして家を出ると、一人の男が話しかけてきた。
「よう、知希。いそがねえと遅刻するぞ!」
こいつは秋峰隼人。中学からの友人だ。背は高めで学校では人気者だ。
「おはよ隼人。お前がこんな時間に登校なんて珍しいね。」
ちなみに隼人は小・中・高と皆勤賞を逃したことがない、優等生だ。
「ああ、ちょっと眠れなくてな。」
「なにかあったのか?」
「いや・・・それよりも早く行こうぜ!ホントに遅れちまう。」
どうやら聞いてほしくないらしい。
まあいつものように女絡みの何かだろうと思い、気にしないようにしていた。
俺たちは学校に急いだ。