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血縁より絆 ~家族より仮族~  作者: しろゆき
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新居

 下宿先の家は、思った程古い家ではなかった。庭がキチンと手入れされていた。家庭菜園もあった。駐車スペースも、玄関に近く駐車し易そうだ。

 室内は、水周りがリフォームされたばかりの様で、きれいだった。一階と二階にそれぞれ洗面台とトイレがあった。風呂場は一階だ。

 下宿部屋を見に行った。不動産屋で話していた通り、東向きの朝日が良く当たりそうな大きな窓があった。部屋の壁はきれいになっていた。窓もピカピカに磨きあげられていた。床は……畳だった。フローリングだと思っていたので、驚いた。床が畳なのが気に入らなかったが、家賃が安いのと、水周り等の共用スペースを掃除しなくても良いのはとても魅力的だ。

 さらに、一人暮らしをすることで防犯のことが大いに気がかりだったのだが、下宿ならかなり心配度が軽減するだろう。何よりも来週から新しい営業所に勤務するのだから、今週末には引っ越しをしなければならないのだ。この下宿に決めることにした。

 「契約したい」と家主夫妻に言ったら、その場で契約成立となった。今月分の二万五千円をすぐに支払った。敷金や礼金は、月の途中なので今月分の家賃に含めてくれると言ってくれた。

 家主夫妻に、勤務先への初出社の日が迫っているので、今週末には引っ越しをしたい事を話すと、了承してくれた。インターネットの環境はどうなっているのか知りたかったが、とりあえず暫くはスマホで我慢しようと思った。

長年ベッドで寝ているので、下宿先でもベッドで寝たい。畳の部屋にベッドを入れても大丈夫だろうか? 家主夫妻に確認すると、ベッドを運んでも良いとの事だった。実家のベッドは古いので処分して、新しく買って店から下宿先に運んで貰おう。

 「引っ越し作業は、私たちが重い荷物を運ぶのを手伝うので、業者に頼まずやってみないか?」とトミオさんが言った。

 確かに、引っ越し業者に依頼すると結構な金額になるので、痛い出費だから、ありがたい申し出だった。それに引っ越し作業は信頼できる男手があった方がいい。家主さんなら信頼できるだろう。実家から運ぶ物は自分の車に乗せられるものだけにして、必要な電化製品は買って店から運んで貰う事にしよう。

 家主夫妻に「自分の車に乗せられるモノ以外はみんな新調して店から運んでもらうので、車から下宿部屋まで運ぶのを手伝って頂けるなら、引っ越し業者に依頼しなくても大丈夫です」と話したら、ちょっと安堵した表情になった。家主夫妻も下宿人の引っ越しは初めてなので、引っ越し業者に家を出入りされるのは抵抗があったらしい。

 だが、引っ越し業者が出入りするのも、店からの運送業者が家具や電化製品を下宿部屋に運び混むのも殆ど変わらない気がしたが、なぜ家主夫妻は引っ越し業者を嫌がったのか不思議だった。


 翌日の木曜日、地元の量販の家具店と電気店に行って、木製のシングルベッドとベッド用品一式とテレビ、掃除機等を購入した。県内だが、少し遠い貝岸市でも運んで貰えるか確認をしたら、オッケーだった。

しかし、土曜日は店側の配送予定がいっぱいなので、最短でも日曜日になるそうだ。それなら仕方がない。日曜日に下宿部屋に運んで貰える様に依頼した。


 金曜日、住所の転出入届を済ませた。地元の市役所に行き転出届とその他関係する手続きを行ない、それから、貝岸市役所に行って転入届を行なった。住民票を一通取得して、貝岸警察署に行き自動車の運転免許証の手続きを済ませた。これで私は、貝岸市民だ。

 私の新たな住処になった下宿先に行って、家主の奥さん、スミコさんに転出入届が無事済んだことを報告した。改めてこれからお世話になるお願いをしに手土産の煎餅を持って行った。

「お気遣いありがとう。無事に済んで良かったわ。引っ越しの受け入れ準備はできているので、安心して来てちょうだい」と笑顔で言ってくれた。

「安心して来てちょうだい」と言うスミコさんの言葉を聞いて、この家主さんたちと上手くやって行けそうな気がして、少し安心した。

 スミコさんにお礼を言って、地元に戻った。郵便局に郵便物の転送届を出して、百円ショップに行った。これから必要になりそうな生活用品を思いつく限り買った。着々と引っ越しの準備が出来て来た事がうれしかった。

土日で実家を引き払い、私は完全に貝岸市民になりカトウ家で下宿生活を始めるのだ。下宿とは言え、実家から出られることがうれしくて、とてもワクワクした。


 土曜日。実家から荷物を車に積み込みカトウ家に向かった。

午前中にまずは部屋の掃除から始めた。一通りきれいに掃除はされていたが、念の為に掃除機を掛け、拭き掃除をした。エアコンは、息子さんが使っていたものがそのまま取りつけてあり、フィルターの掃除をしてあるので、すぐに使用できるらしい。

 実家から持って来たものは、服とタンスとこたつ、小型の湯沸かしポット、掃除機、ドライヤー、ノートパソコン、百円ショップで買った生活用品。文庫本と身の回りの小物。車に詰め込めるだけ詰め込んで来た。

 約束した通り、家主夫妻が車から下宿部屋に運び込むのを手伝ってくれた。

 やっぱり、引っ越しに男手は必要だ。トミオさんが手伝ってくれたので何とか運び込めたが、タンスやこたつなどは私一人では車から下宿部屋の短い距離とはいえ、すべて運び込むのは無理だっただろう。手伝って貰えたことは、改めてありがたいと思った。

 午前中は部屋に荷物を運び込んだだけで、終わってしまった。

少し遅い昼食をとりに近くのファミレスに行った。ハヤシライスを注文した。とても腹が空いていたのでとびきり美味しく感じた。疲れているせいか、糖分が欲しくなりドリンクバーのメロンソーダーをたっぷり飲んだ。

 下宿部屋に戻り、家具の配置を考えた。明日届く事になっている電化製品とベッドのスペースも頭に入れておかねばならない。実際に届いてからとはイメージが違う可能性もある。いろいろ考え過ぎて、時間ばかり経ってしまった。すっかり夕暮れ時になった。ベッドも布団もないので、今夜は一先ず実家に帰り、明日朝出直すことにした。家主夫妻にお礼を言って実家に戻った。途中、夕食を食べに蕎麦屋に寄って、山菜かけそばを食べた。


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