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お坊っちゃまは末っ子次男  作者: みやきみつる
5/11

警備員の村田さん

「素奈子ちゃん、掃除終わった?」


素奈子が業務用の掃除機を片付けていると、離れたところから村田に話かけられた。


「はい! 今終りました!」


「じゃあ、もう帰ろう!」


「はい」と返事をすると、素奈子は大慌てで、トイレで手を洗い、更衣室に入って服を着替える。


村田さんに、せかされると焦ってしまう。休日前の村田さんは、妙にせっかちだ。


素奈子が着替えを済ませると、村田も警備の服から、普段着に着替えて、エレベーター前で待っていた。


村田はスポーツマンといった感じの体格のいい、坊主頭のお兄さんだ。


素奈子はテレビで見た、チベットのお坊さんに似ていると、思っている。


素奈子は小走りに、村田にかけよる。


「素奈子ちゃん、今日これから予定ある?」


「いえ…とくに」


「じゃあ、ラーメン食べて帰ろうよ」


素奈子は村田に、はじめて食事に誘われた。


奢ってくれるのかな?


僅かな期待を胸に、素奈子は村田と会社のある、ビルを出て、会社近くのラーメン屋に向かった。



********


「そういえば社長、今日は早く帰ったんですね」


「うん」とラーメンを啜りながら、村田は頷く。


「珍しいですよね」


「まあ…そうだね。気になる?」


「デートでしょうか?」


「ウキウキしてた?」


「そこは、見てないですけど…」


素奈子もラーメンを啜る。


「奥さん、いつ帰ってくるんですか?」


「明日の夕方か夜だろーなー」


村田の奥さんは、今日は泊まりで子供二人を連れて、実家に帰っている。


「奥さんのご実家、どこですか?」


「神奈川よお、小学校一緒で、実家もアパートから近いよ」


「じゃあ帰省とかなくていいですね!」


「うん」


素奈子は思わず、タメ口になる。


「明日はゆっくり寝れるよ、子供は学校、休みだと早く起きるんだ」


「あ、知ってる。朝、アニメを見るんですよ。総務の新井さんが言ってました」


「いやいや6時には起きてるよ、蝉みたいよ」


素奈子は「蝉みたい」にウケて笑った。


お店のラーメンは醤油、ラーメンで、チャーシューが一枚と刻みネギ、メンマが上にのっている。


「スープがあっさりしてて、美味しいですね」


「でしょう」


素奈子はスープを綺麗に飲み干した。


学校にもお弁当持参、家でもご飯はちゃんと作る素奈子だが(美味しいご飯を、腹一杯食べたいから)たまには此処に寄って帰るのも、悪くないなと思えた。


「ご馳走さま、美味かった!」村田は替え玉したラーメンのスープを飲み干した。


結局、お会計は別々だった。


店を出た直後に「社長の住んでる、マンションこの辺だよ」と村田さんが教えてくれた。


六本木ヒルズ…とはいかないだろうけど、きっと高級マンションに住んでるんだろうな…。



********


土曜日の朝、彼女に振られて自宅マンションに戻ってきた亮は、ベッドに寝転んだ。


今日はふて寝か…? とくに眠くもないけど。


それとも…久々に実家に帰ろうかな?


亮は1K、家賃12万のマンションの部屋の中で一人、空いた時間をどう過ごすか考えていた。

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