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エピソード0:真実のダイエット法の全て~その2~

~前回までのあらすじ~ 私は、稲田ちよ子、70キロ。痩せたい女子高生。あだ名はチョコ。憧れのまさる先輩(本名、江藤大えとうまさる)には、50キロものダイエットに成功していたという秘密があった!みんなに黙っている代わりに私は「真実のダイエット法」を教えてもらうことに。やってきたのは…まさか、先輩の家?!

「いいか、約束は、約束だ。これから真実のダイエット方法を伝授してやる___。」


エピソード0:真実のダイエット法の全て~その2~


「まずはいきなりだが、この真実のダイエット方法の「全て」を教えてやる。メモを取れ。」


私は座り直させられ、ペンとノートを取り出す。

まさる先輩はホワイトボードに、文字を書いていく。


“科学的に実証済みの、ダイエットの基本を知れ。

なぜダイエットするのかという「目的」を見つけ、

具体的な数値「目標」を定め、

「道具」としての確かな方法を学び、

続けられる「計画」を立て、

コツコツ努力して「実行」し、

喜ぶべき「結果」を勝ち取れ。“


「これが俺の真実のダイエット方法の全てだ。」

「え?」


私はいぶかしげに問い直す。


「こんなの、何かをやる時の当たり前の基本じゃないですか。」


私、当たり前の基本なら、色んなところで聞いたわ。間食するなとか、腹八分目とか。


「そうだ。」


先輩のダイエット方法も、きっとそういうものなんだわ。私には向いていない。

私が興味を失ったような顔で先輩をみつめていると、先輩はペンで私を突き刺すようにして言った。


「だが、お前は当たり前の基本的なダイエットについて何を知っているのだ。「当たり前」を知っているというのなら、なぜ太った。」

「ぐぬぬ・・・?」

「見ろ。」


先輩は本棚から、この部屋に似つかわしくないボロボロのノートを取り出し私に渡す。そのタイトルは


「・・・カオスダイエット。」

「そうだ。カオス、ギリシャ語で混沌を意味する。ダイエットを始めた頃、俺が書いていた日記だ。

思い出す、俺も今のお前と同じ、色々なダイエットに手を出した。りんごダイエットに、置き換えダイエット、ビリーに入隊し、全身にアルミホイルを巻いたこともある。

だが、そのどれも痩せなかったり、辛すぎて続けられなかったり、リバウンドしたりして、大失敗だった。

俺はそんな悔しく辛い日々を、泣きながら日記に綴った。カオスダイエットという、皮肉を込めたタイトルをつけて。」


私はマジマジとそのノートを見つめる。表紙には赤くやけたいくつかの小さな丸い跡がある。これは・・・涙の跡。


「・・・だが、ある時俺は気が付いたのだ。まてよ?

俺は今まで色んなダイエットを試してきた。だが、その何もかもが噂や、生齧りな知識に踊らされたものばかりじゃないか。

太った俺にも、唯一他の痩せたやつらと同じに身軽に動くものがある。そう、脳だ。いや、むしろ人より栄養の多い俺は、より脳がフル稼働するに違いない。

そして俺は専門書を手に取り、読みに読みに読みまくった。医学の世界で、科学的に実証されているダイエットの全てを知ろう。なぜ太るのか、まずは科学が解明できているものの全てを知ろう、とね。」


先輩は両手を広げる。


「そうして、俺は編み出したんだ。絶対に痩せられ、お金もほとんどかからず、健康なままで、決してリバウンドしないダイエット方法を!

そして、僕は50キロのダイエットに成功した! それも、とても短い期間でだ!」


私は手に汗を握って、まさる先輩を見つめた。


「先輩、凄いです!」


先輩は、真剣な瞳で、私を見つめかえす。そして嬉しそうにうなずいた。


「ああ、ありがとう。そう、俺は今ここに、その真実のダイエット方法に名前をつけようと思う。あの苦しい日々を表すダイエットの総称カオス・ダイエットに対して、それは、真実、そう、トゥルース・ダイエットと!」


私はぼそりとつぶやいた。


「・・・中二病・・・。」

「もうやめた、やっぱりお前には教えない。」

「やめて下さいぃぃ教えて下さいぃぃ最高ですぅぅ、最高の名前ですぅ!」


私はまさる先輩にしがみついてすがった。その時だった。


鍵をかけてあるはずの(二人きりを邪魔されないように私が確認済み)部屋のドアが大きく開かれた___。


続く。

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