第1話「世界」
また長いモノを書きたくなった館波です。初めて読まれる方は初めまして。他の小説でご存知の方はお久しぶりです。今回は最後までしばらくかかる小説ですので、毎回毎回を楽しめるように書いていきたいので、よろしくお願いします。
世界の三分の二を焦土にしてしまった大戦から一世紀。人々は低いレベルながらも文明を維持し、生活をしていた。
国という概念はあまりなく、力のある者が一定の範囲を領土とし、支配する。そういったことにより人々は集団を作り、暮らしている。
大戦前と世界は大きく変わり、まるで別世界のようでもあると戦前から生きている人は言うが、実際その通りであった。生活レベルなどがそのいい例だ。
過去に世界を縦横無尽に走っていた道路交通網は壊滅的なダメージを受け、復旧は不可能となっている。それでも懸命に人は集団同士での連絡手段を用い、それなりの生活を送っていた。
一番の変化といえば、大戦のもたらした『エクステンディットファクター』の存在。
人間であるにも関わらず、人間では決して起こすことのできない現象や、することのできないことを行う人間のことである。もちろん自然に生まれた者たちではなく、人間が戦争で勝つことを目的に創り出した人間のことだ。人間以上の能力を持ち得てはいたが、戦争が終わった後は創造主である人間からの恐怖の対象となってしまった。
ただし一世紀もたてばそのような者たちに対する差別的な意識も消え、同じコミュニティで生活することが普通である。だが、中には未だにそのような者たちを差別し、今の世界には不必要な者だと考える集団もある。
世界は様々な考えの下に分かれている。
そのように分かれている世界で、一番に信ずるモノがあった。
『神』の存在である。
絶対的な存在。誰も取って代わることのできない存在。
その『神』が世界中の人々の心の中にあった。
そんな世界である。
今回は導入部分ですので、次回より本格的に物語始動です。お楽しみに。