宇宙の諦め 前編
あの日、宇宙は焦っていた
「なんでだ、どうして、愛が減っているんだ」
あれだけ 漂っていた
無限にあると 思われていた愛が
減ってきているのだ
本来では、ありえないこと
すべての星は 愛から生まれた
その星で暮らす生物も 愛から生まれ
みな 愛の波動を出しながら 生きている
計画では、そろそろ 次の次元のフェーズに
移行できる はず だったのだ
肉体ではなく、魂で 生きる時代に
だが、このままでは、それどころではない
宇宙から星が なくなる恐れがある
「なんでだろうか、原因は」
たまたま目に入った、地球に住む人類を見ていた
調べても分からない
たしかに、人類の中に愛は存在している
「ん、まてよ、あれは… 愛が眠っている状態だ」
みんな、信じられなくなっていた
正直に生きるより、騙して生きるほうが
はるかに楽なことに気付いてしまった
見えないところから
大勢の人で叩く面白さを知ってしまった
自然よりも金儲け
エコだと言いながら、山に次々と設置している
「人類は、馬鹿なのか?」
「住んでる地球を痛めつけて、何がしたいんだ?」
宇宙は呆れてしまった
「はぁ… 地球には可哀想だが
もう ここに希望はないな。
また終わる頃に来るとしよう。
その時に地球だけは、いや
人類以外に罪は無いのか。
もしかして、人類が消え去れば
また地球は、愛の星に戻れるのか?」