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受け身

 (スズラン)の残機2、畳の民の残機3。残機は先行された。

残機が減り、復活した後も読み合いポイントだ。復活後はしばらく無敵になる。その間に復活者は攻撃を仕掛けたい。畳の民さんは距離をとって無敵が切れたタイミングで攻撃をしたい。


僕は復活後、掌底を当て相手を崖外に追いやることに成功した。回避上がりを警戒し、崖から少し離れたところで、肘鉄の用意をした。しかし相手はその場上がりをした。

流石にこんな甘い行動に引っかかるわけではないか。納得しつつも、少し残念だ。

ダメージが溜まった状態で崖を背負っている。しかも敵は重量級。こうなるとどうにかして中央に戻りたいのが心理だ。相手は攻撃を仕掛けるが、これをよけ、タックルを食らわせる。だが倒せない。戻ってくるところを、ステップで揺さぶり、空中サマーソルトで急襲するが外してしまった。畳の民さんは後隙を狙い、地上で連撃をお見舞いする。僕が飛ばされたところに接近してくる。ここは冷静に掴んで外に投げる。復帰阻止を仕掛けるが失敗する。だが手は緩めない。相手が地上に戻ったのを確認した僕は、上昇しながらダメージを与える技、(ばく)(しん)(しょう)を出し、ぶっ飛ばす。距離が出来たのでお互いに牽制をしながら近づく。そして僕の下段蹴りが当たり何とか撃墜に成功する。


相手の復活後の無敵時間を、僕はステップでやりすごす。そして無敵が切れたところに、小さく飛んで裏拳を浴びせる。相手が足場に乗ったところに追い打ちをかけるがカウンターされてしまう。ステージの外に追い出される。崖につかまり、攻撃しながら戻る。相手を正面に飛ばす。反対の崖際まで追って、攻撃を仕掛ける。反撃をガードして掴んで投げる。追いかけて空中に段蹴りをして撃墜する。何とかリードした。あと一基だ。

崖際で、無敵が切れる頃を見計らって攻撃する。カウンターを食らって撃墜される。本当にカウンター上手いな、この人。こっちの攻撃の癖が読まれてきている。

お互いに残機一の苦しい状況。残り時間は二分。時間はまだあるが、最後の残機だ。ここで焦っては敗北は必至。落ち着け、落ち着け!


復活後、足場にいる相手を小ジャンプして裏拳で叩く。やはり裏拳と空中二段蹴りは、後隙と着地隙は少なく、発生が早くて便利だ。

そのまま空中サマーソルトをするが、カウンターの餌食になる。クソッ、またか。相手が走ってくる。二段蹴りで抵抗するが、ガードされ掴まれる。後ろに投げられる。そのまま剣の振り上げと振り下ろしの追撃を許してしまう。外に追い出されてしまった。復帰技の(ばく)(しん)(しょう)を出す。しかし相手は崖から降りて後ろに回る。そして振り上げを食らい崖に飛ばされる。

ダメージも溜まってしまった。このままぶつかったら間違いなく負ける。駄目だ。負けちゃだめだ。一回戦敗退なんて認めない。こんなところで負けられない‼

「ぬぅん」

 歯を食いしばり、全霊を込めて崖で受け身をとり上へ飛ぶ。そこから敵を踏み抜き、逆にステージの下へ飛ばし撃墜する。ゲームセット。

「よっしゃー!」

「ぬあっ!」

 僕は歓声を、畳の民さんは叫声(きょうせい)をあげる。

桜杯一回戦、スズランvs畳の民。試合時間四分、勝者スズラン。


対戦を終えた僕たちはお礼と握手をした。そして僕は後ろで試合を見ていた蘇我君に声をかける。

「やったよ。僕勝ったよ」

「おう。よくやったな。最後の受け身、綺麗だったぞ」

「うん! うん‼」

「喜ぶのはまだ(はえ)えって。まだ一回目だぞ」

「でも嬉しいんだ。僕は大会に通用するってわかったんだもん」

「そうだな。次も気を引き締めていけ」

 蘇我君は、しょうがないなという顔をしながらも優しく答えてくれた。

「そうだよね。次も頑張らないとね」

 そうこうしているうちに次の対戦相手が決まったようで

「鼓君、次の相手、ロンギヌスさんだって」

 と次田先輩が教えてくれた。

「ロンギヌスさんって確か、前大会の優勝者で、世界大会にも出る人だよね?」

 九条先輩が心配そうに確認する。

「そうです。彼は強い。鼓じゃ勝てるかどうか……」

 神妙な面持ちで蘇我君は続ける。

「まあ、ここが一番の関門と思って頑張ってもらうしかありませんよ。鼓お前、本当に気張って行けよ」

「……うん」


 二回戦目が始まる。

「「よろしくお願いします」」

 両者挨拶を交わし、握手をする。

詳しい話は聞いてないし、この人の対戦映像とか見てないけど、どんな人なんだろう。そう思っていると意外なことが分かった。なんと同じキャラを選択したのだ。同キャラ(ミラ)対決()だと。そう思い。彼の顔を見る。

「どうかしましたか?」

「いえ、別に」

 わざとではないようだ。ミラーとなると力量の差がはっきりと出る。僕はまだそんなにうまくないのに。

 いや、怖気づくな。勝つつもりで来たんだろう。だったら遅かれ早かれ、この人とは戦うことになっていた。大丈夫。僕の力は大会に通用する。そう思い自分を鼓舞する。

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