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雨に疼く  作者: ひろゆき
8/74

 一  2  ーー ただ、止めたい ーー  (2)


 きっと涼介に抑えろ、と言っても無駄なんだろう。

 だから強くは指摘しない。


「英人は? あいつももう帰ったの?」


 聞きながら教室を見渡す涼介。

 半ば涼介のことを諦めつつ、つられて教室を見渡してしまう。


「あいつもバイトだって。それは昼間聞いた。すぐ出ないと時間がヤバいらしい」


 増田 英人


 涼介とともに優弥の親友であった。

 彼は昼間、話をしていて釈然と眉をひそめていた。

 授業が終わると、速攻で帰らないとシフトの時間に間に合うか微妙だ、と怪訝に話していた。

 それを聞いて、「ご愁傷様」と嫌味をこぼして笑っていたのを思い出した。


 机のなかから必要な物を整理しながら、嫌そうにする英人の顔を思い出し、つい口元を緩めつつ、涼介に伝えた。


「あいつも何かほしいのがあるのか?」

「いや、英人の場合は遊ぶためだろ」

「あぁ、愛梨とね。なんだかんだ言っても、仲いいからな」

「あいつの勢いによくついて行けるよな。僕なら面倒くさい」


 英人には恋人がいた。


 別に悪い奴じゃないし、苦手じゃないのだけど、涼介と互いに苦笑した。

 ま、いろいろあるだろ、と最後にこぼして、また教室を見渡した。

 そこで、さっきまでいた若菜の姿がなく、すでに帰っていることに気づいた。


 いつの間にあいつ。


「じゃぁ、俺も先に帰るわ。バイト先、家と逆だから」

「僕も。僕もちょっと行きたいところがあるし」


 じゃ、と手を上げて帰ろうとする涼介を引き留め、優弥も慌てて荷物をまとめ、涼介とともに教室を出た。


 まさか、な。


 重苦しい授業から解放されたにも関わらず、ふと優弥の足は重く、表情が引きつりそうになった。


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