九 4 ーー 疼く ーー (4)
スマホを睨んでいたとき、唐突に、一階から母親の金切り声で呼ばれた。
急に呼ばれ、面倒ではあったけど、執拗に呼ぶ母親に負け、優弥は渋々一階に降りた。
リビングではテレビが流れ、母親は食い入るように見入り、大袈裟に優弥を手招きした。
横柄な態度にげんなりしながらそばに寄り、テレビを見た。
放送されていたのは夕刻の報道番組。
午後六時を回ると、全国ニュースから地方局のニュースにスイッチしていた。
ーー高校で暴行。被害者は重体。
右上に表示される事柄。
疑念に包まれながらも、映し出された光景は、見慣れていて、通い慣れた校舎であった。
「これって、あんたの高校よね」
一人慌てる母親を冷静に諭すと、興味ない様子で自分の部屋に戻った。
部屋に入ると、閉めた扉に凭れ、目を閉じた。
……わかってるよ、そんなの。
報道されていたのは、学校で暴力事件が起こり、重傷者が出たと伝えている。
もちろん、加害者と被害者の名前は報道されていないが、優弥にはわかっていた。
「……何やってんだよ、英人、涼介……」
今日、体がだるく、やる気がどうしても出てくれず学校をサボっていた。
昼前、グダグダとベッドで横になっていると、二人とは違う男子生徒から連絡があった。
内容は英人と涼介が一方的に野阪に暴行をしたものであった。
だが、それ以上のことはわからなかった。
もちろん、二人にも連絡した。
しかし、まったく繋がらず、詳しい状況は掴めなかった。
「なんで野阪なんかを」
野阪を襲う理由すらも理解できず、優弥は頭を抱えてしまう。
脳裏にはふざけた二人の姿しか浮かんでくれない。
現実には優弥の知らない二人が存在していた。




