七 4 ーー 英人に涼介 ーー (4)
「ちょっとわざとらしくなかったな」
半ば逃げるように病室を出てしまったことに後ろめたさがあり、涼介がこぼすと、
「仕方ないんじゃないの。ああでもしないと。邪魔するわけでもないんだし」
「まぁね」
病室を出て、エレベーターホールでエレベーターが来るのを待っていると、二人とも下手な去り方に後悔して苦笑いせずにはいられない。
「ーーすいません」
自分らの未熟さを恥じていると、後ろから脅えたような声が届いた。
振り返ると、先ほど病室に現れた女の子が二人を追って来たらしく、肩を揺らしていた。
困惑から涼介らは顔を見合わせてしまう。
「えっと、“ミオ”さん?」
ちゃんとした名前は知らず、若菜の呼び方で涼介が尋ねると、「あっ」と驚かれた。
そこで、彼女から自己紹介された。
新川 美桜。
若菜とは中学のころからの友人らしい。
「あの、私信じられなくて。若菜があれだけ自然に笑っているの久しぶりに見たから」
「笑って…… あ、それなら僕らじゃないよ。それは多分、優弥ってもう一人友達がいるんだけど、そいつのおかげだよ」
英人は右手の人差し指を立て、優弥の存在を伝えた。
「それって、若菜の彼氏ですか?」
美桜は驚いた様子で目を点にした。
美桜の疑問に、ふと考えてしまう。
「どうだろ。俺らにはまだわかんないかな。ちゃんと聞いたこともないから。でもどうして?」
率直なことを英人が聞くと、今度は美桜がしばらく思案し、
「あの、ちょっといいですか?」
すっと顔を上げると、大きな目をより見開き、思い詰めた様子で二人を見据えた。
「まぁ、僕らはいいけど。でもいいの、藤村さんは」
「あ、はい。一階のコンビニに行ってくるって言ったので、しばらくは」
「じゃ、一緒に行く?」
何かを聞きたい雰囲気だったので促すと、美桜は「はい」と頷くと、ちょうどエレベーターが来た。




