表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雨に疼く  作者: ひろゆき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/74

 六  8  ーー 拒絶 ーー  (8)


 前日、悩みは吹き飛んだのだと安心したのだけど、今朝の優弥の様子に、それはすべて打ち砕かれた。

 今朝から貝のように頑なに口を閉ざし、釈然としない優弥に、英人に涼介は声をかけるのも躊躇してしまう。

 もし、藤村若菜との間に何かがあったのなら、焚きつけた自分らにも責任があるな、と涼介と話していた。

 くだらないケンカなら放っておこうと、考えていたけれど、気がかりなのも払拭できず、二人で相談して若菜の病院に来ていた。


 心配させられない、と二人して用事がある、と優弥には黙っておいた。


 何かしらの誤解を生じたのならば、助け船を出してやろうと目論み、ただの杞憂であるならば、二人を茶化してやろうと英人は息巻いていた。

 反面、涼介は真面目に若菜の見舞いを考慮していたらしく、病院に来る前に、近くの生花店で花を取り繕ってもらった。

 普段、面倒がるくせに、こういう配慮しているには感心してしまった。


 やっぱ、こいつすげぇ。


「そういえば、僕らも始めてだったよな。見舞いに来るのって」

「まぁな。香川にしつこく聞いたのも、優弥に行かせるためだったし」

「僕らのほかにクラスで来た奴っているのかな?」

「さぁ? どうだろう」


 病棟の廊下を歩きながら、ふと疑問をこぼした。

 実のところ、学校であまり若菜の話題は出ていなかったのである。


 なぜだろうか。


 少し笑えなくなり、頭を掻いてしまった。

 暗く接するわけにはいかないな、と頭を掻いていた手を止めると、病室に着いた。


「藤村さん、増田と高梨だけど、入るな」

「ちょっ、ノックぐらいしろってっ」


 病室の扉に手を添え、なんの躊躇せず開く英人。

 慌てて制止して腕を掴む涼介だが、すでに遅く、扉は無惨に開かれた。


「ったくっ。着替えでもしていたらどうするんだよっ」


 礼儀のない英人を一蹴し、頭を叩く涼介。

 衝撃に視界が揺れるなかでも、つい笑ってしまう。

 笑い声がこぼれそうななか、英人の意識は病室の奥に注がれる。

 若菜はベッドに横たわっていた。


 そして、若菜に乗りかかって押さえ込み、一人の男がベッドの上で馬乗りになっていた。


 若菜は手で口元を押さえられ、抵抗しようにも羽交い締めにされている。

 髪の毛を大きく乱しながらも、横目で英人らを捉えた。


「お前っ、何やってんだっ」


 刹那、涼介は踏み込む。

 勢いのままベッドに駆け寄り、男の首元を掴むと、若菜から剥がそうと後ろに引っ張った。

 それでも男は手を振り払おうと抵抗して、ベッドの上に留まろうと力を込め、より前のめりになる。


「お前、野坂?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ