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六 6 ーー 拒絶 ーー (6)
………え?
嘘だって言ってほしかった。
冗談だって、屈託ない笑みを浮かべ、目を細めてほしかった。
だが、優弥の願いは若菜の厳しい一言に崩れ去ってしまう。
どれだけか細い声であっても、外で車が走る雑音すら消え去る声が鼓膜を突き抜けてしまう。
茶化して受け入れてほしかったのに、若菜は顔をまた背け、窓を眺めてしまう。
また二人の間に透明な壁が構築され、はばかってしまう。
どれだけ殴ろうとも、崩れもしなければ、音すら遮断しそうな分厚い壁が。
それほどまでに、拒絶された姿に絶望に打ちのめされた。
首を絞められるような息苦しさに苛まれていると、若菜が不意にこちらを見た。
ちょっとした期待に胸が熱くなると、
「ねぇ、私が小学校に行っていれば、変わっていたの?」
ーーっ?
予期せぬ問いに、首を傾げてしまう。
「……小学校?」
優弥の問いは、一方的に脅えた若菜の眼差しを通りすぎてしまう。
若菜は反応しないまま、優弥を見据えている。
「ねぇ、変わっていたの?」




