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雨に疼く  作者: ひろゆき


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 六  2  ーー 拒絶 ーー  (2)


 何が起きたのかまったく状況が掴めない。

 一歩踏み込んだ場所は、別世界に落とされたみたいで、肌寒さに襲われ、唖然としてしまう。

 今度は暇潰しに読んでいたのか、ファッション誌を乱暴に掴み、投げつけてきた。

 今度は体が遅れ、体を反らした反動で体勢を崩してしまい、よろけて壁に右肩を強打してしまった。

 ウッと痛みを堪え、壁に凭れて右肩を擦っていると、額に続けて痛みが走った。

 ガサッと音が地面に落ち、頬を歪めながら視線を落とすと、文庫本が落ちていた。

 どうやら今度は文庫本が投げられ、角が額に当たったらしい。

 痛みに額を押さえ、


「落ち着けっ、止めろってっ」


 霞む視界で若菜を見た瞬間、思わず叫喚した。

 間髪入れず、自身のスマホを投げようとしていた。

 優弥の怒鳴り声に驚き、ベッドの上に落とした。

 怒鳴りすぎたのか、若菜は脅えた様子で肩をすぼめてしまう。

 肩を震わせ、息を詰まらせながら両肩を抱き締め、うずくまらせた。

 痛みで歪む視界が捉えた若菜は脅えていた。

 まるで虐待を親から受け、貝みたいに体を丸めて震えていた。

 その姿に話したかった言葉が塵になって舞ってしまう。


「……ごめん」


 状況は掴めない。


 それなのに、痛みに耐えながら浮かんだのは、こんな言葉だけであった。


「ユウくんには、もう会いたくない……」


 ……ユウ……?


 困惑する優弥をさらに惑わすように呟く若菜。

 意味が掴めず、崖の淵に追い詰められたような絶望に襲われる。


「ーー若菜っ」


 真意を問う気力すら失っていたとき、病室の扉が開く音と同時に、女の子の悲鳴に似た声が響いた。

 

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