四 4 ーー 痛み ーー (4)
顔を見合わせて言うと、やはり恥ずかしくて弱々しくなってしまう。
顔が紅潮しそうな優弥に対して、若菜は屈託なく笑った。
正面からちゃんとした笑顔を見たのは初めてな気がした。
嬉しさより驚きで面食らってしまう。
どこかこれまでの若菜より、優しく見えてしまう。
しかし、唖然としていると、いつの間にか若菜はまた窓の外を眺めていた。
「どうかしたのか?」
どこか途方もない方向をさっきから眺める姿に聞かずにはいられなかった。
それでも、「うん」と短く答えて曖昧に流され、額を擦った。
「やっぱ、痛むか?」
「あ、ごめん。そうじゃないの」
額に当てていた手を膝の上に落とし、うつむく若菜。焦点が合わない姿は思い悩んでいるようだ。
放ってはおけず、気まずさも忘れ、ベッドの下にあった丸椅子を取り出し、座った。
「自業自得って、こういうかとなんだよね」
砕けそうな弱い声をこぼすと、不意に天井を眺めて若菜は呟く。
「……多分、頭を強く打った影響で、ちょっと耳が聞こえにくいんだ」
「難聴ってこと?」
「どうだろ? それと、目が霞むことも増えちゃって…… それでメガネをかけると疲れちゃうんだ。だから、最近はあまりつけてないの」
「そう…… なのか」
うん、と頷くと、嘲笑するように、若菜は口角を吊り上げた。
先ほどから、意識が途切れている雰囲気を漂わせていたのは、それが原因なのか、と唇を噛んでしまう。
「ーーねぇ」
気まずさが体を強張らせていると、唐突に呼ばれてしまう。
反射的に顔を上げると、また若菜は窓を眺めていた。
釣られて眺めると、すでに陽は落ちており、空は薄暗くなっていた。
「ねぇ、雨はやまないんだね……」
「……雨?」




