(9)書簡〈6〉カルタータ王妃 ヘルミオーネ
( 9 )書簡〈 6 〉カルタータ王妃 ヘルミオーネ
拝啓 慕わしき女王とマックスへ
親愛なるエルザ、こうしてお手紙を書くのは何通目になるのかしら。
ふふ、マックス、エルザとわたくしはずっとお手紙を出し合っているのよ。
アンネマリアを介して知り合って、文通を始めたのよね。クラヴサン奏者同士気が合ったのよ!
わたくしは姉妹の中で最も遠い場所に嫁いだけれど、エルザとの心の距離は誰よりも近いのが自慢なの。ティナにも羨ましがられたんだから。
まったく、ティナも臨月ですって? 手紙でさえ喧嘩ばかりなのに、仲良く出産だなんておかしいこと。
そちらには夫と息子がいくはずだから、話を聞くのが楽しみだわ。息子はエルドラードの第二王女と会えるのを楽しみにしているの。結婚はまだまだ先だけれど、顔も見ないで結婚するよりずっといいわ。
エルザ、時には夫婦喧嘩も必要よ。
我慢や遠慮はだめ。問題は一人で抱え込まず、相手に共有して解決していくの。そうして家族になっていくのよ。
特に、マックスみたいに一見大人しい男は要注意。この子は危険な場所に飛び込むことを厭わない。貴女がしっかり手綱を握ることが肝要よ。
マックス、貴女の妻は休むことが苦手よ。
エルザが心地よく休めるよう環境を整えるのが貴方の一番の仕事と心得なさい。
それから、娘を持つ男親として配慮を忘れずに。いいこと、娘が選んだ男性に文句は絶対につけては駄目。敵愾心ではなく、友情を育んでちょうだい。リアーヌが誰を選んでも、その選択を尊重してあげなさい。
うちの人ったら「次は女の子だ。絶対に嫁にやらない」なんて言ってるのよ。
わたくし、父上のこと大好きだったけれど、仲良くする男の子全員に目を光らせてる姿は嫌だったのよね。夫が帰ってきたらまた話さなくちゃ。
きっとこの手紙が届く時、わたくしは元気な女の子を産んでいることでしょう。お腹の中でもおてんばなのよ。アンネマリアと名付けるつもり。
この子が嫁ぐときには、エルザから譲ってもらったティアラを持たせるわね。
愛を込めて ヘルミオーネ




